177話
すかさず、意を汲み取っていたシシーはフォローを入れた。
「世の中を疑ってかかることは悪いことじゃない。気にしないで」
むしろ、アニーに対しての評価は上がったまである。友人を大切に想う気持ち、実行する行動力。いい。すごく。
「……本当に、ユリアーネさんのこと、なんとも思っていないっスか?」
最後に一度、見破るための問いかけ。これでなにも出なかったら、この人は信じることができる。
カップを置いて立ち上がるシシー。今度はアニーの頭を撫でる。
「なんとも……と言うと、それはそれで彼女に申し訳ない気もするけどね。可愛いとは思うし。だけど、キミが訝しむようなことはないよ」
「……信じますよ……?」
「それは答えなくても、キミならわかると思うけど」
手玉に取り、この場を納めるシシー。優しく上級生として労わる。
張り詰めていた緊張を、大きく吐き出し、上目遣いで見上げるアニー。
「……ごめんなさいっス……」
こんなはずではなかったが、なにもないならそれでいい。考えすぎだったということで、自分自身も納得。
「いや、むしろいいものを見せてもらった。ありがとう。紅茶も美味しいし」
美しい友情。自分には経験がない。エネルギーのように補給できたことは、自分への活力にもなる。
やってしまったことは仕方ない。ここからの行動で取り返そう、とアニーは張り切る。
「……おかわり持ってきます! お茶菓子もどうっスか!?」
ユリアーネさんが買ってきてくれたお菓子、今こそ食べる時、と感謝。急いでキッチンまで取りに——
「それよりもさ、ファーストキスのこと、聞きたかったんだったね」
「はい?」
返事をするよりも先に、アニーは引き寄せられた。




