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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編前半

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第50話 江里美奈 すきで、好きで、大好きで。私は初めて……。

 江里さん視点になります。

 これで一区切りつきました。

 そーくんに「友達」と言われて嬉しがる私がいた。

 けれどそれと同時に何だかもやもやとしたものが確かに芽を出した。

 ――そしてそれは次のそーくんの「友達の中で1番」という言葉を聞いて……花を咲かしてしまった。


 ……友達の中では1番。――“友達の中では”――。


 私はコミュ障を克服したくて……それがいつの間にかそーくんと友達になることが目的になっていて……いつしかそれすらも超えてしまっていたのだ。


 友達を超えたいという私のエゴ。

 それ以上にもっと仲良くなりたいというワガママ。

 ただ近くに、そーくんの隣にいたいという自己中心的な考え。


 これはきっといけない考え。友達としての関係を崩してしまうもの。


 ……だけど一度想ってしまったものは、永遠に消えることはない。


 私のことをせっかく「友達」だと言ってくれたのに、私はそーくんのことを……、


 ――好きだと想ってしまったのだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ……それから私は逃げるように女子トイレに籠って、


 だめ! 大きくならないで! ……今の関係を無くしたくない。

 やだ! どっかいって! ……そーくんはきっと望んでなんてない。


 ひたすらにこの想いを抑えようと必死に足掻いた。

 永遠に消えないと分かっていたから、躍起になって抑え込もうとした。


 ……けどそれは逆効果だった。


 抑えようとすればするほど想いは込み上げて。

 意識すればするほど明確なものへと昇華して。


 終いにはそーくんの顔を見れなくなって。

 そーくんと呼べなくなって。

 いつもみたいに触れなくなってしまった。

 もしかしたらそーくんは「友達」を求めているだけで、こんなことを望んでいないのかもしれない。

 そう想ってしまったら、急に恥ずかしくなって、いきなり訳が分からなくなってしまって……怖気づいてしまったのだ。


 ――お昼も誘うのが怖かった。


 でもお弁当は作ってしまっているし、ごはんを無駄になんて絶対にしてはいけないと分かっていたから。

 ……ありったけの、かけなしの勇気を振り絞って誘った。

 それから司書室に行って、そーくんが入ってきて、今度はギクシャクするのに恐れて何とか話しかけた。「……今日の鮭……上手く、焼けました!」と。

 何となくぎこちない昼食を終えたところで、そーくんが言った。


「す、すみませんでした!」


 なんでそーくんが謝るの?

 悪いのは私。勝手にいっぱいイッパイになっている私が悪いのに……。


「なら……そーくん……って、呼んでもらいたい、です」


 その後なんて話しをしたのかよく覚えてない。

 ……だって気が付いたらそーくんが私の前にいて、目を合わせてそう言ってくれたから。


 そーくんは、私にそう呼ばれることを望んでくれた。


 ――嬉しくて、溶けるような幸福感に心は躍り上がったけれど…………胸はひどく痛んだ。

 好きだと思ってしまったからこそ、これ以上近付いてはいけないと理解してしまった。


 だから私も名前で呼ばないでほしいと条件を出した。

 そーくんに「美奈」とこれ以上呼ばれたら耐えられなくなりそうだったから。


「……えりさん」

「……ん♪」


 ――そしてそーくんに「えりさん」と呼ばれて、どんな呼び方をされても嬉しくて、やっぱり好きだという想いは止められないと気付いてしまった……。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 抑えられないと分かってしまったので、開き直って。

 あれから放課後にそーくんと大きい本屋さんに行った。

 そこでこの気持ちに関する本が無いか探そうと思って。


 ……そうしたらそーくんが違う学校の人を見つめて動かなくなってしまった。

 見てみたら凄く大人びた綺麗な人だった。


 ……気が付いたらそーくんの目を覆っていた。

 考えるよりも早く行動して、完全に無意識でそーくんに見てほしくないと想ってしまった。

 開き直ったらすぐにこれ。利己的な考えが一瞬の隙を突く。


 そんなことがあったけど何とかお目当ての本を見つけた。

 偶然にも私のバイブル『めざせ会話マスター~全コミュ障へ捧ぐ~』の関連著書だった。

 タイトルは『好き。~その言葉を知ったあなたへ捧ぐ~』だった。


 お会計をするのは結構恥ずかしかったけど、本を読んでちゃんと勉強をしないとコミュ障な私には何も分からなかったので、すぐにレジに向かった。


 バレないで無事に会計を終わらせてそーくんのところに行って。

 マンガを何冊か買うそーくんの横に立っていたら、店長の名札を付けた人から、


「お嬢ちゃん、頑張れ!」


 と声を掛けられてしまった。

 始めは何に対しての頑張れなのか分からないまま頷いたけど、その真意を理解して何度も首を縦に振った。

 ……好き。この言葉を知ってしまったら頑張るしかないみたい。……頑張ろう!

 私はそーくんの横で密かに決意した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 後はおかずの材料を買いにいつも行っている商店街に向かって、帰ってきた。


「……ただいま」

「……おかえり」


 挨拶を口にして、母の声が聞こえて、あぁ、お家に帰ってきた……そう思ってしまった瞬間、張っていた全ての糸が粉々に千切れていった。


「……お母さん……私……どうしたら、いいの?」


 知らず知らずの内にそんな言葉が口から漏れ出して、視界はどんどんとぼやけていった。


「……今日ね……初めて、お友達が出来て」……嬉しかった。


「……すごく、すっごく仲良く……なれたの……」……私すごいでしょうお母さん?


「……なのに……それなのに私は……もっと、もっと、仲良くなりたくて」……でもそれは私のワガママで。


「……けど、どうすればいいのか……分かんなくなっちゃって」……気持ちが抑えられなくなって。


「……気が付いたら……どんどんそーくんがおっきくなっていって」……好きだと気付いて。


「……それで、そーくんの、ことでいっぱいになっちゃって」……大好きだと想ってしまって。


「……もう……わかんなく……なっちゃった――」……ねぇ、お母さん……こんな私を助けてください……。


 溜まっていた言葉が堰を切って流れだし、お母さんに抱きしめられて、撫でられて、私は子供のように大泣きをしてしまった。

 滔々と流れる川のように涙が頬を伝って、それをお母さんが受け止めてくれる。

 言葉にできない安心感。

 しびれるような安堵感。

 徐々に、ゆっくりと、私は落ち着きを取り戻していって。

 結局は涙が止まるまでお母さんに抱きしめてもらった。

 16歳にもなってこんな……少しだけ恥ずかしかった。


「……美奈ちゃん」


 私が泣き止んだころを見計らってお母さんが言った。

 凄く優しい声で、聴いているだけで心が緩んでいく。


「……ん」

「……それは、私が……パパに想った気持ちと、一緒。…………それはね――」


 ――そしてお母さんは言った。自分でも分からなくなってしまっていた今の私の気持ちを。


「――恋……って言うのよ」


 ――どうやら私はそーくん――相田君孝くんに恋をしてしまったみたい。

 前話でそーくんが自覚。このお話でえりちゃんが知りました。

 第50話にしてやっとスタートラインに立ちました(笑


~余談~

 第49話の後書きで言うの忘れてたんですが、私の別作品の元中二病のキャラが登場していますが、時空が歪んでおります(笑

 あっちは新学期初日でこっちは結構日数経ってます(汗

 サザエさん時空だと思って下さい(笑

 それと実は元中二病の方でこちらのふたりがカップルとなって、デートしている描写が一瞬だけあったりします。別に会話とかはのせていないんですけど、唯一のカップルとしてわざとらしく描写していたのはそーくんとえりちゃんだったのです(笑

 2015年に投稿した話のどこかです。改稿もしてますがそれも2015年なので、約2年の歳月を経て、しきはらの中のピースが埋まりました(笑

 という宣伝です!(笑

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