第35話 江里美奈 指を絡めて
第27話の江里さん視点になります。次話も江里さん視点となります。
チャイムが鳴って、三崎先生が教室から出て行ってすぐのこと。
私の隣人、相田くんを取り囲むようにしてクラスの人たちが一斉に集まった。
急な事態に私は何も出来ずに座ったまま、どこか遠く感じてしまう相田くんを見つめた。
……相田くん人気者だ。
心の内で少しだけ感じる違和感。
言葉で言い表すならもやもや。
なんでこんな気持ちになるのか分からない。
ただひとつだけハッキリとしていることは、今の相田くんを見ているとそう思うということだけ。
「……べ、別に……」
何が「別に」なのかは分からなかったけれど、皆が口々に喋る中で不思議と相田くんの声だけはすんなりと私の耳に入ってきた。
聞きなれた声はいつも私と会話をするような調子で。
普段通りの相田くんで。
それがなんだか少しだけ……ほんの少しだけ、寂しい気がする。
相田くんは私の隣人で、それ以上でもそれ以下でもない。
なのに私は……何を感じているの?
色々な感情が絡まってグチャグチャになった。
自分の心が分からなくなり、居ても立っても居られなくなった私は気が付いたら叫んでいた。
「だめーっ!」
制服の裾を思い切り、シワになるくらい強く握って振り絞った言葉。
私自身「だめ」という言葉が出てきたことが理解出来なかった。
一体何に対しての「だめ」なのか?
私がいきなり大きな声を出したから、皆が私を見た。
至極当然なことだったけど――そこで私は理解してしまった。
私は相田くんを……、
「とっ……とら………………」
理解してしまったからこそ、急に恥ずかしくなって。
それに相田くんにも見られていることに焦って、言葉の続きは出なかったけれど……。
とらないで!
私は皆に向かってそう言おうとしていたのだ。
……これは何?
言いたかった言葉は分かった。でも、感情はまだ分からない。
私の中のもやもやは未だに継続されている。
「か、帰ろう……江里さん」
その言葉に顔を上げたら私の目の前に相田くんの手があった。
これは……相田くんからの一緒に帰ろうとのお誘いでしょうか!?
お父さんより細くて、私よりかは太い指。
お買い物に行く時などにたまに繋いでいるお母さんの指に近い気がする。
私の勝手な勘違いだったらどうしよう……そう考えながらおそるおそる自分の手を相田くんの手に重ねた。
手のひらに乗せただけで分かる心地好さ。
安心感……とでも言うのだろうか?
とにかくすごくしっくりと、ぴったりと、文字通り手に馴染んだ。
そしてそのままいつもみたいに指を絡めて繋いで、そこでようやくこの気持ちが何なのかを気付くことができた。
……私も相田くんともっとお話しがしたい。
皆よりもひと言でも多くお話しがしたい。
……相田くんの隣人として、一番仲良くなりたい。
皆よりも近くで、長く一緒にいたい。
……そう。この気持ちはきっと――相田くんとお友達になりたい、というものだと。
「……んっ♪」
江里さんはどうやら相田くんと友達になりたいそうです。(棒読み)
……友達とは一体?





