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212話

 練乳を入れたとはいえ、元は苦味の強いコーヒー。おそるおそるアニーは口をつける。そして。


「……これ、美味しいっスね! ベトナムを感じます」


 苦味だけではなく、スイーツのような甘さも。砂糖とはまた違う、ガツンとくる甘さだが、不思議とそれが合う。東南アジアの風を感じた気がする。が。


「……ブラジル産の豆なんですけど……」


 今回はベトナムコーヒーではあるが、形式だけで使っているのはユリアーネが一番合うと思ったブラジル産のもの。もちろんベトナムのロブスタもそれはそれで美味しいが、個人的にはこちらに軍配が上がっている。なので使用した。


 その衝撃の答え合わせにアニーは一歩後退する。


「! マジっスか! 農場の主、グエンさんの顔が思い浮かんだんですけど!」


「誰ですかそれは。たぶん主はガブリエルさんとかエジソンさんとか、そんな感じの人だと思います」


 知らないけど。つられてユリアーネも適当な名前を言ってしまう。ブラジルに多そうな。


 ゴクゴクとアニーの喉を通り抜けるコーヒー。半分飲んだところで残りを手渡す。


「それにしても、ベトナムコーヒーって甘いんスねー、コーヒーが苦手な人でもこれならいくらでもいけそうっス」


 そういう飲むスイーツのような。まだ舌の上に感触が残る。経験したコーヒーの中でも最も甘い。が、どこか癖になる。


「本場の味はもっと甘いみたいですよ。エスプレッソにも練乳が付いてきますし、ラテアートで使うミルクも少し違うとか」


 いつか行ってみたいとユリアーネは考えている。ついでにバインミーもセットで。できるだけ現地の食べ方も研究してみたい。


 そうなるとアニーも触発され、世界的な産地を訪れたくなってしまう。


「文化の違いみたいなのも面白いっスねぇ。そっちに姉妹校があればいいのに」


 そして今回の留学のように、できれば自分の懐からの出費でないとなお良し。


 しかしユリアーネはしっかりとそのあたりも注意喚起しておく。きっと知らないだろうから。


「向こうは毎日気温三〇度を超える地域もありますよ。雨季の直前は四〇度とか。湿度も七〇パーセントを超えていて、こちらのような暑さよりも厳しい環境です」


 少なくとも、気温が氷点下になることはないらしい。冬はとにかく寒いドイツ。果たしてどちらが過ごしやすいのか。


 想像して、言葉を失うアニー。暑いよりかは寒いほうが好き。むしろ、寒いと連呼しながら熱い紅茶を飲みたい。


「……」

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