第90話 江里美奈 セカンドキスは……。
ぽんこつ江里さん視点です(笑
この科学博物館が建っている場所は台地で、標高20mくらいのちょっとした山の上にある。
だからなのか地球館屋上のハーブガーデンは景色も良くて、とても気持ちの良い空間だった。
近くには高さ武蔵を誇る電波塔が見え、遠くには行きのバスの車内からも見えた富士山が映える。
こんなに眺めが良いというのに平日の午前中だということもあって、屋上には私たち以外誰もいなくて“ふたり占め”。
――なので人の目を気にすることなく私は目一杯そーくんに甘えた。
手を繋ぐだけじゃなくて、腕を組んだり、抱き着いたりしながら、ふたりで一緒に約160種類もある様々なハーブの香りを楽しんだ。
それからどれが一番良い香りだったか互いに言って。
「……僕は……パイナップル・セージが……好きです。本当にパイナップルみたいな……甘い香りがして」
「……ん。私は……ストロベリー・ゼラニウムが……一番好き」
……そこで私はウソをついた。
一番好きな香りは……抱き着く度に好きになっていくそーくんの匂い。
清潔感のある柔軟剤の香りとそーくん自身の匂いが混ざりあったそれは、言ってしまえばフェロモン。
嗅げば嗅ぐほど癖になっていってしまう。
ただこれを言ったらそーくんが「にゃに言ってるんですか!?」って取り乱してしまいそうなので、自重しました。……本当は猫そーくん見たかったなぁ。
それからベンチに腰掛けてふたり並んでわんぱくサンドを口に。
今日の芸術鑑賞教室は私の中では“そーくんとふたりきりでピクニック”という位置付けになっていたので、お弁当もそれっぽいものにしてみた。
お母さんが“ウェヌス”という名前でやっている写真共有アプリで今話題になっていたのが、このわんぱくサンドというものだった。とにかく色んな具材を目一杯、これでもか! というくらいのせて、サンドイッチに。
味もさることながらとにかく断面を綺麗に見せることがポイントみたいで、今日のピクニックのためにここ最近は毎朝色んなわんぱくサンドを試行錯誤した。
――そのおかげで今日はそーくんから「おぉ~!」という感嘆の声をもらうことができた。
……ものすっごく嬉しかった。
「「ごちそうさまでした」」
わんぱくサンドを食べ終えて一緒に手を合わせてから、ふとそーくんを見たら……口角のところにマヨネーズが。
……本当にそーくんはおっちょこちょいでかわいい。
多分私が冗談で言った「大きく口を開けてかぶりつくのが正式な作法」という言葉を、何の疑いもなく実践してくれたから付いちゃったんだと思う。
……ん。どうしましょう……まったくもってかわいすぎるので……イタズラしたくなってきちゃいました。
「……ん。君孝くん、動かないでね?」
「……はい」
沸々と湧き上がってきた己が欲望を抑えきれなくなって、代わりにそーくんの顔を押さえた。
そして気持ち驚いたような表情を浮かべているそーくんの顔をゆっくりとこっちに向かせて。
キスだって警戒されないように、恥ずかしさを堪えて目を開けたまま近付き……、
「……んっ」
マヨネーズを舐め取ってから――どさくさに紛れて唇を重ねた。
さっきお預けされた反動もあって、少し強引にそーくんの唇を奪ってから私は少しだけ後悔した。
こんなことならオブラートに包んで持ってきた自作の生キャラメルを先に食べておけばよかった、と。
――だってマヨネーズ味のセカンドキスになっちゃったから……。
~レビューへのお礼~
うわっほぉぉぉぉぉぉぉぉい!(飛び跳ねるしきはら
今日はレイトショー観に行ってきまーす!(予約投稿
お盆休み満喫! そしてありがたいことにレビューも23件目をいただきまして……、
ありがとぉぉぉぉぉございまぁぁぁああああすッ!(富士山山頂で土下座するしきはら
筆之介様、レビューありがとうございます!
>通勤電車の中とかで読んでたら、ニヤってしちゃって周りの人に冷たい目で見られるレベル。←体験談 ←いいぞ、もっとやれ!(ごめんなさい
できれば「……デュ、デュフフゥ⤴」みたいな、やばい人オーラ全開の笑い声もプラスしてくださると……文句なしです!(本当にごめんなさい
「……おい。電車の中で読むのはやめとけよ? オロっても俺は知らないからな」(クマ笹茶を飲む謎の人物)
「…………へんたいさん……ですかっ!?」(何故か興味津々な様子でニヤっとしている筆之介様に話し掛ける江里さん)
~数分後~
「…………」チーン(口から砂糖を垂れ流して失神している筆之介様の姿がそこにあった……)
い、一体何があったんや……?(すっとぼけ





