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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編後半

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第52話 ……お邪魔……します?

 昨日は何とか仲直りできたのかな?


 清々しい朝の空気が漂う廊下で、そんな一抹の不安を感じながら教室の引き戸を開けた。


「おは……」


 僕の言葉はそこで途切れた。

 江里さんの席に鞄は掛かっているけど、本人の姿が無い。

 鞄があるということは登校はしてきているはず……そう考えて教室内に1歩を踏み出したら――、


「――わぁっ!」

「――にゃぁぁぁっ!?」


 僕の死角となっていた引き戸の真横から大きな声が鼓膜を直接震わした。

 あまりにビックリし過ぎて何故か両手を上げた僕は後ずさりながら、顔を声の主に向けた。……向けるまでもなく誰かは分かっていたけど。


(えへへ~♪) そーくん、おはよっ!」


 舌先をちょこんと出してはにかんだ江里さんがそこに立っていた。

 未だかつてない程のご機嫌。

 昨日の出来事が幻であったかのような上機嫌。


 …………カハッ!? ……か、かわいい。


 江里さんがかわい過ぎて危うく僕は三途の川を渡りかけた。


「…………お、おはようございますえりさん」


 かわいさに見惚れて挨拶を忘れていたので、ハッとなって返したら何故か江里さんが「 (よしっ!)」と小さくガッツポーズをしていた。……イタズラが成功したってことだろうか?


「……そーくんそーくん!」

「……はい?」

「びっくり……した?」


 ……ビックリし過ぎて逝きかけましたけどぉぉぉ!?


 上目遣いに僕を見上げて。

 それからちっちゃく小首を傾げて。

 成功したことが嬉しいのか、口元にほんのりと笑みをのせて尋ねてくる江里さん。


 【緊急】本日の江里さん、かわいさが大爆発【速報】


 ボケーっとしていた僕の脳内にそんなテロップが流れた。


「はい」

「……ん!」


 江里さんは僕の回答に満足したように長い黒髪を揺らして頷いた。

 その後棒立ちしている僕を気遣ってか、手を繋いで席まで引っ張って行ってくれた。


 ……ただひとつ気になったことが。

 いつもならば躊躇なく恋人繋ぎをしてくる江里さんだったが、今回はどうしてか何度も指を絡めては離し、また繋いでは離すという行動をしていた。

 最終的には恋人繋ぎにおさまったんだけど、前よりもなんだかぎこちない指の絡め方だった気がする。

 江里さん自身もそれに気が付いているのか、不思議そうなボーっとした表情で繋いだ手を見ていた。


 席について鞄を掛けて椅子に腰かけ、長い息を吐いた。

 朝から江里さんの様子がおかしいことは前にもあったけど、今日のはまた異質なものだった。

 一言で言うなら、女神。……あ、いつものことだった。


 なんてどうしようもないことを考えていたら、横から……正確には隣席の江里さんの方から何かを引きずるような音が聞こえてきた。


 なんだ? と目を向けたら、僕の真横に江里さんの顔が!!


「……お邪魔……します?」


 ……どうやら自席の椅子を持ってきたらしい。

 椅子に腰かけて妙に真剣な表情で目を何度も瞬く江里さん。

 イントネーションから僕に尋ねてきているような気がしたのでとりあえず「……はい、どうぞ~」と返した。


 ……って何この状況!? どういうこと!?


 隣席なのにわざわざ僕の席にくる江里さん。

 その思考が読めず僕は固まっていた。


 ――しばし無言の時が流れてから江里さんが唐突に零すように言った。




「私………………好き…………」と…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

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cool

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