逃走
愛澤は外に出て電話に出る。
「愛澤です。ジョニー。そっちはどうでしたか」
『それが大変なことになった。第三の容疑者渋谷可憐が病室から姿を消した』
第三の被害者の逃走。この言葉に愛澤は驚く。
「詳しく説明しなさい」
『はい。こういうことがあった』
ジョニーは三十分前の出来事を回想する。
愛澤と別れたジョニーは横浜中央病院にいた。まず彼は第三の被害者の病室を探した。そして三階に繋がる階段で刑事らしい人に出会った。
「警察の方ですか」
「はい」
ジョニーはポケットからハンカチを取り出す。
「私は通り魔事件の現場にいた人間です。犯行直前男子トイレで犯人がこのハンカチを落としました。自分のハンカチだと思って拾ったのですが、よく見ると血痕のようなものが付着していたので犯人の物かなと思い提出しにきました」
「遺留品ですか。ご協力ありがとうございます」
その時別の刑事が来た。
「狩野さん。大変です。第三の被害者渋谷可憐が姿を消しました」
「本当か。まだ遠くには行っていないはずだろう。上に連絡しろ」
ジョニーは質問する。
「どういうことですか」
「一般人にはこれ以上言えない」
ギブアンドテイク。愛澤は情報を共有した。
「渋谷可憐と言いましたね。彼女は一週間前、例の時計店で時計を購入しました。どうやら渋谷を探す必要があります」
愛澤は一呼吸おいた。
「これではっきりしました。渋谷可憐はこの事件のキーマン」




