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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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501.呪い

501.呪い






主との戦いが終わり、気が付けば現実の世界へ帰ってきた。部屋の中は既に明るく、何時の間にか夜が明けていたようだ。


「おはよう、アルド。どうだった?」

「アシェラか……大丈夫、ちゃんと勝ったよ」


「良かった、安心した」「アルド、お疲れ様でした。これで悪夢を見なくなれば良いのですが……」「アルド君、酷い隈……最近、しっかり眠れてないから……」


「もう大丈夫だ。多分、アイツはもう出て来ないと思う……何となくそんな気がするんだ……」


そう話すと同時に、オレの体からドス黒い煙のようなものが沸き上がり、直ぐに消えていった。


「な、何だ、今の……アシェラ、今の見えたか?」

「うん……凄く嫌な感じがした……浄化する前の魔瘴石みたい」「私にも見えました。人の悪意を形にすれば、あのようになるのかもしれません……」「アルド君、精霊様へ聞いてみた方が良いかも」


「アオに……分かった。直ぐに聞いてみる」


アオを呼び出して聞いてみた内容は、驚くべき事であった。

アオ曰く、強い想いを残して死んだ魂は、極稀にではあるものの、瘴気に意思を映して対象へ憑依させる事があるのだとか。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ! オレって、もしかしてアイツに呪われてたって事なのか?」

「まぁ、簡単に言うとそうなるね」


「マジか……」


オレ、そんなに恨まれてたのか……思い返せば、何発もコンデンスレイを撃ち込んで巣を壊滅させ、更にアイツにとって大切な存在であろう側近達を殺したんだった……

あー、うん……思い当たる節がありすぎて、どれか選べない。


「も、もしかして、まだ呪われてたりするのか?」

「ん? アルドの体から瘴気は抜けたんでしょ? だったらもう大丈夫なはずだよ」


「そ、そうなのか……」


そこからは少々、瘴気と呪いについて聞かせてもらう事にした。

放置して万が一の事があるとねぇ……決して怖がってるわけでは無い事を、追記しておく。



◇◇◇



アオから聞いた話では、魔物だけで無く、人も極稀にではあるものの呪いを発動する事があるそうだ。

何でも強い想いを持って死ぬと、魂の残照が瘴気に映り込み、様々な超常現象を引き起こすと言う。


「アオ、強い想いって事は、怨みや憎しみだけじゃないって事なのか?」

「良い所に気が付いたね。マナに干渉するほどの想いであれば、愛情や友情なんかの感情も瘴気に映り込む事がある。ただ、それらは相手を慈しんでの事だからね。憎しみや怨みとは違って、愛しい相手へ言葉を伝えたり、一瞬だけ姿を現す程度で直ぐに消えちゃうんだ」


「そうなのか……強い感情が瘴気へ……」


今の話を自分なりに考えていると、唐突にアオが口を開く。


「でも憎しみや怒りの呪いは気を付けた方が良い。今回みたいに夢の中へ出て来るだけなら良いけど、最悪は対象の魔力に干渉して、病気を引き起こす事だってあるんだ。尤もアルドとエルファスは僕の加護があるからね。肉体へ影響が出るほどの呪いは効果がないはずだよ。精々、夢の中で怨み言を吐くのが精いっぱいだろうけどね」


アオの話では、オレやエルには強い呪いは効かないと言う。今回は主が出来る精一杯の復讐だったのか……

オレ、アイツにどれだけ恨まれてたんだよ……もしアオの加護が無かったら……ブルリ


「アオ、教えてくれ。オレやエルに大きな呪いが効かないのは分かった。じゃあ、アシェラやライラ、母さんやナーガさん、もっと言えばルイスやネロ、カズイさんはどうなんだ?」

「……僕にはアルドとエルファス以外の強い呪いを弾く事は出来ないよ」


「それじゃあ……もし誰かが主から……いや、呪いが想いで発動するって言うなら、そこらの魔物から受ける事もあるんだろ? じゃあ皆は……」

「ちょっと待って。早合点しないでよ。僕が無理なだけで、呪いを解くだけなら幾つか方法はある」


「教えてくれ。オレ達を手伝って呪いを受けたりしたら……いや、気付かないだけで、もう受けている可能性だってあるんだろ?」

「確かにアルドの言う通りだ。分かった、呪いを解く方法を教えるよ。一番簡単なのはドライアドの秘薬だね。ただ材料に世界樹の葉を使うはずだから、ドライアドも簡単に作る事は出来ないと思う」


「ダメじゃねぇか! 他には? 他に何か無いのか?」

「うーん……真正面から呪いを打ち破る方法もあるけど……アルド達にとって1番簡単なのは魔瘴石を使う方法かな」


「魔瘴石を使えば呪いは解けるって事か?」

「勘違いしないでよ。魔瘴石って言っても浄化する前の物を使うんだ。瘴気はね、より大きな物へ集まる習性がある。だから浄化する前の魔瘴石に触れれば、体の中の瘴気は魔瘴石へ吸い出されるはずだ。少しだけ魂の痛みを感じるだろうけど、それが一番確実だと思う」


それからもアオに幾つか呪いを浄化する方法を教えてもらったが、簡単な方法などありはしなかった。

要はオレがやったように、真正面から自分の中の瘴気と向き合い屈服させるか、瘴気が消えるまで耐え続けるか……ぶっちゃけ力尽くで何とかしろと言う事のようだ……まぁ、脳筋の理論だな。


「………………って事は、安全のためにも定期的に迷宮へ潜って、瘴気を魔瘴石に移すのが良いって事か?」

「どっちにしても魔瘴石はこれからも必要なんだから、定期的に取りに行くのが良いと思うよ。その際に全員が魔瘴石を触っておけば、呪いで命を落とす事は無いはずだ」


コイツは……相変わらず言葉が少ない。知っていれば、以前の迷宮探索でも全員に魔瘴石を触ってもらったのに……

ジト目でアオを見てやると、コイツは露骨に挙動不審になって言い訳を始めやがった。


「な、何だよ! こんな事、使徒だったら知ってて当たり前だろ! 僕のせいにしないでくれるかな?」

「ハァ……分かったよ。お前の言葉が足りないのは、今に始まった事じゃないしな。取り急ぎ、何処かの迷宮に潜るか……あ、ナーガさんも誘わないといけないのか……」


結局、全てをこの場で決めるなど出来るはずも無く……アオが逃げるように帰るのを、4人で見送るしか出来なかったのであった。


「ハァ……しかし呪いとか……この世界にはこんな物が本当にあるんだな……」

「ボクも知らなかった。次からは恨まれる前に速攻で倒す!」


え? 何か恐ろしい事を言い始めた人がいるんですが……確かに死んだ事すら気付かなければ、恨まれて呪われる事は無いのだろうが……


「そ、そうか……それも1つの解決法なのかもしれないな……ハハハ……」

「うん!」


オレの乾いた笑いに、アシェラは満面の笑みで答えている。ほ、本気だ……アシェラ、恐ろしい子。


「アルド、それでこれからどうするつもりなんですか? 呪いがあると分かった以上、本当に迷宮へ潜るのですか?」

「ああ、念のため潜ろうと思う。オレ達は数え切れない魔物を倒してきた。呪いが現実だったと言うなら、一度、全員が魔瘴石に触った方が良い」


「分かりました。であれば、旅に出る前にジュニアの名前を決めてもらって良いですか?」


名前? あ、候補を3つ出しただけで、そのままになってる……自分の事で精一杯だったとしても、これでは親として失格だ、


「そうだった……オレ、自分の事ばっかりで……本当にごめん。いつまでもアルドジュニアじゃ可哀想だよな。しっかりと名前を贈らないとな……以前 話した「ノア」「レオン」「ルーク」オリビアはどれが良いと思う?」


「どれも素敵な名前ですが、やはりアルドが選んでください。私はその名を呼んで、この子を立派に育てたいと思います」


オリビアはオレが決めた名前を呼んで、子供を育てたいと言う。その気持ちが嬉しくて、少しくすぐったい。


「オレが決めて良いのなら……レオン……レオン=ブルーリングが良い……今回の事で思い知った……この子には、オレなんかと違って強い心を持ってほしい。だからレオンだ。ダメかな?」

「いいえ。きっと獅子のような強い心を持つ子に育つはずです。レオン……とても素敵な名前をありがとう、アルド」


直ぐにオリビアは、部屋で寝ていたレオンを連れてきて、オレに抱かせてくれた。


「レオン……お前はレオン=ブルーリングだ。強い子に育ってくれ。愛してる、レオン」


こうして保留になっていた名付けも終わり、ここ一連の報告をするため、朝食を摂ってから領主館へ向かったのである。



◇◇◇



先ずは執務室へやってきて、軽くノックをして扉越しに声をかけた。


「おはようございます。少々、お話したい事があります」

「入れ」


今のは祖父さんの声だ。中へ入ると、エルとローランドが溜まっていた書類を忙しそうに処理し、祖父さんがそんな2人を補佐していた。


「どうした?」

「少し急ぎでやらないといけない事が出来ました。実はアオから聞いたのですが………………」


3人へ今回の一連を説明していくと、「呪い」の言葉が出た瞬間、全員から得体の知れない物を見るような目で見られてしまった……グスン


「………………と言う訳です。皆には、早急に魔瘴石を触ってもらう必要があります」

「ま、待て……呪いだと……お前は本当に大丈夫なのか? 何処もおかしい所は無いのか?」


「はい、大丈夫です。アオの話では、僕とエルに強い呪いは効果が無いそうですから……でもアシェラや母様達は違います。呪いの中には病気になる物まである以上、一度、なるべく早く魔瘴石を触らせる必要があります」

「なるほど……呪いによる病気か……」


祖父さんは腕を組み、何かを考え、黙り込んでしまった。


「兄さま……今の話だと、アシェラ姉と母さまだけで無く、ルイスやネロも危ないんじゃないですか?」

「そうだな。念のため、母様、アシェラ、ライラ、ナーガさん、ルイス、ネロ、カズイさんの7人は触ってもらった方が良いと思う」


「そうですね。でも呪いですか……あの主、死んでからすら祟るなんて……」


こう話すエルの目には確かな怒りが見える。この様子だと、エルには呪い影響は無いらしい……良かった、少し安心した。

アオに呪いの話を聞いて、「もしかして」と思っていたのだ。


「エル、アオから聞いた話では、呪いを受ける条件として受け手側の資質も大きいらしい。たぶんオレが呪いを受けたのは、アイツに負けた事が大きいんだと思う。今回は色々と考えさせられる事が多かったよ」

「受け手側の資質……要は心の持ちようと言う事ですか?」


「ああ。呪いってのは、瘴気に強い想いを乗せて対象へ送る事で発動するらしい。ただ、あくまで送れるのは「想い」だけ。だったら、受け手の心次第で重くも軽くもなるんだそうだ」

「想い……心の強さ……」


「尤も、それはアオに守られてるオレとお前だけらしいがな」

「分かりました。僕も何があっても負けないよう、心を強く持つようにします!」


そう話すエルは真っ直ぐに立って、鋼の意思を感じさせた。

そんなエルへ、少しの羨望と嫉妬を感じていると、祖父さんがゆっくりと口を開く。


「アルド、話は分かった。呪いが人体に影響を及ぼすと言うのなら、ルイスベル君達が滞在している、今がタイミング的に一番良いのだろう。なるべく早く迷宮に潜って安全を確保しろ」

「分かりました。先ずは全員に呪いの件を話して、日程はナーガさんと相談して決めようと思います」


「任せる」


こうして急遽、オレ達は迷宮へ潜る事になったのである。





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― 新着の感想 ―
この呪い現象、過去の使徒が解き明かしたんだろうな。 それを他の精霊から聞いて「使途の知識」で知ってるもの、と。
「使徒だったら知ってて当たり前だろ」 いやいや、使途になったら自然と知識が沸いてくるならともかく、 誰かから聞かされないと知らないだろ。それは担当精霊の仕事じゃないのかね?
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