第96話 慈救呪
明日はお出かけするため、多分更新できないと思います。
様子を窺うように。
相手の出方を見るように。
不意に喋り声などが全て消えて。
聞こえてくるのはバスの走行音だけになった。
直接は見えないけど多分全員こっちを向いている気がする。
「…………」
僕の肩におでこを押し当てて、もたれかかっている江里さんは何も発さないどころか、身動きすらしない。
非常に気まずくて、とてつもなく恥ずかしい。
自分で自分の首を絞めるような状態を作ったんだけどね……。
確か前に行われたスポーツテストの日にも「かわいい」と口走ってしまったことがあったけど。
……今回のはもう誤魔化すのは無理だった。
「……相田!」
たっぷり30秒ほどの沈黙の後に、いつもより低くて勇ましい声が聞こえてきた。
……半田くんが呼んでいる。
「……はい」
少しかすれてしまったけど何とか返事を口に。
この間も江里さんは一切動かないし、他のクラスメイトも息を殺したように静かだった。
「……よく言った! やる時はやるじゃねぇか!」
「……ど、どういうことで――」
「――うおぉぉ!」
「――キャァー!」
「いいなぁ~羨ましい」
「早く爆発してくれ!」
「もうやめてぇぇぇぇ!」
「はやく付き合っちゃいなよー!」
「密室空間でなんてことしやがる!」
「まさか、俺たちを殺すつもりなのか!?」
「あら、相田くんかっこいいところあるじゃない! さすが男の子ね~!」(三崎先生)
「遍満する金剛部諸尊に礼したてまつる。暴悪なる大忿怒尊よ。砕破したまえ。忿怒したまえ。害障を破摧したまえ。ハーン・マーン」(印を結びながら)
僕の言葉を遮って、今まで黙っていたのが嘘のように皆が一斉に喋り出した。
騒々しくてよく聞こえなかったけど、三崎先生もなんか言っていたような気がする。……それとなんか呪文みたいのを唱えてる人がいて怖いんだけど!? やめて! 呪いとかだったら今すぐにやめて!!
――結局バスが学校に着くまでこの騒がしさは続いたけど……僕の肩にもたれかかっていた江里さんは一切反応しなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい! また明日ねー! かいさ~ん!」
「三崎ちゃんばいばーい!」
「またねー三崎ちゃん!」
バスから降りて簡単な連絡事項があってからそのまま解散となった。
ちなみに江里さんはと言うと僕の腕にしがみつきながら俯いているので、どんな表情をしているのかは分からなかった。
「……美奈さん、帰りましょうか」
「…………」
無言で頷いた江里さんは自分で歩くつもりがないのか、僕に引かれるがままに歩みを進めた。
……やってしまった。
これはもう完全に江里さんを怒らせてしまった気がする。
歩きながら必死になってどうするべきなのかと考えたけど、何も答えは出ずに互いの家路に別れるポイントまできてしまった。
「……美奈さん」
声を掛けたら絡めていた腕をスッと解き、江里さんが静かに1歩、2歩と離れてからこちらに振り向いて。
ゆっくりと何度か深呼吸をした後に顔を上げ、意を決したような硬い表情を湛えてから口を開いた。
「……きっ……」
「……き?」
「君孝くん……かわいぃーっ!」
「――なッ!?」
――半ば叫ぶように言った江里さんは機敏な動作で回れ右をしてから、予備動作もなく突然……放たれた矢のような速度で疾走していった。
……なんで「かわいい」なんですかぁぁぁ!? 男としては喜ぶべきか複雑なんですけどぉぉぉぉ!? もしかして仕返しですかぁぁぁぁ!?
~レビューへのお礼~
(;゜Д゜)あがががが!?(アゴガクガクのしきはら)
レビューが……ありがたいことに……増えてるぅぅぅぅぅ……\(^o^)/あわぁぁぁぁぁ!
100話ピッタシでお礼も終わるよ!(……皆……わかってるよね!?( ゜Д゜)(笑
読者の心様、28件目のレビューありがとうございます!
な、なんと外国の方なんですか?
普通に日本語お上手……漢字も完璧ですね……す、スゴイ!(読者の心様……一体何者ッ!?
「……お……おはよう……ございますっ!」(頑張って読者の心様に挨拶をする江里さん)
「…………」チーン(無反応な読者の心様)
「……ん? ……息…………してないっ!?」(何故か砂糖とジャムを持っている江里さん)





