表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/320

182話

「……やっぱりやめましょうか……」


 覚悟が決まらない。決めたつもりが決まらない。でもこうしている間は、ララを待たせていることになる。早く行かねば。


「……恥ずかしい、です、けど」


 きっと彼女の影響力があれば、かなりいい宣伝になるはず。恥ずかしいとか言っている場合ではない。これはオーナーとして、売上のためにやっているわけで、と自分自身に催眠術をかける。よし。いける。


 そしてバックルームからホールへ戻ってきたユリアーネを見かけたダーシャは、トラブルでも起きたのだろうかと思い声をかける。


「どうしたの? なにかあった——」


 と言いかけたところで、声を失い、「え? え?」と狼狽するのみ。


 それを尻目に、少し気にしながらも、ユリアーネは深呼吸を多めに繰り返してララの元へ歩く。一歩歩くごとに緊張が高まる。汗が噴き出る。足が震える。


「……お待たせしました」


 そう、声をかけられたララは、顔を上げた。


「……え?」


 そこにいたのは当然ユリアーネ。なのだが。


「……それ、ディアンドル?」


 先ほどまでのシックな制服とは違い、赤いボディスや、花柄のロングスカートと黒いエプロン。そしてピンクの紐。いわゆる、ドイツの伝統衣装ディアンドルに身を包んだ少女。


「……どうせ写るなら、お店の宣伝になるように……大丈夫でしょうか……?」


 言ったものの、やっぱりやめようかという気持ちが再燃してきたユリアーネ。恥ずかしいものは恥ずかしい。間接照明のおかげでわかりづらいが、みるみる全身が赤らんでいく。


「……」


 衝撃を受け流しきれないララは、少しずつ体がソファーに沈んでいく。脳が処理しきれない。が、少しずつ追いついてきたところで、ガバッと震えるユリアーネの両手を握った。


「…………イイッ!」


「え?」


 ものすごい速さで接近するララから逃れることができず、今度はユリアーネがうろたえる。


 が、そんなことはおかまいなしに、機敏な動きのララは携帯を構えだす。


「すごくいい! ちょっと撮らせてッ!」


「え? え?」


 ユリアーネはされるがまま、撮影会が始まった。


 様々な角度からポーズをもらうララ。「こっち見て」「上目遣いで!」「恥じらいを持って!」など、多岐にわたる指示。


「あの、これは一体——」


「いいから、はい、指を咥えて」


 と、さらに過激に続行するララ。まわりの客達も、にわかにざわつき始めたところで、視線を感じ一旦終了。


「ちょっと待ってね」


 自身の欲望にまみれたファイルが出来上がる。「ヒヒッ」と怪しげな笑いを浮かべながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ