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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編前半

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第38話 江里さんはミートボールをつかめない

「いただきます」

「いただきます」


 三崎先生の私室と化している司書室で、僕らは手を合わせてお昼ごはんを食べ始めた。


 ……余談だけど、僕らが連れ立って教室から出る際皆から何か言われるかな? と少し警戒してたんだけど、誰も何も言ってこなかった。それどころか皆穏やかな目をして僕らを見ていた。……なんか逆に怖かった。一体皆に何があったのか?


「そーくん、そーくん」

「は、はい」


 僕がコンビニおにぎりの封を開けていたら江里さんに声を掛けられた。

 ちなみに今日は進んで具無しにした。江里さんのおかずがあるならば、具は無い方がいいと思ったからだ。

 当然のように隣に座った江里さんから、また脇腹をつつかれるのかと警戒したせいで声が上擦ってしまった。……いや、普段から僕上擦ってるな。コミュ障あるある悲しい。


「み、ミートボール……自信作」


 そう言って蓋を開けたお弁当箱を僕の前に置く江里さん……えっ? ちょっと待って!


 僕の前にひとつお弁当箱がある。

 そして江里さんの前にもかわいらしいサイズのお弁当箱がある。


 ……何が言いたいかというと……江里さんが僕のためにもうひとつお弁当を作ってくれたようだ。


「え、江里さん!? お弁当が……僕?」(江里さん、このお弁当は僕の分ってことですか!?)

「……ん」


 歓喜のあまり言葉がめちゃくちゃになったけど江里さんは理解してくれたらしく、瞬きと短い肯定を返してくれた。


「ありがとうございます……江里さん!」

「……ん~……だめ」


 ……何がっ!?


 感謝を述べただけなのに唐突にダメ出しされる僕。……何がいけなかったのか? そもそも何が「だめ」なのかすら分からない。


「あの、江里さん?」

「……だめ」イヤイヤをしながら

「……えざと――」

「――だめっ」×マークを指で作ってイヤイヤをしながら

「……えざ――」

「――だめーっ!」立ち上がって身体ごと揺らしてイヤイヤをしながら

「え……!? むぐうぅぅぅぅ……」

「やだぁーっ!」


 僕の言葉を遮って首をイヤイヤと左右に振っていた江里さん。そして何故か最終的には僕の口を手で覆って涙目で訴えかけてきた。


 江里さんの手がぁぁぁぁぁぁぁ!? 僕の口をぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 覆ってるぅぅぅぅぅぅぅ!?


 ……いや、冷静に考えてどんな状況だこれ? 何が起きてるんだ!?


 訳が分からなすぎてパニックにもならず、逆に冷静になった僕は江里さんの手を慎重に剥がしてから問いかけた。


「……どうしたんですか?」

「……江里さんって……」

「はい?」

「呼ばれるの……いや」


 眉を下げた江里さんが上目遣いに僕を見上げた。その瞳には不安そうな光が弱く灯り、庇護欲をかきたてる。

 はい、かわいい。文句なしにかわいい。僕、陥落。


「なんて呼べば、いいですか?」

「……ん~」


 僕には答えが分からなかったので江里さんに逆に聞いてみたら、こめかみに手を当てて考え始めてしまった。

 少し経って「ごはん……終わるまでに、考えとく」と言って、どこか上の空でごはんを食べ始めた江里さん……その証拠にミートボールを掴もうとした箸が何度も空を切っていた。


 ――僕はそんなぼーっとした江里さんのお箸をミートボールに誘導しながら、ごはんを食べすすめた。

 タイトルのポンコツ感がスゴイ! ……いや、ポンコツなんですけどね(笑

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