104話
だがまだ頭がポワッとしているアニーは、景色やのどかな雰囲気も相まって、楽観的に物事を捉える。
「いーじゃないですか。ほら、羊もヤギもこんな穏やかだし。それにしても、なんで混むって思ったんですか? 全然教えてくれませんけど」
思い出したように、ユリアーネが来ることになった理由を尋ねる。
「……まだ気づきません? 結構ヒントはお伝えしたと思いますけど……」
ニブい……自分のヒントの出し方が悪かったのか、とユリアーネは悩んだ。再度じっくり考えてもらう。
「新しいディアンドル、スタッフの体調不良、みなさんがチップを多くくれる、とかですか? むーん……」
お手上げ、という状態のアニーを確認し、もうひとつユリアーネはヒントを投下。もう答えを言ったほうがいいか。
「さらに言えば、ディアンドルのリボンの結び目、というのもヒントですね」
結び目の位置、つまり女性の立場を表す。
「もしや……!」
顔を上げて、アニーが驚きの声を上げる。答えが絞れたようだ。
ユリアーネも安心し、答え合わせに移る。長かった。だが。
「そうです、おそらくそのスタ——」
「女性スタッフさんに新しいディアンドルを着せて、それを眺めて楽しもうとしたところ、その方が精神的苦痛で病んでしまった……ということっスね! それも村ぐるみで! 爽やかな見た目に反して、やることが汚いっス!」
やっぱり大人は汚いっス! と、アニーは憤慨する。
「……」
かたやユリアーネは諦めの表情で、おとなしく見守ることにした。
「ガツンと言ってやらないと! さぁ、行きますよ! 羊さん達も! のんきに草を食べてる場合じゃないっス! 一緒にあの店に突撃を——」
「違います。とりあえず、すぐにわかると思いますので、アニーさんは黙っててください」
もう面倒なので、ユリアーネは能天気なアニーを放置して先に歩いて行くことにした。考えれば考えるほどに枝分かれして違う方向へ。それならばいっそ、頭を空にしてもらう。
そのピリついた雰囲気に、アニーはまたなにかやらかしたか、とシュンとする。
「……はいっス……」
そのままトボトボとユリアーネの後ろをついて行くことにした。




