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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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469.ダカート村 part2

469.ダカート村 part2






村長から話を聞いた次の日の朝。

昨日の夜は、それぞれのパーティから見張りを1人ずつ出して過ごさせてもらった。


パーガスから「見張りはオレ達がやるから、お前達は寝てて良いぞ」と言われたが、以前 薬を使われて囚われた件もある。

丁重に断ると、ザザイとソーイから「流石ドラゴンスレイヤーだな。隙が無い」「親しくてもパーティメンバー以外は信じ過ぎないことだ。お前等の判断は正しい」とお褒めの言葉を頂いた。


『さてと、いよいよ今日からグリフォンの野郎を間引くわけだが……アルド、どうするつもりだ? オレ達じゃあ同時に相手できるのは精々1匹……頑張っても2匹だ。お前達の考えを聞かせてほしい』

『そうですね……先ずは情報を集めようかと思います。ただ、僕達は空を飛びますので、行動は別々になるかと』


『そうか、お前達は空を飛ぶんだったな…………ん? ちょっ、ちょっと待て。空って……まさかカズイもか?』

『あー、まぁ、そうですね、はい……』


ダカートの風が全員、カズイを驚いた顔で見つめている。


『ぼ、僕も空を飛べるようになっちゃいました……ハハハ……』


一瞬の静寂の後、4人から「自分にも教えてほしい」と詰め寄られてしまった。

使徒の件が無かった昔なら兎も角、今は魔道具は勿論、素の空間蹴りを教える事など出来るはずもなく。


真面目な顔で「これはフォスターク王国ブルーリング家の秘術です。申し訳ありませんが、教えられません」と断らせてもらった。


『そうか……まぁ、しょうがない。でもカズイ、良かったな。お前は運が良いぜ』

『僕もそう思います』


隣でカズイとパーガスが話しているが、敢えて聞こえないフリをさせてもらって改めて口を開いた。


『では一度、森の様子を見てきます』「エル、カズイさん、先ずは上空から情報収集だ。ただグリフォンは空を飛ぶらしいからな。念のため纏まって行動しよう」

「分かったよ」

「はい」


実は1つ懸念がある。この村に着いても領域の気配を一切 何も感じないのだ。

もしかしてここにマナスポットは無いのか? 単純にグリフォンが近くに巣を作っただけ? そんな疑問が沸いてくる。


ダカートの風から見えない上空へ上ったら、一度アオを呼び出して聞いてみよう。

そう心のメモへ書き込んで、空へと駆け出していったのである。



◇◇◇



森に偵察へ出て、数分ほどが過ぎた所で唐突に空気が変わるのを感じた。

これは……領域? 隣を追走しているエルも小さく頷いている。


「アオを呼ぶつもりだったけど、これは聞くまでも無かったな……」

「はい。これは間違い無く、領域に入った感覚です。やっぱり白鷹は動物の主だったんですね」


「ああ。村長の話は本当だったみたいだ。こうなると今の主はグリフォンって事か……厄介だな」

「そうですね……空へ逃げる事が出来ない以上、戦いが始まればどちらかが倒れるまで終わらない……」


エルと2人、眼下の緑を困った顔で眺めていると、後ろのカズイが唐突に声を上げた。


「アルド、エルファス君、あれ!」


カズイの指さす方には、森の中からコチラに向かってくる幾つもの影がある。


「どうやら見つかったみたいだな。エル、カズイさん、どうせ見つかったなら、最大の範囲ソナーで敵の戦力を調べようと思う。一斉に向かってくる可能性もある、戦闘へ備えてくれ」

「分かりました、兄さま」

「一斉に……わ、分かったよ」


2人の返事を受け、最大の範囲ソナーを1つ打つ……数は40……上位種は……いた!


「エル、カズイさん、コイツ等は魔法を使うみたいだ。数は40、全部がこっちへ向かってくる」

「戦うんですか?」


「どうやら主もやる気みたいだ。向こうも空を飛ぶ以上、逃げられない。カズイさんは雑魚をお願いします。倒す事より翼を狙って、相手の足を奪ってください」

「わ、分かったよ。アルド達は主を倒すの?」


「先ずは一当てしてきます。エル、悪いが主の周りの雑魚をウィンドバレットで撃ち落としてくれ。オレは……雷撃を使う」

「いきなり? 危なくないですか?」


「雷撃は乱戦こそ危なくて使えないからな。魔力も余裕がある初手が1番使い易い。エル頼めるか?」

「分かりました。雷撃の邪魔になる主の周りと兄さまに近づこうとする敵は、僕が全て撃ち落とします」


「助かる。それとオレの前には絶対に出るなよ。カズイさんもそれだけは絶対に守ってください」

「分かりました」

「雷撃って、自動照準の魔法だったよね……分かったよ、絶対にアルドの前へは出ないよ」


こちらの準備が出来た所で、グリフォンは森から沸きだすようにオレ達へと向かってくる。


「じゃあ、行くぞ! 各自、戦闘開始! 撃て!」


オレの合図で、一斉に無数のウィンドバレットが撃ち込まれた。

不可視の風の弾は、グリフォンの羽に風穴を開け、飛べなくなった固体は錐揉みしながら落ちていく。


どうやらグリフォンの動きを見るに、空中ではそこまで素早い動きは出来ないようだ。

しかも、向こうの使う風魔法より、ウィンドバレットの方が射程が長いらしい。


こちらの攻撃は届くのに、向こうの攻撃は届かない……戦いが徐々に、七面鳥撃ちの様相を呈し始めた頃、殺気の籠った叫び声が響き渡った。


ギリィィィィィィィ!!


これは……咆哮? 鼓膜が割れそうな音圧に、最大級の殺気の籠った威圧。

過去に何度も食らった事のあるオレやエルとは違い、カズイは自分を抱くように両肩を抑え、青い顔でか細い声を吐いた。


「こ、これ何……か、体が震えて……」

「カズイさん、これは威圧です。自分をしっかり持って。大きく深呼吸をしてください」


一方的な戦いだったのに……戦況を覆したのは1匹のグリフォンだった。

他より一回り大きく、色はドス黒い。纏う空気は他のグリフォンを圧倒している。


間違い無い……主だ。不甲斐ない部下を見て、とうとう姿を現したのだろう。


「カズイさん、主です。僕とエルで相手をしますので、カズイさんは雑魚をお願いします」

「わ、分かったよ……やっと少し落ち着いてきた……」


カズイは一時の恐慌から、徐々に回復している。共にアルジャナからの旅も経験したのだ。

表面上は別にして、根っこの部分は歴戦の猛者である。決してラヴィやメロウの使いっ走りだけでは無いのだ!


「エル、予定通り雷撃を使う! 主の周りの雑魚を落としてくれ」

「はい、任せてください!」


雑魚はエルに任せ、オレは主へとゆっくり指先を向けた。

使う魔法は雷撃。指先に魔力の光が灯り、徐々に紫へと変わっていく。


「エル、カズイさん、雷撃が発動した! 絶対にオレの前には出るな!」

「はい!」「わかったよ」


この間にも、エルとカズイはウィンドバレットで雑魚を撃ち落としている。

主だけが突出した状態の中で、オレの声が響く。


「行くぞ! 雷撃!!」


雷撃は雷の魔法故、発動してから躱す事は不可能。躱そうとすれば、光に近い速度で動く必要があるからだ。

しかし主は発動の前、オレ達の動きを見て、発動寸前に上へと急上昇をかけた。


パシィィィィッ!!!


三条の紫電が空を走る。1つは予定通り主へ。残りの2つは雑魚2匹へと向かってしまった。

雑魚の2匹は黒焦げになって煙を上げて落ちていくが、主は……煙を上げつつも雷撃を放ったオレを、射殺さんばかりに睨みつけている。


「くそっ、雷撃は失敗だ。ここからは接近戦でいく! カズイさんは、今まで通り雑魚をお願いします。なるべく僕達の方へ、通さないでもらえると助かります。エルはオレと一緒にアイツの相手を頼む。じゃあ、各自 攻撃を」


手短な指示にも2人は即座に反応してくれた。

カズイは今より高度をとって、上空から雑魚の羽を狙ってウィンドバレットを撃っている。


そしてオレ達は……未だに薄っすらと煙が立ち登る主と真正面から対峙していた。


「エル、取り敢えず雑魚はカズイさんに任せておこう……それよりコイツ……雷撃の火傷が徐々に治っていく……クソッ、回復持ちだ」

「回復持ち……だったら早目に倒さないといけないですね……」


「ああ。持久戦は負けと同義だ。真綿で首を絞められるように追い詰められる。雷撃のダメージが残っている内に叩くぞ」

「はい!」


オレは右から、エルは左から、挟むように動くと、主はオレへ向かって鷲の前足で切り付けてきた。

むむ、雑な攻撃だな……雷撃を撃ったオレを警戒してるのか? 乱戦では使えない魔法ってのは、向こうには分からないからな。


精々、魔法を使えないよう、プレッシャーをかけてこい……その大振り、隙だらけだ。

左手に魔力盾を出し爪を受け止めると同時に、右手の魔力武器:片手を無防備な腹へ突き入れてやった。


グリィィィ!!


クッ、浅いか……コイツ、寸前で後ろへ下がりやがった。

分が悪いと悟ったのか、主はオレから距離を取ろうとするが、既にヤツの後ろではエルが片手剣を振り上げている。


一閃


エルの綺麗な斬撃が入り、主の右の翼は半ばから切り落とされ、錐揉みしながら落ちて行く。


「エル、助かった」

「いえ、そんな事ありません。その証拠に、兄さまはまだ余裕がありましたよね?」


「まぁな。雷撃のダメージも残ってたみたいだし、かなり動きが遅かった。ただ回復されると厄介だ。サッサと証を奪って終わらせよう」

「はい」


そのままエルと2人、森へと落ちていく……これが油断だったのだろう。良く考えれば分かったはずなのに……

翼を撃ち抜かれたグリフォンが山のようにいる森の中へ、オレとエルは自ら飛び込んでいったのであった。





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エル!?
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