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僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。  作者: 識原 佳乃
本編前半

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第16話 江里美奈 ん゛~っ!?

 私にはひとつ気になっていることがありました。


 ……それは相田くんの休憩時間の過ごし方です。私の唯一の隣人、相田くんは休憩時間になると決まって机に伏せって眠ってしまいます。

 授業が始まっても眠り続けていることがあるので、何度か私が起こしました。ぼんやりとした寝ぼけ顔の相田くんが見れるのは隣人の役得です。

 休憩時間をどのように過ごすのかは各人の自由ですし、いつも読書をしている私が言えた義理ではないのですが……ちょっとくらいおしゃべりをしたいな、なんてワガママなことを考えていたり……。


 そこで私は解を出しました。


 ……彼を知り己を知れば百戦殆うからず。敵はあの机。きっと心地好い睡眠を誘う秘めたる何かがあるのだと。


 そうなれば私に出来ることは、相田くんの行動を真似てみることです。

 そして睡眠以上の娯楽を相田くんと共有して、休み時間のコミュ障タイムも脱却してみせます。


 ……なんてそれっぽい理由を並べ立てたけれど、結局のところ相田くんとおしゃべりしたいだけだったりします。


「……ん」


 目を瞑って視覚を遮断。腕で耳を塞いで聴覚を遮断。

 私に残された五感の内、今フル稼働するものは……嗅覚だけでした。

 落ち着こうと深呼吸をしてみると私の机とは違う匂いがすることに気が付きました。


 ……ん。これは相田くんの匂いでしょうか?

 シャンプー……ではない気がします。

 ボディーソープ……でもないような気がします。

 芳香剤……のような不快にならない優しい香り。

 パルファム……ほどきつくなくて。

 オーデコロン……よりも自然な香り。


 ……この包み込まれるような匂いは……柔軟剤! きっと柔軟剤の香気で間違いないです!


 私の匂いフェチという新しいフェティシズムが開花した瞬間でした……冗談です。私は元から匂いフェチです。……ん。何か問題でも?


「え、江里さん?」


 ……ん゛~っ!?


 身体が固まってしまいました。動きたくても動けない、逃げたくても逃げられない、どうやら私は極秘任務を失敗したようです。


 ずるいです! この机は私を罠にハメました! 術中にまんまと陥れられました!


 相田くんにとってはこの机は自分の匂いがする“移行対象”だから、安心感を与えてくれて眠くなるのであって!

 私にはその匂いは毒でした! 緊張で眠くなんてなれる訳ないです!


 ――内心で荒んでいる私は、羞恥と焦りで押し潰されて余計なことを口走りながら謝りました。……あぁっ!

「そ、そのっ! ……寝心地が、いいのかなって……ごめんなさい!」と。

 相田くんは柔軟剤の匂いがする系男子。

 いつも机に突っ伏しているので柔軟剤の匂いが付いてしまっています。

 相田くん自身は自分の匂いに気付いていない系男子です。こやつ小悪魔か……(え?

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