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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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474.グリフォン part3

474.グリフォン part3






主に逃げられ途方に暮れたオレ達はアオに泣きつく事にした。


「どうした、アルド。ん? ここは領域の中だね」

「ああ、ここはグリフォンが主のマナスポット。後少しまで追い詰めたけど、主に逃げられたんだ」


「は? 逃げた? 主がマナスポットを放り出して逃げたの?」

「1キロの範囲ソナーを打っても反応が無い。だいぶ圧倒したからな。多分、戻って来ない気がする」


アオは渋い顔で黙り込んでしまった。

うーん、この反応から考えるに、やっぱり主を探しに行かないといけないんだろうか……正直、凄く面倒臭いんですが……


だって逃げた方向さえ曖昧な中、1匹の魔物を探し出すなんて……本気で逃げたんなら、見つからないんじゃないかな?

もしかして寿命が尽きるまで、ここを見張るなんて事になるんじゃ……


恐ろしい事を考えていると、アオは小さく溜息を吐いてから口を開いた。


「しょうがない、直接 魔力を注いで、マナスポットの契約を上書きするしか方法は無いかね」

「魔力を注いで上書きって……ちょっと待て。アオ、もしかして証が無くても、マナスポットを解放する方法があるのか?」


「ああ。証である指輪をマナスポットに触れさせながら、魔力を注ぎ続ければマナスポットを解放出来る。但し、主との契約に無理矢理 割り込む事になるからね。結構な時間がかかるんだ」

「契約に割り込む……具体的にはどれぐらいの時間がかかるんだ?」


「マナスポットの大きさによるけど……そうだね、ここのマナスポットは小さいから、2日って所かな。でも大きな物だと10日はきるはずだ」

「小さな物で2日だと? そんなにかかるのか?」


「当たり前だろ。無理矢理 契約を上書きするんだから。そもそも主が逃げるなんて滅多にある事じゃ無い。普通は証を奪うか、主を殺してから新たにマナスポットと契約した方がずっと簡単で速いんだ」

「なるほどな……そう上手い話は無いって事か……」


「そんな簡単な話なら、とっくにアルド達にやらせてるよ。良い機会だから言っておくけど、この方法を使えば逆にマナスポットを奪われる事もあるからね。気を付けてよ」


は? マナスポットって奪われる事もあるの? マジで?


「ちょ、ちょっと待て。マナスポットって奪われる事があるのか?」

「今言っただろ。この方法なら魔物も、主不在のマナスポットを奪う事ができる。尤もマナの上位精霊である僕が手伝うから2日で済むんだ。魔物が地力だけで奪おうとすれば、5倍の10日はかかるだろうけどね」


コイツは……こんな大事な事を何で言わないのかと……これは方針を少し考え直さないといけないんじゃないか?


「ハァ……要はマナスポットを解放するのは当然として、手に入れた後も奪われないように守らないといけないって事だよな?」

「その通りだよ」


「頭が痛くなってきた……アオ、魔物が奪おうとしているマナスポットは分かるのか? いきなり奪われましたじゃ流石に何も出来ないぞ」

「そこは任せてよ。マナスポットに異なる魔力が注がれたら、直ぐに分かるから。尤も僕に戦うチカラは無いからね。アルド達が倒してよ」


なるほど……何となく全体が見えてきた。

過去の使徒達はどうやって解放後のマナスポットを守っていたのか……これは推測だが、恐らくマナスポットを奪われそうになると精霊が解決していたのだろう。


マナストリ-ムを自由に移動できる精霊なら、直ぐにマナスポットへ向かって魔物を倒せるからだ。

しかしアオに戦うチカラは無い……当然ながらマナスポットを守るのは、オレ達の仕事になる。


「10日か……旅の途中だと、急には戻れないな……こうなるとオレかエルのどちらかは、ブルーリングで待機していないといけないのか……」

「それが一番だけど、解放する必要は無いからね。アシェラや姐さん達でも大丈夫だよ。勿論、魔物を倒せるチカラを持ってるのが条件だけどね」


オレもエルも、何とも言えない顔でアオを見つめるしか出来ない。


「分かったよ、アオ。取り敢えず、ここのマナスポットの場所を教えてくれ。解放したら、直ぐにブルーリングへ飛んで、今の件をアシェラ達へ相談する」

「了解だ。ここからだと、ほぼ真南へ500メードって所だね。マナスポットを奪おうとすれば、主には分かるはずだから。十分、気を付けてくれよ」


「ああ。エル、カズイさん、どうやらマナスポットの解放は、長丁場になりそうだ。一旦ダカート村へ戻って回復しよう。途中で主が戻ってくる可能性もあるし、万全の状態で挑みたい」

「そうですね。僕も魔力は半分を切っていますし、兄さまもだいぶ減ってますよね?」


「ああ、残りは2/5って所か。全力戦闘で範囲ソナーを使いまくったからな。流石に少し厳しい」

「ごめん……僕の回復に魔力を使ったせいだよね」


「カズイさん、止めてください。お互い様ですよ。それに魔力があっても解放には2日もかかるんです。食料や野営の道具は村に置いてきましたから、どちらにしても一度、戻りましょう」

「そうだね、分かったよ。ダカート村へ帰ろう」


こうして、またまた仕切り直しのために、ダカート村へ帰る事になったのである。



◇◇◇



村へ戻ると、パーガスが見張りに立っていた。どうやらオレ達がいつ戻ってきても直ぐにフォロー出来るように準備してくれていたようだ。


『そうか……上位種には逃げられたのか……』

『はい、すみません。ただ他のグリフォンはほぼ殲滅しましたので、もう村に脅威は無いと思います』


『それを聞いて安心したぜ。本当に世話になった……正直な話、これだけの恩、どうやって返せば良いのか分からねぇ……金でも物でも望む物を言ってくれ。オレの人生を賭けて手に入れてみせる』


パーガスの後ろでは、ザザイ達も同じように頷いている。

望む物か……国を1つ作るほどの金に、魔瘴石。オレ達には足りない物が沢山あるのは事実だ。


しかし、それをダカートの風に望むのは、流石に酷と言うものである。


『では1つだけお願いがあります。実は今、カナリスの領主館にはルイスやラヴィさん、僕の友人達が滞在しているんです。カナリス家の客としての滞在なので、無いとは思いますが……万が一、ルイス達が困っていたら助けてやってくれませんか?』

『領主館にルイスベルとラヴィの姉ちゃんが……分かったぜ。経緯に興味はあるが何も聞かねぇ。アイツ等に何かあれば、オレの命に代えて守ってみせる。男と男の約束だ』


『ありがとうございます』


恐らくルイス達も、パーガス達に何かを頼む事など無いだろうが、手札は多い方が良い。

最悪、カナリス伯爵が敵になったとしても、これで逃げるぐらいは出来るだろう。


取り敢えず、今やらないといけない事は終えたはずだ。

オレ達は軽く食事をとった後、次の日の昼まで交代で休息をとったのである。



◇◇◇



「ふぁー、エル、今何時だ?」

「おはようございます、兄さま。今は14:00を少し越えた所です」


「14:00か……結構、寝たんだな。その割には寝足りない気がする……」

「どうしても夜 寝るのとは違って、明るいと熟睡できないのはしょうがないですね」


「そうだな……そう言えばカズイさんは?」

「カズイさんは食事を取りに行きました。もう直ぐ兄さまが起きるだろうからって」


エルとカズイの話題を話していると、丁度 本人が戻ってきた。


「アルド、起きたんだね。食事をもらってきたよ。一緒に食べよう」

「え? カズイさんも食べて無いんですか?」


「うん。エルファス君が、アルドが起きるまで待つって言うから」

「そうなんですか。すみません、気を使わせて……」


「気にしないで。僕の方こそ主との戦いでは、命を救ってもらったんだから」


3人で朝食兼昼食を摂りながら、これからの予定を話し合った。


「アオの話だと、解放にかかる時間は2日って言ってたよな。どっちにしても野営はしなくちゃいけないんだ。だったら直ぐに向かおうと思うんだが、どう思う?」

「そうですね……僕は構いません。グリフォンの群れもほぼ無力化してありますし、脅威は無いかと……ただ1つ気になる事があります」


「気になる事?」

「はい。アオは僕か兄さまの魔力をマナスポットに注ぐと言っていました。でも、それってどれぐらいの量なんでしょう? 魔力が枯渇するほどなら危険度は跳ね上がります。それに絶えず注ぎ続けるのなら、マナスポットに触れ続ける必要があります。しかも魔力を操作する以上、眠る事もできない……」


「確かにな……魔力を注ぎ続けるのは、オレとお前で交代するとしても、量か……これはアオに聞いておいた方が良さそうだな」

「はい」


早速、アオを呼び出して、その辺りの詳しい条件を聞いてみる事にした。


「主は見つかった? 無理そうならマナスポットを奪った方が早いんじゃない?」

「そのつもりだが、その前に幾つか聞いておきたい事があるんだ。先ずは使う魔力の量。マナスポットを奪うのに、どれぐらいの魔力が必要なんだ? 魔力枯渇するほどなら、この人数では厳しいかもしれない」


「あー、なるほど。魔力枯渇を起こして、主に寝首をかかれないかを心配してるんだね。そこは安心してほしい。使う魔力は爪の先程度だよ。2日間、全ての量を足してもアルドの魔力の1/10くらいじゃないかな」 

「そんなに少ないのか……分かった。次は時間だ。2日間、ずっと魔力を注がないといけないのか? それだと休息が取れない」


「それも問題無い。マナスポットに証が触れてさえいれば、僕がアルドの魔力を注ぐから。眠ってても大丈夫だ」

「なるほど。睡眠が取れるのはありがたいんだが……やっぱりマナスポットには触れ続けてないとダメなのか……」


「当たり前だろ。触れもしないで、どうやって魔力を注ぐのさ。アルドはもう少し考えてから話した方が良いね」


くっ、珍しくスムーズに会話が進むと思ったのに……やっぱり毒を吐きやがったよ、コイツ。


「……最後に後1つだけ教えてくれ。万が一、魔力を注いでる途中に、手を離したらどうなるんだ? まさか最初からやり直しとかにならないよな?」

「魔力はマナスポットに注がれてるんだ。少し手を離した程度でどうにかなるわけ無いじゃないか。尤も中断して何日も放っておけば、やり直しになるけどね」


なるほど。マナスポットを奪うのに厳しい制約があるわけでは無いらしい。

これで聞きたい事は、おおよそ聞けたと思う。アオには適当に礼を言い、帰ってもらう事にした……この扱いが悪いのか、小さく溜息を吐きながら消えていく。


「エル、思ったよりマナスポットを奪う制約は少なそうだな……問題はオレかお前、どちらかがマナスポットから動けない事か……」

「そうですね……主さえ帰ってこなければ、どうとでも出来そうです」


「主か……その時には直接 主を倒せば良い。それより、2日間も絶えず主の影に気を張り続ける方が面倒だ」

「そうですね」


少しの休憩をとった後、オレ達はマナスポットを奪いに何度目かの森へ足を踏み入れたのであった。





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