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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編後半

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第94話 L’Elisir d’Amore

 最近またしきはらの悪い癖が出てます<m(__)m>

 長いです。普段の3倍近くあります。すみません。

 三崎先生がわざわざ車内のハンドマイクを使って「目的地周辺に到着致しました。案内を終了します」と謎のアナウンスをしていた。

 三崎先生は多分バスガイドさんの真似をしているんだと思うけど、完全にカーナビだった。


「……み、美奈さん……着きましたよ」

「……ん ()~?」


 三崎先生のアナウンスでも江里さんは目覚めなかったので、声を掛けながら肩を揺らしてみた。

 すると僕の肩からゆっくりと離れてまだ夢現(ゆめうつつ)なのか、焦点の合っていないボンヤリとした目でこちらを見ている。


 な、なんだこのかわいさ! ただの寝起きでこれは反則ですよ!


 そのまま何度か瞬きをして猫のように手を丸めて目をこすってから「ん゛~っ!」と伸びをする江里さん。徐々に瞳に生気が充填されていくのが確かに見えた。


「……おはようございます、美奈さん」

「……んっ!? ん゛ん゛っ!?」


 今度は目を大きく見開いてまん丸に。それから僕の腕を掴んで何かを伝えるようにクイクイと引っ張っている。


 ……僕がいきなり呼び方を変えたから驚いているんだとすぐに分かったけど、今は早くバスから降りないとマズイ。


 すでに皆バスから降りていたため……、


「行きますよ」


 江里さんをそのまま引き上げてバスの降り口に向かっていった。その最中も江里さんは僕の腕を何度も引っ張っていたけど。


「皆集まったわね? それじゃ行きますよ~! 先生についてきてねー!」


 三崎先生は今度はバスガイドさんが先導する時に使う手旗を持って、上機嫌に先頭を歩いていた。……間違いなく三崎先生が一番楽しんでる。


「三崎ちゃんバスガイドさんになりたかったん?」

「う~ん……バスガイドさん気分を味わいたいってところかしら」

「うわぁ~職権乱用だ!」

「わーっはっはっ! それなら皆も先生になればいいのよ!」

「……え。普通にヤダ」

「なんでよ!? ……はーい、この先4階まで階段だからね~! 皆、がんばるよ~!」


 三崎先生、超上機嫌。

 年上でしかも先生なのに、少しかわいいと思っ――イタァッ!?


 ――突如、両頬に痛み走る!


ひふぁひ(いたい)()!」


 背後から伸びてきた両手が僕の頬を掴んで「これでもか!」と言わんばかりに引っ張っている。


「……んっ!? ご、ごめんなさいっ!」


 僕の訴えを聞き入れてくれたのか妖怪頬っぺた掴みの犯人――江里さんが謝りながら両手を放してくれた。


「な、なんで?」(なんで頬っぺたつねったんですか?)

「な、なんで?」


 お、おかしい。

 質問を質問で返されるどころか、完全なオウム返しだ。


 僕の横に来た江里さんは釈然としない面持ちでいつものように首を傾げている。


「……僕が、聞きたいん……ですけど?」

「……私も、分からない……もやもや!」


 あ、これ会話にならないやつだ。


 心臓辺りで手を開いたり閉じたりと謎のジェスチャーを繰り返した江里さんが、最後には「わっかんないーっ!」といじけたようにそっぽを向いてしまった。

 その動作があまりにもかわいくてつい僕は笑ってしまった。


「……なんで……笑うの!」そっぽを向きながら頬っぺたをぷんぷん丸にした江里さん

「美奈さんが……かっ……わいいから……ですよ」

「…………」無言のまま小刻みにぷるぷると揺れている江里さん


 もう想いをぶつけるのに躊躇はしない。……緊張で変な言い方にはなったけど。


「はーい! 好きに座っていいよ~!」

「なっ!?」

「おぉ~!」

「す、スゲェ!?」

「何ここ!? 中世ヨーロッパ!?」


 ……なんて僕がひとりで一杯一杯になっていたらいつの間にかオペラを上演する宮殿(パレス)に到着していた。


「……凄い」

「……た、高いっ!」


 パレスの最上()階から見える景色にまず鳥肌が立った。

 江里さんが言った通り1階までかなりの高さがあり、高所恐怖症の人だったら足が(すく)むレベルだと思う……ちなみに僕は高いところは平気なので大丈夫だったけど。

 舞台には落ち着いた色合いの赤いカーテンが降りていて、あまりの大きさにサイズ感が全く掴めないほどで。

 座席をはじめ床や壁まで全てブラウンの艶のある木製で、舞台のすぐ横まで各階の席が連なっている。


 何だか映画の中の世界に入り込んでしまったような不思議な気分になった。……ここ日本だよね?


「うちのクラスは……ここから、そこまで。席は自由! 最前列は早い者勝ちね~!」

「高すぎて怖いから後ろでいいや」

「むしろ後ろじゃないと無理!」

「じゃあ先生一番前行っちゃうよ?」

「「「「「どうぞどうぞ」」」」」


 席はやっぱり自由だったので僕はどうせなら前で観たいなと不人気な最前列に向かって1歩を踏み出したんだけど……。


「……高い! た・か・い・のっ!」


 その場に根を張ったように動かない江里さんに掴まれて動けなくなった。


 もしや……江里さんは高所恐怖症なのか?


「……美奈さん、高いのダメ?」

「……美奈さん、高いのだめ! ……こわぃ~っ!」


 江里さんはよほど怖いのか全力で僕の腕に掴まっていて、恐怖に歪んだ顔をガクガクと小刻みに左右に揺らしていた。……よく見るとへっぴり腰になっていてかわいい。

 思わぬところで江里さんの弱点を知った歴史的瞬間だった。


「前で……観たいです」


 こんな仕返しのチャンスは二度とない。

 僕はゴリ押し作戦にでた。


「……こわいのぉ~っ!!」ガクガクする江里さん

「椅子に座れば……大丈夫ですよ」

「…………ほんと?」

「……多分ですけど」

「……ん゛ん゛ん゛っ! 多分だめっ!! ……じゃんけん!」

「いいですよ」


 怒ったように江里さんがじゃんけんを提案してきたけど、やっぱり腕からは離れなくて無性にかわいかった。


 正直席はどこでもいいや、という軽い気持ちでじゃんけんに挑んだら……、


「……僕の勝ちですね」

「…………」


 無欲の勝利を掴み取ってしまった。


 ……江里さんが無言のままこの世の終わりのような表情を浮かべている。

 なんだかさすがにかわいそうな気分になったので「やっぱり後ろで観ましょうか」と提案をしたら、強い決意の滲む表情を湛えて「前……行く」と返事が。


「無理しなくて、いいんですよ?」

「……じゃんけん……ぜったい…………んっ! 準備できたっ!」


 僕の背後から両腕を胸辺りに回してガッチリと抱き着いてきた江里さん。

 背中に顔を押し付けているのか「目ふぶっふぁっ(つぶった)!」と言われた瞬間、あまりのくすぐったさに身震いしてしまった。


 ……これは……このまま席に向かえってことだよね?


「……美奈さん、歩きますよ?」

「……ふぁ()いっ!」


 ヒィィィィィ! くすぐったいよぉぉぉ! それに柔らかいの当たってるんですけどぉぉぉッ!!


 ――それから僕らはなんとか席について「座ったら……本当に、怖くない!」と、途端に上機嫌になってはしゃぐ江里さんを落ち着かせて、カーテンの幕が上がるのを今か今かと待った。

~レビューへのお礼~

 だから何が起きてるのぉぉぉぉぉぉッ!?Σ(゜Д゜)

 レビュー増えずぎて怖いんですけど!?(へっぴり腰のしきはら)

 物語も終わりに向けてあと一息のところまできているので……このままだとお返事が……今のところは大丈夫ですけど\(^o^)/(フリじゃないですよ!?)

 ……ちなみに、死んでもお返事は書きます!(死んだら化けてでもお礼しに来ますので安心して下さいね!笑)

  o g u o s様、27件目のレビューありがとうございます!

>私自身も『上手くいけば』青春を謳歌する年齢なのですが ←若さを分けてください!(切実)それとコミュ障になれば素敵な甘々ライフが待っていますよ!(必ずとは言っていない)



「……ま、まずは……挨拶から………… (おはっ)……おはよう……ござい (ます)……。つ、次は……お天気の……お話しっ! ……それから…………んっ!」(自分の経験を偉そうに語るけど……隣人以外とはまともに喋れないことに気が付いてしまった江里さんだった)

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cool

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