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227話

 なるほど、エスプレッソは凍らせたほうがいい、と。ならもうひとつの主流にもリディアは追求してみる。


「ドリップの場合は? こっちも冷凍して、それで解凍すべきなの?」


 エスプレッソとは違い、ゆっくりとお湯を注いでじっくり待つドリップ。そのままならともかく、グラインダーで挽くのであれば同じでは? と先に予想しておく。


 しかし、ユリアーネの結論はそれとは違う。ドリップでは明確な違いが出る。


「逆に、解凍せずにそのままです。昔は同じように解凍してからというのが一般的でしたが、今は粒度や微粉の関係から、凍らせたままのほうがいいというバリスタも。世界大会でもわざわざ液体窒素で凍らせてから淹れる方もいるくらいです」


 それを真似て淹れてみたが、たしかにこっちのほうがいいかも、とその当時は思った。再度念を押しておくが、好みなのでこのあたりは人それぞれ、とのこと。絶対、というものはない。


 指先でつまめる程度の果実。そこにも無限に広がりがある。地球ってすごいねぇ、と規模大きくリディアは感嘆。


「なるほど。寮に帰ったら凍らせてみようかな」


 シシーにも教えてあげよう。役に立つならなんでも。


「自分の好みを見つけるのも楽しみですからね。色々試すのはいいことだと思います。必ず密閉してくださいね」


 そうしないとまわりの香りを吸い込んでしまい、コーヒー本来の味が出せない。注意喚起をするユリアーネ。


 そんな先人の知恵を聞きつつ、ゆっくりとベアトリスはコーヒーをいただく。本当は砂糖を入れたかったが、そこまでこだわられると、いつもの味と比べてみたくなる。


「……美味いな。人が淹れたものだと特に」


 普段、どうしても出てしまう雑味のような部分。そこがない。ちょっとしたことなのだろうが、この味を覚えていよう。


 喜んでもらえたようでユリアーネも安心。嬉しい、より安心が勝つ。


「ありがとうございます」


 そしてお次は今回のメイン。スプーンを手にリディアの気持ちが逸る。


「それで。やっとこっちだね。どう食べるのが正解?」


 まぁ、掬って食べる以外ないんだけど。なにかこう、っていうのがあれば教えてほしい。


 特にそのへんはベアトリスも考えていない。作ったのも自分じゃないし。


「なんでもいい。ゼリーだけでもプリンだけでも。一緒に食べても」


 あとでなにかあるのか聞いておこう。足すものとか。

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