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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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524.3人目 part2

524.3人目 part2






主の偵察から戻ると、アシェラとライラが出迎えてくれた。


「おかえり、アルド」「おかえり、アルド君。怪我は無い?」

「ただいま。オレもカズイさんも大丈夫。それより主の正体が分かった。サーペント……蛇の魔物だ」


「サーペント? ボクは見た事ないかも……」

「オレもこっちでしか見た事ない。多分、ドゥオ大陸にしかいない魔物なんだと思う」


「ドゥオ大陸にしかいない魔物……大丈夫! どんな魔物でもボクがぶっ飛ばす!」


アシェラは両拳をぶつけ合い、荒い鼻息を吐いている。アナタ、本当にどんな魔物でもぶっ飛ばしそうで怖いんですが……

アシェラに軽く恐怖を感じている所へ、飄々とした母さんが会話に入って来る。


「アル、そのサーペントって魔物の詳しい特性を教えて頂戴。何をするにしても、先ずは敵を知らないと話にならないわ」

「分かりました。僕が以前 見たサーペントは、体長が2メードほどある蛇の魔物でした。動きは一般的な蛇よりは速かったものの、僕達が脅威を感じるレベルではありません。ただ、サーペントが恐ろしいのは毒……聞いた話では、オーガですら簡単に殺すと言われています。万が一、噛まれでもしたら、僕達の回復魔法で対処できる自信がありません。しかも相手は主……毒がどれほど強力になっているのか……」


正直、どう攻めれば良いのだろう。解毒不能な毒を持っていると言う事は、一撃必殺の武器があるのと同義である。

恐らく竜種ですら倒せるオレ達であれば、主に勝つのはそこまで難しいわけでは無いだろう。


ただ必殺の技を持つ敵……命を賭けられない以上、全く傷を負わずに勝つ必要がある。


「即死級の毒ねぇ……アル、アンタの事だから、何か考えがあるんじゃない?」

「……この戦いで絶対に譲れないラインは全員の命です。敵が解毒出来ない毒を持つのであれば、かすり傷一つ負う事は出来ません。しかし相手は主……そんな事は不可能です……ですから、今回の主はパスしようと思うんです」


「主をパス? どういう事よ、そんな事出来るの?」

「そもそも迷宮主と違って主を狙撃出来ないのは、先に証の位置をソナーで調べる必要があるからです。証が無いとマナスポットを他の魔物に奪われる可能性がありますから」


「続けて……」

「ただアオは以前 言いました。過去の使徒は証を調べる術が無かったと……」


「なるほどね……要は証を考慮しなければ、私の「魔王の一撃」で狙撃すれば良いと……アンタはそう言いたいわけね?」

「はい。証を奪わずに主を殺せば、もしかして他の魔物にマナスポットを奪われるかもしれません。それでも解毒出来ない毒を持つ敵よりは、リスクが圧倒的に下がるはずです。全員が確実に生きて帰るためなら、マナスポットを奪われるリスクは必要経費と割り切りましょう」


全員がオレの意見を聞き、何かを考え黙り込んでいる。そんな時間が暫く過ぎた後、アシェラが決意を秘めた目で口を開く。


「ボクはアルドの作戦が良いと思う。安全マージンはしっかりとるべき」

「私もアルド君の案が良い……主相手に無傷の勝利なんてリスクを低く考えすぎてる」

「ぼ、僕もアルドの案に賛成かな……サーペントの毒は凄く強いんだ。それが主になって……きっとアルドが言うように、解毒できない強さになってるんじゃないかな」


これでオレ、アシェラ、ライラ、カズイがオレの案を支持した事になる……残るは1人だけ。

残された母さんは、閉じていた目を開け、ゆっくりと口を開いた。


「そうね……私もアルの案に賛成よ。但し、少しでもリスクは減らすべきだわ。私が狙撃すると同時に、手の空いてる者は周りの魔物を殲滅する。どう?」

「そうですね。確かにマナスポットを奪われるリスクは少しでも抑えるべきです」


「じゃあ方針が決まったなら、具体的な作戦を立てましょ。ライラの体調もある事だし、サッサと主を倒してブルーリングへ帰るわよ」

「はい。では主へは僕とアシェラ、母様だけで挑みましょう。カズイさんは、申し訳ありませんがライラの護衛を頼みます」

「分かったよ。僕が絶対にライラさんを守るから、アルドは主に専念して」


「ありがとうございます」


ライラが戦闘に不参加? どういう事なのか……実はアルジャナを目指して2ヶ月が過ぎた頃、ライラは突然「気分が悪い」と言って体調を崩してしまったのだ。

本人は「大丈夫……食欲が無くて体がだるいだけ」と虚勢を張っていたが、1週間経っても体調が回復する事は無かった。


そんなライラの姿を見て、母さんとアシェラは何かに思い至ったそうだ。いきなり2人から、ソナーでライラの体の中を診ろと言われてしまった。

その際に言われた2人の見立てはズバリ「妊娠」。2人共、実際にツワリを経験した身である事から、症状にピンときたのだとか。


そして言われるまま、恐る恐るライラのお腹にソナーを打った所、小さな……本当に小さな命を感じる事が出来たのである。

妊娠……シャロン、レオンに続き3人目の子供……思わず嬉しさに小躍りしそうだったが、今いるのは前人未踏の地……ブルーリングへ帰るには、何処かのマナスポットまで辿り着かないといけない事に思い至った。


安全を考えるなら、コボルトのマナスポットまで戻った方が良いのか? それとも進んでマナスポットを解放するべきなのか……究極の選択を前に、女性である母さん、ライラ、アシェラへ相談した結果、全員が「進むべき」と答えたのである。

確かに戻るには2ヶ月、進めば1ヶ月。子供でも分かる簡単な算数ではあるが……本当に良いのだろうか?


悩んでも正解など何処かに書いてあるはずも無く……3人に押し切られる形で進む事が決まってしまったのだ。

決めたのなら出来る事をしなければ……そこからはライラの体調を中心に旅を続けてきた。


道中の荷物は全てオレが持ち、出来るだけ激しい運動はさせないよう心掛ける。野営の際にも見張りは免除して、しっかり睡眠と栄養を取るよう言い聞かせもした。

しかしライラとしては、明らかな特別扱いは矜持が許さなかったようだ。何度か母さんとアシェラを交えて話し合いを行う事になってしまった。


だが、事は子供の命である……万が一があったら……最終的には「子供のため」とパワーワードを使い、ライラには従ってもらっている。

閑話休題、そして話は主の件に舞い戻る。


「じゃあ、私が「真・魔王の一撃」を撃てば良いのよね?」

「実はその件で聞きたい事があります。母様はミスリルを弾頭にした「魔王の一撃」と、オリハルコンを弾頭にした「真・魔王の一撃」を撃てますよね? その2つって威力、消費魔力、命中精度に大きな違いはあるんですか?」


「そうねぇ、同じように見えるでしょうけど、だいぶ違うわね。先ず威力だけど、「真・魔王の一撃」ならチビちゃんにも届く威力だったでしょ。でも、あれが「魔王の一撃」だったら、守りの壁は抜けても皮までは無理だったはずよ。やっぱりオリハルコンの硬さはミスリルじゃどうしようも無いわね」

「なるほど……確かにオリハルコンの硬さはアダマンタイトの次って言われてますから……では消費魔力は?」


「威力に比例って所かしら。ミスリルは魔力の通りがオリハルコンとは別物よ。「魔王の一撃」を撃っても多分2~3割の魔力が残ると思うわ。反対に「真・魔王の一撃」は、1発撃ったらほぼ空ね」

「両方とも2発は難しいと……ただ、1発でほぼ空って事は、逃げるのも難しいですよね?」


「そうね。正直、厳しいと思うわ。それと命中精度はどっちも大して変わらないわよ。私にかかれば百発百中なんだから」

「……」


命中率は変わらないと……なるほど。威力はあるが、魔力をほぼ全て使ってしまう「真・魔王の一撃」。

それに対して一段 威力に劣るとしても、継戦能力に勝る「魔王の一撃」って所か……


今回の敵はサーペント。当然ながら、地竜の王であるチビさんほどの防御など持ってるはずが無い。

そこからは各々が思った事を話し合っていった。


「魔王の一撃で良いんじゃないですかね? サーペントならチビさんほどの硬さは持って無いでしょうし」、「魔力を全部使うのは危なくない? ラフィーナさんの腕なら、凄く遠くから撃つとか……どうかな?」、「大丈夫! ボクが主も倒すし、お師匠も守る!」など、意見は多岐に上った。

ライラが「お義母様の護衛ぐらいなら、今の私にも出来る!」と言い出した際など、少々 強く苦言を呈させてもらっている。


「大体、意見は出尽くしましたね。カズイさんの言う通り、安全を見て少し距離を取った場所から「魔王の一撃」を撃ち込むって事でどうでしょうか?」

「むぅ……何で「魔王の一撃」なのよ……「真・魔王の一撃」でも良いじゃない」


「さっきも言いましたが、敵はサーペントの主です。そこまで硬い守りは持ってないかと。それに母様の魔力を枯渇寸前まで使うのは危険すぎます。「真・魔王の一撃」はエルの盾がある時 限定の技にしましょう」


氷結さんは頬を膨らませて不満顔だ。アシェラかライラがやったなら、間違い無くつつくのだが……母ちゃんの頬をつつくとか……無いわ。


「母様、申し訳ありません。でも、ここは折れてください。お願いします」


真剣に頭を下げると、氷結さんは小さく溜息を吐いて肩を竦めている。


「分かったわよ。「魔王の一撃」を撃てば良いんでしょ。アルは心配性なんだから……」

「サーペントの主を狙撃した後、他の魔物にマナスポットを奪われるかもしれません。その場合、連戦で主と戦う可能性が出てきます。ライラに続いて母様まで……流石に看過できません」


「主と連戦……分かったわ。後は狙撃の場所と細かい所を詰めましょ」

「はい」


証を奪わずに主と戦うのは初めてだ……いや、ハクさんと一緒にオーガの主を倒した際もコンデンスレイで焼き払ったんだったか……

あれは結果的に、運よく証を奪えたのでノーカンだ。


本当に他の魔物が主になるなら連戦は避けられない。

万が一を防ぐためにも、母さんが狙撃する前にオレとアシェラはギリギリまで主に近づいておきたい。


そこからはオレ、アシェラ、母さんの3人で狙撃に最適なポイントを探していく。

主に見つからないよう細心の注意を払いつつ、最終的に決めた場所は、周りの木より1つ頭が抜けている大きな木の枝である。


「ここからなら主の姿がハッキリ見えるわね。キッチリ仕留められるように、頭を撃ち抜いてやるんだから!」


うげっ……あの魔法を頭に撃つとか……脳ミソが飛び散ったスプラッターになるんじゃ……

獰猛な笑みを浮かべる氷結さんに、心の底から恐怖したのであった。





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