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98話

「ディアンドルを新調?」


 同じ席で早くもビールを飲み始めた、先ほどの男性の友人らしき人物が、なにか引っかかったようで聞き返してくる。


 そんなに珍しいことっスかね? と、アニーは腑に落ちなかったが、テオから聞いたことをそのまま伝える。


「はい、他に作る予定があったから、ついでに何着か新しく……だそうですけど……」


 語尾が弱くなっていったのは、男性達がなにかに気づき、悪巧みをしていそうな顔に変化したから。言っちゃダメだったのかとドキっとしたが、特に変なことは言っていないし、見ればわかること。自身を落ち着ける。


 男性達は頷きながら、なぜか乾杯をする。


「なるほど、そういうことか……」


「だな」


「?」


 納得したようで、上機嫌になり、さらに追加でビールを注文。その後もしこたま飲み、お会計へ。


「あれ? お客さん、チップ多いっスよ。いいんですか?」


 会計はレジではなくテーブルで行うのが一般的。そしてチップはその金額の一〇パーセント程度か、多めにキリのいい額を支払い、残りはチップ、というのが多い。しかし、数えると二〇パーセントほどの額になっている。


 一応、間違えていないかアニーは確認する。


「いいのいいの。それはお嬢ちゃんとテオのぶん。そうか、あいつがねぇ……」


 目にうっすらと涙を浮かべながら、手を振って店を出ていく。


「? ありがとうございます」


 飲み過ぎて気分がアガっているんスかねぇ、と解釈したアニーは、気を取り直して接客を続けるが、その後もやはりなにかを察知したお客さんからのチップが多い。不思議に思い、それを念のため、キッチンのテオに伝えておく。


「テオさん、なんか色んな人から多めにチップもらってますけど、なんかあったんですか?」


 まぁボクはラッキーですけど! と、無邪気に破顔する。もらえるものはもらう。遠慮するほうが失礼。


「うーん……やっぱみんな知り合いみたいなもんだからなぁ……」


 その理由をテオもわかっている。言うのは恥ずかしいから黙っていたが、そのうちバレるとは思っていた。予想より早かったが、みんなには感謝しかない。


 しかし、それがアニーにはつまらない。みんなで秘密を共有しているが、自分は外側。混ぜてくれてもいいのに、と不満を漏らす。


「なんスか、みんなで秘密ばっかり。ところで、たぶんあちらの方、胃酸過多です。胃が荒れてますね、コーヒー淹れちゃって大丈夫っスか?」


 気を取り直して、店内を隈なくチェックすると、気になる人がひとり。島中のひとり席で、ゆったりと読書を楽しむ男性。コーヒーの注文が入った。


 その人を確認し、驚いたテオはアニーに追求する。


「……え? たしかにあの人は、この店でも一番くらいにコーヒーをガブガブいっちゃう人だけど……わかるの?」

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