第59話 ????「……くんくん……」
江里さんに寄り掛かられたままお昼ご飯を食べ終えた。
食べ終えるのに普段の倍以上時間が掛かったんだけど、理由は最後まで親鳥と雛鳥の関係が続いたからだ。……正直それどころじゃなくて、味はまったくもって分からなかったけど。
そしてふたりで「「ごちそうさまでした」」をして、そろそろ江里さんどいてくれるかな? ……なんて、そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。
「…………んっ!! そーくんそーくん!」
「な、なんですか!?」
寄り掛かっていた江里さんは一度身体を起して横向きになってからまた倒れこんできた。……ちょっと!? なんでまた倒れてきたんですか!? そのまま起きてくださいよ!?
しばらく僕の胸元に耳を付けるような格好で固まっていた江里さんが、急に何かに気付いたように声を掛けてきた。
それと同時に僕の顔を見ないで、ノールック頬っぺたつつきも実行された。
……そんなことされなくても反応しますから! むしろ生理学的反応してますけど!?
「……どくどく……きこえる! ……どくっどくっ♪」
僕の心臓の鼓動と連動してノールック頬っぺたつつきも継続される。
江里さんの横顔はどうみても笑っているように見えた。
「……えりさん……そろそろお昼休み……終わりますよ」
「……ん~。あと2ふんーっ!」
いやいや、それ二度寝する時のセリフですよ!? 今の状況に使う言葉じゃないです!
「確かに、あと2分ありますけど……」
「……交代……する?」
イヒィィィィィィィ!? こ、ここっこ交代ってどういうことですか!? 僕が江里さんに寄り掛かるってことですか!?
顔を上に向けて僕を見上げた江里さんが独り言のように呟いた。
僕は真正面を向いたまま完璧に固まっていた。
問いに対する答えは決まっていたけど、口がうまく動かない。
「しません!」
「……ん? しゃーせん? ……わっかんなーいっ♪」
そう言って僕の胸に完全に顔を埋めた江里さんが――ギュッと抱き着いてきた。
……さっきされたハグよりもフランクで、なんだか子供っぽくてかわいい……ってぇぇぇぇぇぇぇ!?
「はっなれてください!」
「 」
顔を押し付けながら喋っているせいか、江里さんの吐息がくすぐったい。
それに「しゃーせん」って意味分かって言ってるよね!? 確信犯だよね!?
僕の動揺を知ってか知らずか、江里さんは「しゃーせんーっ!」と何度も呟きながら小刻みに震えていた。……絶対に笑ってる! 間違いなく江里さんが僕をイジって遊んでる!
「にゃぁぁぁぁっ! 離れてください!」
「やだっ!」パッと顔を上げて言ったけど噛んだことが恥ずかしいのか、またすぐに顔を埋めた江里さん
「ネコォォォォォ!?」
「わんっ!」もう一度パッと顔を上げて今度はいたずらっ子のような笑みを浮かべてから、またすぐに顔を埋める江里さん
「イヌゥゥゥゥゥ!?」
「ぴんぽーん!」それだけ言ってやっぱり顔を埋めてしまう江里さん
途中から僕のテンションがおかしくなったけど、ふと……これ永遠に終わらないんじゃ? と気が付いた。
「…………えりさん? なんで離れないんですか?」
だからあえて聞いてみた。
そもそもコミュ障の僕に江里さんの心なんて読める訳がないのだ。
「…… …… ――」
――顔を押し付けたまま言った江里さんの言葉の続きは、予鈴に掻き消されて聞こえなかった……。
~レビューへのお礼~
あるえぇぇぇぇぇぇぇぇ!?(ディスプレイを二度見しながら)
私の見間違いじゃないですよね!? よ、4件目のレビューがぁぁぁぁぁ!?
あらくれマルク様ありがとうございます!(ローリング土下座)
これからもあらくれマルク様の仕事終わりの至福の時の一部となれるよう、すっごい頑張ります!
「……あ、あらくれ、マルクさん…………かんじゃったぁ…………み、みないでーっ!」(ありがとうを言えずに顔を手で隠す江里さん)





