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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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523/526

523.3人目 part1

523.3人目 part1






ヤルゴに金を貸して1週間が過ぎた。

延び延びになっていたアルジャナへの旅を再開するため、これよりコボルトのマナスポットへ飛ぼうと思う。


メンバーは予定通り、オレ、アシェラ、ライラ、カズイ、氷結さんの5人。

シャロンがいる事から、アシェラは居残りかとも思ったが、「3ヶ月なら大丈夫。それよりアルドが心配」と言って、同行を決めた。


本当はシャロンの傍にいたいだろうに……正直、頭が下がる思いである。


「では皆さん、行きましょうか。アオ、コボルトのマナスポットへ飛ばしてくれ」

「もう前みたいな無茶はしないでよ。姐さん、アルドを頼むね」

「任せなさい。どんな主でもアルへ届く前に、私がキッチリ倒してやるわ。アオは安心してなさい」


えーっと……あのー、アオが言いたい事は、そう言う事じゃないと思うんですが……

結局、氷結さんに意見を言う事など出来るはずもなく、アオは微妙な顔で飛ばしてくれたのであった。



◇◇◇



1秒だか1時間だか分からない感覚の後、目の前には以前と同じように青い光を放つ岩が転がっている。

忘れかけてたけど、つい数ヶ月前、オレはこの場所で死にかけたんだよな……


もうオレは大丈夫のはずだ。夢の中でとは言え、アイツにはこの手で確実にトドメを刺した。後はオレの心次第……

目を閉じ心を落ち着けていると、緊張を含んだライラの声が響く。


「アルド君、敵、囲まれてる」

「犬の頭に人の体……これがコボルト……初めて見る魔物ね……アル、そろそろシャキッとしなさい。いつまでもボーッとしてないで、早く指示を出して!」

「え? あ……は、はい! アシェラと僕は遊撃。コボルトは飛べないので、母様とライラ、カズイさんは空から僕達の援護を頼みます」


全員が頷いた後、後衛の3人は直ぐに空へ駆け上がっていく。

ふぅ……感傷は後で良い。まずはコイツ等を殲滅するのが先だ!


「行くぞ、アシェラ!」

「うん!」


いきなり群れの真ん中に現れたオレ達を、コボルト共は慌てふためいてまともな判断は出来ていない。

オレ達も驚いたが、条件は向こうも同じ。であれば、先ずは数を減らす事を優先させてもらう。


素早く短剣二刀を構えた後、一番近くのコボルトへ突っ込んでいく。

以前なら魔力武器(大剣)を出して首を刎ねたのだろうが、武器を学んだ今、そんな適当な攻撃をしようものなら、ベレット師匠のお説教&地獄の特訓コースである。


大剣は威力かリーチが欲しい時だけで良い……コボルト程度が相手なら、短剣と片手剣で十分だ。

その証拠にアシェラは魔法拳を一切使わず、素の格闘だけでコボルト共を蹂躙している。


「アシェラ、ここ等のコボルトはもう良い。後は母様達に任せよう。次は反対側を叩くぞ。オレは右側から回る、お前は左側から頼む」

「分かった」


「じゃあ、行くぞ」


コボルトはゴブリンに嗅覚を発達させた程度の魔物である。50匹ほどの群れではあったが、ドラゴンすら屠るオレ達にとっては雑魚も雑魚。

群れていたコボルトが逃げ出し始めるのに、大した時間はかからなかった。



◇◇◇



コボルトを殲滅し終えた後、全員がマナスポットに戻った所で氷結さんがやりきった顔で口を開いた。


「ふぅ……久しぶりの戦闘で張り切っちゃったわ。初めての魔物で少し警戒したけど、強さはゴブリンと変わらなかったわね」

「そうですね。ただコボルトは犬の頭を持つだけに、追跡型のハンターです。何かの拍子で逃げに回った際には、ゴブリンより余程 脅威になるかと」


「なるほどね……アルの言いたい事は分かるけど、あの程度の強さで脅威になんてなるかしら?」

「現に僕はコボルトの主に追い詰められました。罠に嵌めてフラッシュで視力を奪ったのに、匂いを探知されて逃げられなかったんです。コイツ等に対する際には、絶対に守勢に入らないよう気を配るべきです」


「そう……フラッシュでも逃げられなかったの……分かったわ。コボルトと戦う際には、ギッタンギッタンに叩きのめす覚悟で臨めって事ね」

「分かった。ボクもコイツ等と戦う時は、魔法拳で粉々にする!」


えーっとですね……その覚悟でも間違いでは無いんですが……オレが言いたかったのは、そう言う事じゃ無くて……

言葉を足そうかとも思ったが、この師弟には何を言っても無駄と割り切り、改めて辺りを見回した。


巣を潰して数か月……一体、このコボルト共は何処から来たのか……上位種も数匹いたみたいだし、このまま放っておいても良いのだろうか?


「母様、このコボルト達は、以前の生き残りなんだと思います。恐らく主との戦いの際、狩りに出て巣にいなかったか……若しくは戦いに怯えて逃げ出した……どちらにしても放っておけば、またここに巣を作って、最終的にはマナスポットを奪おうとするんじゃないでしょうか?」

「そうねぇ……コボルトは頭が犬だけあって、帰巣本能が強い魔物なのかもしれないわね。だとしたら、ここが危険な場所だって恐怖を叩き込んでやれば良いわ」


むむむ……恐怖を叩き込む? この人の考えが読めない。一体、何をするつもりなんだ?

頭に?を浮かべつつ聞いた母さんの作戦は、オレが考えも付かない物であった。



◇◇◇



「アシェラ、そっちに行ったわよ。絶対に殺さないよう手加減を忘れないでね」

「はい、お師匠」


オレの目の前では、アシェラと母さん、ライラの3人がコボルトの生き残りを探し出し、一方的に蹂躙している。

この光景の何が恐ろしいって……アシェラは殺さないよう撫でるように殴り、母さんもウィンドバレット(そよ風バージョン)を使って、決して殺さず痛めつける事に徹しているのだ。


更にライラに至っては、「丁度良い訓練になる」と言い、魔法使いなのに魔法を一切使わず、杖術のみで戦っている。

これは一体どういう状況なのか……答えは、先ほどの氷結さんの言葉が全てだった。


ヤツ曰く、「殺しちゃったら恐怖が他のコボルトに伝わらないじゃない」から始まり、「死ぬほどの恐怖を骨の髄まで叩き込むわよ!」と鼻息荒く宣言した後、アシェラとライラを連れて出て行ってしまったのだ。

どうやら徹底的に嬲って、恐怖を骨の髄まで叩き込むつもりらしい。


コボルトは、犬の頭を持つだけに群れの魔物である。

恐怖を叩き込まれた個体が群れに帰った際、「あそこには鬼がいるから行っちゃダメだ!」と群れ全体に伝播させるつもりのようだ。


そんなに上手く行くのだろうか……そもそもコボルトって、そんな高度に言葉を扱えるのか?

拙いながらも意思疎通はしているみたいだが、しっかりとした言語化なんてされてないんじゃないか?


そんなオレの不安を他所に、氷結チームは計2日をコボルト虐めに費やした。

「相手は魔物だぞ……野良犬じゃ無いんだから……」と半分バカにしていたのだが、何と驚いた事にマナスポットの周りからコボルトの姿が一掃されたのである。


「こんなに上手くいくなんて……信じられない」


オレの独り言に反応したのはカズイだった。


「コボルトは仲間の血の匂いがする場所には近寄らないからね。もしかして僕達が思ってるより、しっかりした言葉を話せるのかもしれないよ」

「そうなんですか? この中でアルジャナの民はカズイさんだけですから……そのカズイさんが言うのならそうなのかもしれませんね」


「えーっと、僕もそんなにコボルトに詳しいわけじゃないんだけど……ただベージェでもコボルトは危険を察知すると直ぐに逃げちゃうんだけど、何時の間にか集まってまた群れを作るんだよ。ラフィーナさんの言うように、この場所が危険だって教え込むのは有効なのかもしれないね」


確かにアルジャナの依頼にはコボルトに関する物が沢山あった。その多くは巣の調査と殲滅。

要は巣を潰そうとしても、不利だと悟った瞬間、四方八方に逃げてしまうのだ。


そして暫くの時間をおいて、また巣を作り直す……恐らく弱い魔物なりに、生き抜く知恵を絞った結果の習性なのだろう。


「ふふーん! アル、アンタは信じて無かったみたいだけど、フォスタークでも小さな村ではゴブリンをこうやって追い払うんだから」

「え? この方法ってゴブリンにも有効なんですか?」


「ええ。小さな村には立派な城壁なんて無いでしょ? 当然だけど冒険者に依頼するにもお金がかかる。だから1匹でいるゴブリンを見つけたら、捕まえて半殺しにしてから逃がすの。アンタは使徒の叡智なんて規格外の知恵を持ってるけど、民の知恵もバカにした物じゃ無いわよ?」


くぅ……氷結さんのくせに! そもそもアナタこそ、普段は知恵じゃなくチカラで抑え込んでるでしょうが!

喉まで出かかった言葉を、必死に飲み込んだのであった。



◇◇◇



アルジャナへの旅を再開して、既に3ヶ月が経過した。後1週間も歩けばアルジャナ最西端の街であるイリルに到着するはずだ。

しかしその前にやらなければいけない事が1つある……そう、マナスポットの解放である。


実はイリルの街から北へ進むと小さな森があり、その中に湧く泉が今回 解放するマナスポットであった。

そしてオレ達の眼下には、その泉に半身を浸した一匹の巨大な蛇の姿が見える。


「アイツがここの主……サーペントか……参ったなぁ」

「サーペントの毒は凄く強いからね。普通のサーペントでも、噛まれたら人なんて簡単に死んじゃうから……」


「取り敢えず主の正体は知れました。一旦下がって母様達へ報告しましょう」

「そうだね。それが良い」


今がどういった状況なのか……慎重にマナスポットを目指して進んでいた所、領域に入った感覚があったためカズイと2人で偵察にやってきたのだ。

氷結さんは偵察なんて面倒な事は嫌がるとして、何故アシェラやライラでは無くカズイと2人で? そう思うのは当然である。実はライラは今 体調を崩しており、戦闘になど耐えられない。


そんな状態のライラを1人に出来るはずも無く……でも氷結さんは適当だし……そんなこんなで、アシェラはライラの護衛に付いて貰っている。

それにカズイさんはベージェ出身である。このメンバーの中で、アルジャナの魔物に一番詳しいのは間違いない。


色々な理由を加味した結果、カズイと偵察に来ていたのである。

さてさて、これ以上は出来る事も無い。オレ達は空へ駆け上がり、領域の境で野営をしている母さん達の下へ戻るのであった。





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― 新着の感想 ―
お、悪阻かな?お祓い(解呪)の効果かね。
題名で判っちゃうんですけど。 今話の最後の部分を次話にもっていって、今話の題名を「嬲る魔王」とかにしたほうが良かったかもw
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