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14 Glück 【フィアツェーン グリュック】  作者: じゅん
ビリヤードとダーツ。
282/320

282話

 なに言ってんだか。そんな冷めた口調でビロルは完全に否定。


「聞かねーよ。俺の手間が増えるだけだ。自分でなんとかしろ。アニーだけで充分てんてこ舞いなんだよこっちは」


 真の店長が場をかき乱す。なんということ。これ以上追加されても、時給も変わらんのにやってられるか。一応は自分も大学生なわけで。比較的自由とは言っても、やらなきゃいけないことも多いわけで。


 感情は揺れない。そういうヤツだとカッチャも知っているから。店長以外だと、こいつが一番腹を割って話せる。


「あんたってそういうとこあるわよね」


「あ?」


「感謝してんのよ、一応」


 苦々しく「そいつはどーも」とビロルは謝辞を述べる。感謝はいらんから、手間を減らしてほしい。


 ふぅ、とひと息つく。ほんの少し、苦くて重いものが空中に消えていく気がしたカッチャ。なにか解決したか、と言われればなにもだが、クライミング中に足場を見つけて休めたような。「さて、頑張るか」と気を入れ直すくらいには。


「それじゃよろしく。注文とってくるわ」


 帰ってきた時にはクイーンズ・ガーターが出来上がっていると信じて。それを飲んで。アルコールの力を借りて。そんで仕切り直し。


「こんにちは。注文は?」


 こんばんは、だったかな? なんて曖昧な時間帯。どちらでもいいか。入り口の近く、カッチャが注文の決まっていそうな人物に声をかける。女の子。というかこの制服。


 メニューを閉じたその少女は、頬杖をついて——


「ふむ……なにか悩んでいそうだね。酒でも飲んで乗り切ろう、みたいな。そんな感じ?」


 まず、観察から入った。口元には悪そうな笑み。頭の先から足の先まで、得られる情報を全て余すことなく。


 注文を記そうとメモの準備をしたカッチャの手が止まる。


「……は?」

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