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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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492.コボルト part6

492.コボルト part6






『アルドよ、今代の使徒が随分とやられたものだな。しかし我が来たからには、安心するがいい』

「チビさん……何で? いえ、それよりどうやってここに?」


『話は後だ。我の守りの壁の中に入れる。動くなよ』

「動こうにも腰をやられて動けないんです」


『……ふむ、我は回復魔法が使えぬからな……む? やっと来たようだ。エルファスに治してもらうが良いだろう』

「え? エル? エルがここにいるんですか?」


そうチビさんへ声をかけた所で、オレの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。


「兄さま!! その怪我! だから……直ぐに治療します!」

「アルド! 無事だったんだね、良かった……」

「アルド、助けにきたんだぞ!」

「お前……無茶ばっかりしやがって……」

「エル……カズイさん……ネロ……ルイスまで……どうやってここへ?」


「カズイさんだよ。オレ達はティリシアでの中間報告でブルーリングへ帰ってたんだ。そしたら、いきなり「アルド達が危ないんだ!」って言われてな。軽く話を聞いたんだが、オレ達の手に余ると判断してチビさんに助けを願い出たんだ」


「カズイさんが……」

「ごめん……アルド達が押されてると思って、ラフィーナさん達に助けを借りるつもりでブルーリングへ飛んじゃった。でもラフィーナさん、アシェラさん、ライラさん、全員 出かけてて……どうしようかと思ってたら、前の日に帰ってきてたルイス君に会って話を聞いてもらったんだよ」


なるほど。カズイから見ても、オレ達はそれほど劣勢に見えたのか……そこで心配になったカズイは、ブルーリングに飛んで助けを求めたと……そしてたまたまいたルイス達と一緒に、チビさんの下へ飛んで、ここへやってきたのか。


「カズイさん、ありがとうございます。アナタがいなかったら僕はきっと死んでいました」

「や、止めてよ。僕はブルーリングへ飛んで、助けを頼んだだけなんだから……それより体は大丈夫なの? その背中……チビさんの皮を使ったドラゴンアーマーなのに、ボロボロじゃないか……」


「フラッシュを使って逃げようとしてんですが、コボルトだけあって匂いで見つかってしまいました……お陰でこのざまです」


こうしている間にもエルはオレの背中の治療をし、ルイスやネロは武器を構えて辺りをけん制している。

そしてコボルト達は……主はチビを警戒して後ろへ下がり、無数の上位種が様々な武器を構えて唸り声を上げていた。


『お前達の巣に、断りもなく立ち入った責はあるとしても……地竜の王たる我に牙を剥くか……面白い。アルドよ、この喧嘩、我も混ぜてもらうぞ』

「は、はい。チビさんの加勢はとても助かります」


『我の身も魔物である故な。場合によっては和解を促そうとも思ったが……』


チビはそれだけ呟くと、強大な魔力を練り始め、夥しい数の礫を作り出した。

これは……オレはこれを見た事がある……チビと初めて戦った際、呆れるほどの礫を全方位に撃ち出していたのを思い出す。


やられる側では理不尽極まりない攻撃に憤りさえ感じたが、味方であればこれほど頼りになる存在は無い。


『味わうが良い。王のチカラの片鱗を!』


その瞬間、この場には血の花が咲き誇った。グチャッっと酷く有機的な音が全方位から響き渡る。

チビの礫は、圧倒的な数と威力で全てを蹂躙していく……5秒ほどが経った今では、あれだけ残っていたコボルトが、今は20匹残っているかどうか……


しかも、流石に主は幾つかの礫を受けつつも健在だったが、上位種は五体満足な者など片手で数えられるほどになっている。


「凄い……あれだけのコボルトが一瞬で……」


誰が零したのか……しかし、この場の全員の心を表していた。


ガァァァァァァァァァァァァ!! グルゥゥゥゥ!


チビの常識外の攻撃を受け呆けていた主だったが、我に返った瞬間 この惨劇を行った者へ憎しみの目を向け咆哮を上げている。


『コボルトの主如きが……尻尾を巻いて逃げ出せば可愛気もあるものを……アルド、エルファス、アヤツの相手は我がするぞ?』


即座に返した言葉は、オレとエルで正反対であった。


「た、頼みます! チビさん」

「待ってください!」


『どうした、エルファス。我が倒すと、何か不都合でもあるのか?』

「あの主に、まだソナーを打っていません。今の状況では証の位置が分からない。出来れば弱らせてもらえると助かります」


『ふむ……ソナーと言う物が良く分からんが、お前達は証の位置を知る術を持っていると言う事か?』

「あ、はい。僕達は、ソナーと呼んでいる探索魔法が使えます。証を直接 奪えると助かります」


『ソナー……父ちゃんや兄ちゃんと旅した際は、そんな魔法も技術も無かった。人の世も移り変わっていると言う事か……』

「あー、何と言うか……はい……」


エルはオレをチラッと覗き見て、愛想笑いを浮かべて誤魔化している。

するとチビは、次にオレへ向かって口を開いた。


『アルド、怪我の具合はどうだ?』

「え? あ、動く……動きます! 痛みも感じられる……大丈夫です。エル、ありがとな。もう十分だ」

「はい……」 


『エルファスよ、ではアヤツを殺さずに半殺しにすれば良いのだな?』

「そうですが……そんな事、出来るんですか?」


『造作もない……我は地竜の王。あの程度の相手、取るに足らぬ! ではコボルトの小僧、参るぞ!』


そう告げた瞬間、チビは燃え残った建物を吹き飛ばしながら、主へと突っ込んでいく。

何だこれ……ブルドーザーが暴走してるのと変わらないじゃないか……しかもこの揺れ、まともに立っていられない。


「エル、カズイさん、ネロ、ルイス、空へ退避するぞ! ここだと巻き込まれ兼ねない」


全員がしっかりと頷き、直ぐに空へと駆け出していく。

改めて空から見る主とチビの戦いは、正に怪獣大戦争であった。


列車ほどのチビが嚙みつこうとするも、主は素早く下がり返す拳を叩き込んでいる。

こうして見ると、圧倒的なパワーのチビに対してスピードの主といった所か。


一見すると、チビの攻撃を躱しつつヒットアンドウェイで攻撃する主が押しているようにさえ見える。

しかしその実、主の攻撃は、チビの守りの壁と皮に阻まれ、全く届いていない。


グルゥゥゥゥゥゥ!

ガァァァァァァァァ!


既に上位種も側近も、2匹の戦いに巻き込まれ物言わぬ躯へと変わっている。


「あ、アルド、この戦い……地形が変わるんじゃねぇか? お前、あの両方と戦ったんだよな?」


ルイスがまるで、「お前、バカじゃねぇのか?」とでも言いたそうな目で見つめてくるが、ちょっと待て。

オレは両方に、負けたんだぞ?


考えてみれば、オレが勝てなかった存在同士の戦い……これからオレは、こんな化け物共と戦い続けないといけないのか……

言いようの無い寒気が、オレの背中を駆け抜けていく。


怖い……


今までは何とかなると、どこか軽く考えていたように思う。しかし実際に主に殺されかけ、こうして戦う姿を見た後では、同じようになど考えられない。

何でオレなんだ……これを死ぬまで続けるとか……そもそも、この世界が滅ぶって言うなら、世界全体で対処するのが筋じゃないのか?


誰に言うでもない弱音を心の中で吐いていると、唐突にエルが口を開いた。


「そろそろ決着が付きそうです」


何時の間にか、自分の世界に入っていたようだ。

エルが言うように、眼下ではボロボロになった主が、まるで許しを請うかのようにチビの前で膝を付いていた。


「あの主がこうも一方的に……」


思わずオレの口に出た言葉が、全てを物語っている。

チビの背中にも多少の傷はあるが、回復能力によってみるみる小さくなっていく。


対する主は、既に左足が根本から無くなり、右腕も肘から下は申し訳程度 残っているだけだ。


「兄さま、チビさんが呼んでます。行きましょう」

「あ、ああ……」


エルの後に続いてチビの隣へ降り立った。


『エルファス、コヤツの片足と片腕は奪っておいた。これでソナーとやらを使えるのか?』

「はい、十分です。ありがとうございました、チビさん」


エルはチビへ礼を言い、盾を構えながら主へ近づいて行く。

そしてエルが主の背中へ触れようとした瞬間、ヤツはいきなりエルへ飛び掛かろうと襲いかかった。


「エル!!」

『ふん!』


直ぐにチビの礫が主の唯一残った腕を撃ち抜き、ヤツは絶叫を上げて地面を転がっている。


『往生際が悪いな。お前は負けたのだ。大人しく首を刎ねられるが良い』


コイツはさっきのオレだ。万策尽きて、死を待つだけの負け犬……

ほんの少し……何か少しだけ違えば、立場は逆だった。


例えば、カズイがブルーリングへ飛ばなければ? 魔瘴石の寿命がほんの少し短ければ?ルイス達がブルーリングに帰っていなければ?

途轍もなく か細い糸の上を歩いている感覚が、オレを蝕んでいく。


「……さま……兄さま……兄さま!」


は? オレは何を……


「兄さま? 大丈夫ですか? 凄い汗です……」

「え? あ、だ、大丈夫……大丈夫だ……どうした?」


「この主の証は頭でした。首を刎ねれば全て終わりです。僕がやりますか?」

「いや、いい……オレが……オレがやる……」


エルを押し退け、主の前に立つ……コイツは側近の仇であるオレを、憎しみの籠った目で睨みつけてくる。

その目はまるで、「負けたくせに! お前が死ぬはずだったくせに!」そう語っているようだ。


クッ……横の繋がりも立派なチカラだろ! 単純な戦闘力では負けたかもしれないが、オレは総合力で勝った……オレは勝ったんだ!!!


目だけをギラギラと輝かせた満身創痍の主の前で、いつしかオレは青い顔で震えていた……

くそっ! 止まれ! オレはコイツに勝ったんだぞ! もう怖い物なんて何も無いはずだろ! だから止まってくれよ! 


必死で震えを抑えようとしている姿を、エルは驚きとも憐れみとも取れる顔で見つめてくる。

そして何も言わず前へ出て、小さくオレの名前を呼んだ。


「兄さま……後は僕が……」

「……すまない」


エルは右手に魔力武器(片手剣)を出し、超振動をかけていく。

ヒィィィィィィィンと剣が鳴き始めたと同時に、大きく振りかぶった。


「兄さまをよくも! 僕はエルファス……エルファス=フォン=ブルーリング! 兄さまに代わり、お前を屠る者の名だ! 地獄に行っても忘れるな!!」


その言葉と共に、エルは剣を振り下ろしたのであった。





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― 新着の感想 ―
心が折れたな。あとは嫁さん次第になる。
前々から思ってたけどこいつ主人公の器じゃないわ。話のテンポ悪くするだけの無能 さっさと殺して世代交代させた方がいい
アルド、帰還兵のPTSDみたくなってないか?
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