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名簿 後編
「そうだった。その日はもう一人購入者がいたよ。短髪の女だった」
愛澤は名簿から女の名前を探した。
「渋谷可憐さんですね。名簿に書かれた唯一の女性ですからすぐ分かりました」
「前日に購入したその男女はラッピングも依頼したよ。どうやらプレゼントらしい。購入したのはどちらも一個だった」
愛澤は質問する。
「それで来た時間は」
「男は開店時間の十一時頃だった。女は十四時頃だった」
そしてアリバイを確認する。
「最後に今日の九時頃何をしていましたか」
「こんどは警察に潜入捜査するつもりか。墓参りだ。三年前の通り魔事件で殉職した林巡査部長の命日は今日だとニュースでやっていただろう。林と俺は小学生時代からの親友だから墓参りをした。証人はいる。瀬戸内平蔵だ。彼も林の墓参りをしていた」
「あの検事が墓参りですか。では失礼しました」
愛澤は店を出て呟いた。
「瀬戸内平蔵か。それが本当ならアリバイは完璧」
すると愛澤の携帯が鳴った。




