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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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526.アオの怒り part2

526.アオの怒り part2






アオが丸くなって少しの時間が経った頃。


「アルド、見て。血溜まりが……」

「瘴気が浄化されてるのか?」


「ボクには分からない。でも血がどんどん綺麗な水になってく」

「ああ。アオが必死に頑張ってるんだろうな」


アシェラの言葉の通り、主の血溜まりは徐々にその色を薄め綺麗な泉へと変わっていく。

ふぅ……この様子だと何とかなりそうだ。良かった……マナスポットを解放に来て、「間違って壊しちゃいました。テヘペロ」なんて、笑い話にもならない。


後始末を全て押し付けて申し訳ないが、アオには是非頑張ってもらいたいと思う。

魔瘴石なら、先日のグレートフェンリルとドライアディーネの迷宮踏破で2個は手に入れてある。


グリムから貰った物も残っているし、必要なら遠慮せず使ってほしい。


「しかし……何か想定してたのと、だいぶ違う結果になったな……」

「うん。お師匠の魔法だともしかして……って思ってたけど、アルドが何も言わなかったからボクも黙ってた。ごめん」


「いや、お前のせいじゃないよ。オレがもっと考えなくちゃいけなかったんだ。でも、母様の魔法……魔王の一撃はとんでもないな。あの人は本当に魔王なのかもしれん」

「お師匠の魔法は凄い。ボクは一生かけても、あの高みに辿り着ける自信が無い」


「お前が無理なら、オレなんてもっと無理だ。しかも母様は、恐ろしい事に今でも毎日 魔力操作の修行だけは欠かさないからな。追いつくどころか離される一方だ」

「うん。ボクはこの世で一番強い魔法使いは、お師匠だと思ってる」


「確かにな……オレも母様以上の使い手を想像できない。今頃、一撃で主を倒したって、高笑いでもしてるんじゃないか?」

「あ! お師匠をそのままにしてる。あんまり長い間 放っておくと、拗ねて悪い事を考え出す」


「う゛……これ以上の問題はちょっと……アシェラ、悪いけど母様を呼んで来てくれるか? オレはこのままアオの護衛を続ける。コイツも放っておけないからな」

「分かった」


そう言うと、アシェラはそのまま空へ駆け上がっていく。

氷結さんは、何が切っ掛けで暴発するか分からないから……アシェラには悪いが、ヤツのお守りを頼みたい。


こうして当初の予定とだいぶ違うが、何とか無事にマナスポットを解放したのである。



◇◇◇



アオが丸くなって丸1日が経った頃。そのままの姿勢でピクリと身動きした後、ゆっくりと起き上がった。

しかし顔には明らかな疲労の色が見え、足元もおぼつかない様子だ……マナスポットの修復がどれだけ大変だったか、嫌でも感じられる。


「アオ、大変だったな。マナスポットは無事だったか?」


そう話しかけた瞬間、目の下に隈を作ったアオに睨まれてしまった。

あ……これ地雷を踏んだかもしれん……


想像してほしい。誰かのミスで徹夜を強制され、やっと仕事を終えた所に「出来たか? 大変だったな」などと軽く言われた所を。

しかも それ言ったのが、ミスをした張本人であるなど、アオでなくとも頭にくるのは当たり前である。


「アルド! 何だよ、その態度は! 僕がどれだけ必死にマナスポットを修復したのか分かってるのかい!」

「え? あ、ちょっと待ってくれ。ま、魔法を撃ったのはオレじゃない。母様なんだ……」


アオのかつてない剣幕に、怒りの矛先を変えようとしたのだが、近くのハンモックに揺られていた氷結さんが会話に入ってくる。


「2人共、ちょっと待って頂戴。アル、幾つか聞きたいんだけど良い? 最初に、このパーティの指揮は誰が執ってるのかしら?」

「僕です……」


「次の質問よ? 今回の作戦を立案したのは誰?」

「……それも僕です」


「じゃあ最後の質問。指揮を執って作戦も考えたアンタは、それでも魔法を撃った私に責任があるって、本気で言う気なのかしら?」

「………………いえ、今回の件は、全て僕の責任です」


「分かってるなら良いわ。アオ、続けて」


そこからは正にまな板の上の鯉、アオからこんこんとお説教をされてしまったのだ。

曰く「アルドは使徒だろ! マナスポットを壊そうとするなんて何を考えてるんだよ!」から始まり、「今回は何とかなったけど、次からはちゃんと気を付けててよね!」と締めるまで、正論で殴られ続けたのである。


もうやめて……アルド君のライフは0よ。

いや、まぁ、確かに作戦を考えて、発射を指示したのはオレだけど……でもオレだけが悪いのか?


割り切れない思いはあるものの、「魔王の一撃」の威力は知っていたわけで……誰が一番 責任があるかと問われれば……

やっぱりオレなんだよなぁ。ハァ……次からはもう少し周りの影響も考えよう。


アオの話では、今回は泉がマナスポットで助かったのだとか。

岩のマナスポットであれば、ほぼ確実に壊れていたそうだ。


アオが怒り疲れて「もぅ、アルドは……ハァ……」と呟いた所で、ハンモックに揺られ続けていた母さんがが会話に入って来る。


「アオ、そろそろ気は済んだ? だったら私達をブルーリングへ飛ばして頂戴。私、お腹が空いてきちゃったわ」


おま、オレが怒られている間、ずっとハンモックに揺られてただけだろうが!

何でそんなに偉そうなんですかね?


そもそも、アナタにも少しは責任があると思うんですか。

アオと互いの顔を見つめながら、大きな溜息を吐くしか出来なかったのである。



◇◇◇



「ただいまー」

「お帰りなさい、アルド。アシェラとライラもお疲れさまでした」


アオにブルーリングへ飛ばしてもらって、真っ直ぐ自宅へ帰ってきた。

本当は祖父さんとエルへ今回の旅の報告をしないといけないのだが、それより先にオリビアへ伝えなければならない事がある。


「オリビア、エル経由で手紙を送っておいた件だけど、ライラが妊娠したんだ。医者に診せたり色々としなきゃいけない事は分かってる……でも、先ずは新しい家族のためにお祝いしたいと思う。ダメかな?」

「いいえ、私は大賛成です。ライラ、おめでとう。立ちっぱなしは辛いでしょう? 先ずは鎧を脱いで、楽な服に着替えてください」

「ありがとう、オリビア」


オレ、アシェラ、ライラは自室で鎧を脱ぎ、楽な恰好へ着替えてリビングへ戻ってきた。

メイド1号のジュリと2号のパメラはお祝い用の料理に取り掛かっており、この場にはオレ、アシェラ、シャロン、オリビア、レオン、ライラの6人が座っている。


「でもライラに子供が……レオンの弟か妹が生まれるんですね。とっても楽しみです」

「レオンだけじゃない。シャロンの弟でもある」


「アシェラ、まだ男の子と決まったわけではありませんよ?」

「うーん……そうだけど……ボクは何となく男の子の気がする」


「そう言われてみれば確かに私もそんな気が……何故でしょう? ライラは男の子と女の子、どちらが良いですか?」

「昔は最初に男の子が良いって思ってたけど……今は元気に生まれてきてくれれば、どっちでも良い……」


そう話すライラの顔は、我が子への慈愛に満ちていた。

シャロンとレオン、それに新しい子供……よーし、パパ、お前達の未来のために、もっともっと頑張っちゃうぞ!


主なんぞ片手で捻れるようになるからな! 1年……いや5年……10年ぐらいあれば……やっぱり無りかも……

一人アホな思考の海から戻ると、3人の嫁が新しい家族の誕生を心の底から喜んでいる。


あー、オレ、なんて恵まれてるんだろ。本来、この関係は、一歩間違えれば お互いを疎んでもおかしくない。

この心地よい空気は、お互いの努力で出来てるんだろう。些細な日々の生活の中での小さな譲り合い。


お互いを信頼し合っているからこそ出来る行動だ。

この空間を守るために、オレの出来る事……彼女達の決定に絶対 逆らわない事。例え夜の順番にオレの意思が一切 反映されなくても、文句を言ってはいけないのだ。


そぅ、オレは従順な子羊なのだ……狼になるのはベッドの中だけなのだー。3人でなんて望んじゃいけないのだぁぁぁぁぁ!!!

心の中で熱いシャウトを叫んでも、表情には一切出してはいない。


正にクールガイ! オレの心はどんな時も冷静だ。アイスマンと呼んでくれ!

………………


うん……まぁ、なんだ……ちょっと心の叫びが漏れたと言うか……

そこからはジュリとパメラが用意してくれた、いつもより少し豪勢な夕食で新しい命を祝ったのある。



◇◇◇



何故か深夜に目が覚めてしまい、隣に眠るオリビアを起こさないよう、そっと屋根の上へ抜け出してきた。

そう、今日はオリビアの日だったのだ。


恐らく旅に同行出来ないオリビアを、アシェラが気遣ったのだろう。普段なら何かを言うだろうライラも、今は身重なため大人しく従ったに違い無い。

3回戦を戦い抜き、お互いに精も根も尽き果てたはずなのに、誘われるように屋根の上へ1人やってきた。


頭上には雲一つ無い空に満月が浮かんでいる。


「何処で見ても空だけは変わらないな……南半球では、太陽の傾きだけは反対だけどな……」


アルジャナへの旅を経験してみて分かったのは、北半球とは対照的に南半球では冬になるにつれ太陽は北へ傾いていく。


「やっぱりここは惑星なんだな……基本的な物理は同じだし……もしかして地球と同じ宇宙なのかもしれないな……天の川銀河じゃなく、何処かの遠い銀河……」


考えても詮無い事なのは分かっている。しかし、もしかして……宇宙には2兆だかの銀河が存在すると聞いた事があった。

であれば、魔法の使える星があっても不思議では無い気がしたのだ。


「ふふっ……あの世界に未練なんか無いのに。使徒なんて貧乏くじを負わされてるが、オレの幸せはここにある……ここが良い……」


柄にもなく浸ってしまったが、改めてオレの生きる意味を確認できた気がする。


「さてもう少し寝るか。明日はシャロンを連れて開拓村にルーシェさんを訪ねるんだからな……サンドラ卿もレオンを見たがってるみたいだし……どっかで顔を出さないとなぁ……」


日本では終ぞ出来なかった結婚……更に望外の子供まで……子供達の将来のために気合いを入れ直すのであった。





アルドの異世界転生のコミカライズ1巻が2/25に発売されます(>_<)


作者は亜城シロ先生。現役の高校生でジャンプ新人賞を取った天才さんです。

是非、手に取って貰えると嬉しいです(*´Д`*)


オーバーラップノベルズから3巻も発売中なので、そちらも是非 お願いします(●´ω`●)

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魔瘴石を大量に用意しておけば…(ぼそ
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