表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/319

217話

 なるほどねぇ、とリディアとしてもその考えは尊重したい。わかるわかる。


「恋愛絡みだろうからね。男、って言ってるし。時季的にもそんな感じだし」


 フランスでは、ショコラーデが大きく売れる時期は二つ。四月のイースター、そして一二月のノエル。店によっては売り上げの大半をこの時期に記録することも。燃やした灰が魔除けになる、という言い伝えから、薪を横にした形のブッシュ・ド・ノエルは定番のケーキ。


 しかし、オペラ座やオスマン建築といった、パリの街並みをモチーフにしたケーキの売り上げも成長著しい。〈WXY〉では、様々なブッシュ・ド・ノエルを先んじてカフェでも食べることができるので、この時期はいつも大盛況となる。


 ドイツといえばシュトーレンだが、プレッツヒェンやレープクーヘン、エンゼルスアウゲンといったクッキーも欠かせない。一一月半ばあたりから準備を始めるところもあるが、新年までに食べきれないほど焼くのも珍しくない。なので、少しパリのショコラトリーに物足りなさも感じる。


「そういった方々に対して、売れているメニューをお伝えする程度にして、色々と吟味してもらうのもいいかと。そうすればお店の利益にもなるわけですし」


 まだまだノエルのイベントは今後もある。今日だけで満足してもらわないように、アニーは奥の手として。それがユリアーネの策略。ということにしておく。


 だいたいノエルは新年とセットでフランスでは考えられている。間も一週間ほどしかないため、色々と仕込んだものをしまうなら全部終わってから、という考えから。なので新年を迎えても赤白緑の模様替えが終わっていない店もちらほら。


 したたかだね、とリディアは敬服。


「色々と考えてる。経営者視点。そんでもって、その女性もお店の常連に今後なってくれるかもだし」


 何度も何度もリピートしてもらう。それだけの味はあるということ。さすがM.O.F。難しい、食という分野の国家憲章を取得しただけあるのだろう。


 言いたいことは言われてしまった。果たして効果はあるのか、はわからない。が、ユリアーネはひとまず対応としては間違っていないと信じたい。


「さしでがましいかもしれませんが。しかし男性となると、なにが正しかったのかと今になって」


 答えはないけど色々と考えてみたい。この時季、ドイツのテュービンゲンではドイツ最大のショコラーデのフェスティバルがある。世界各地から様々な露店がマルクト広場に集合。特殊なものも多いらしいし、行ってみようか。全てが勉強。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ