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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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452.バルザ part3

452.バルザ part3






王へ嘆願に来て1時間が過ぎようとしている。目の前のルード卿を、今回の件に巻き込んでしまい本当に申し訳ないと思う。


「ルード卿、今回の件、本当に申し訳ありません」

「もう謝罪は頂いています。頭を上げてください、ブルーリング卿」


「はい……」

「しかし、ブルーリング卿の孫殿には驚かされてばかりです。思い返せば、最初はサンドラでしたな。成人もしていない孫殿を、最前線へ送ると聞いた時には義憤に駆られたものです。それが数年でドラゴンスレイヤーと呼ばれるまでに大成するとは……長生きはしてみるものですなぁ」


「良い事ばかりではありませんが……」

「それはそうでしょう。チカラはそれだけで争いを呼びます。それが竜種を屠るほどのチカラとなれば、どんな謀略に巻き込まれるのか……私のような凡人には計り知れません」


「……」

「それに、孫殿はとても優しく真っ直ぐに育っているようだ。先ほども怯えて転んでしまった私へ、手を貸そうとしていたのに……怖がってしまい申し訳ない事をした……ブルーリング卿、彼へ謝っておいては頂けませんか?」


「分かりました。孫へ、そう伝えます」

「ありがとうございます」


ルード卿と話している中、唐突に部屋をノックの音が響いてくる。


「どうぞ」


部屋に入ってきたのは、シレアだった。このタイミングで騎士団長がわざわざ訪ねてくるなど……嫌な予感がよぎる。


「ルード卿、ブルーリング卿、ご無沙汰しております」

「シレア団長、お久しぶりです」

「……シレア、何の用だ?」


「伺ったのは、先日のアルド君の件です」


やはりアルドの件……もしかしてワシを捕まえてアルドに対する人質にするつもりか?

身構えるワシへ、シレアは深々と頭を下げた。


「申し訳ありません。騎士とアルド君達の戦闘を前にして、私は彼を捕らえてしまいました。更に牢へ出向いた際には、「命は助かっても自由は無い」と追い込むような言葉まで……」

「……それがお前の仕事だろう。職務を全うしただけの話だ。何故 頭を下げる」


シレアは頭を上げると、疲れた顔で更に話し始めた。


「アルド君が脱走した牢を見ました。鉄格子がまるで飴細工のように曲がり、辺りへ散乱してしている様を見て、彼がどれだけ手加減していたのかを痛感したのです。あれは人の成せる業ではありません。しかも、人知れず殿下の下へ訪れる事すら簡単にやってのける。そのチカラが、今 王国と敵対しようとしているなど……あの時 即座に逮捕などせず、その場で詳細を明らかにすれば、こんな事態にはなっていなかったでしょう……」

「終わった話だ。アルドにも非があった事は認めるが、お前とフリード、2人の責は重い。どうなるかは分からんが、ワシも出来るだけの事はするつもりだ。お前はお前の出来る事をやるが良い」


シレアは何も言わず深々と頭を下げ、部屋を出て行った。

ハァ……あの自由奔放なシレアをあそこまで憔悴させるとは……我が孫ながら恐ろしくなる。


恐らくアルドの、普段 少し抜けた感じに皆 騙されるのだろう。そして本気で怒らせて、牙を剥かれた時には全てが遅い……

全く……チカラ持つ者なら、相応の態度を取れば周りも重く見ると言うのに……本人がそれを嫌うとは。


その心の持ちように、少しの嬉しさと呆れを感じながら窓の外を眺めていた。






シレアが去って、更に1時間ほどの時間が経った頃、メイドがやってきて王がいる執務室へと案内してくれた。

今は王の前で跪き、今回の一連の謝罪と嘆願を申し入れる所だ。


「王に置かれましては、ご健勝の事と存じます。この度の孫が仕出かした一連の件、誠に申し訳ありませんでした。ブルーリング家から籍を抜いた身であっても、アレは私の孫に相違ありません。つきましては、監督不行き届きの責をもって、私、バルザ=フォン=ブルーリングは当主を退く所存でございます。勝手を言いますが、我が孫には寛大な処置をお願いしたく存じます……」


王は何も言わず、ただ黙っているだけだ。

そして少しの時間が過ぎた頃、疲れた声で口を開いた。


「バルザ、面をあげてくれ」


顔を上げて飛び込んできた王の顔には、明らかな疲れが浮かんでいる。


「お前の孫、アルドだったか……大した玉だな。学生の頃に見た時も、大成するだろうとは思ったが、ここまでの者になるとは……思いもしなかったぞ」

「心労、お察し致します」


「ハァ……罪自体は大した物では無いのは分かっている。精々、王城での帯剣ぐらいの物だ。騎士を子供扱いした件も、ケガの1つすらさせていない以上、どうとでもなるだろう。だがな、問題はこの国の根幹に関わる。要は王国の体面の話だ。たった1人の相手に、国が折れるなど許される話では無い。それが類まれなチカラを持つ、ドラゴンスレイヤーだとしてもだ」

「陛下の言われる事は重々承知しております。しかし、罪自体が大した事が無いと言われるのなら……私の首で収まるのであれば、喜んで差し出します。どうか、陛下には寛大な処置を賜りたく……」


「ハァ……そこまでなのか?」

「と、おっしゃりますと?」


「お前には、もう1人孫がいるはずだろ。しかも今回はブルーリングを出奔した孫の方の話だ。何故そこまで拘る」

「どちらの孫も可愛いのは紛れも無い事実であります。しかし、私が庇うのはそれだけではありません。アルド……我が孫は、この国……いえ、世界をも窮地から救ってくれると考えるからでございます」


「世界だと? また大きく出たな。幾らドラゴンスレイヤーとは言え、たった1人でどれほどの事が出来ると言うのだ」

「僭越ながら……我が孫は、既に我が領であるブルーリングに加え、サンドラをも救っております。更にミルドにある迷宮も踏破し、彼の地はこの数年で格段の開発が進んでいるとか。これは全て10年にも満たない内に起こった出来事であり、これからも起こり得る事でございます。その証拠に、我がブルーリングへはドラゴンスレイヤーのチカラをに縋るべく、数えきれない程の友好を求める書状が参っております。ここは将来に備えるためにも、陛下には寛大な処置を賜りたく……」


王は「そんな事は分かっている。だからこそ困っているのだ」とでも言いたそうな顔で、溜息を吐いている。


「ハァ……バルザ、お前の言いたい事は分かった。願いも理解している。勿論、王国の利に関してもな。お前のこれまでの王国への献身も加味して、この件はワシが預かるとしよう……しょうがない、何か良い落としどころを考えてみるか……なぁ、ダンヒル」

「はい。私もこの国の宰相として、アルド君のチカラは手放すには惜しいですから。最後の仕事として、何とか落としどころを探ってみますよ」


最後の仕事? ダンヒル……バーグ侯爵の言葉に違和感を感じたワシは、気になる事を聞いてみた。


「最後の仕事?」

「ん? ああ、バルザは知らなかったか……まだ内々の話だが、ワシもそろそろ王を引退しようと思ってな。ダンヒルがそれを聞きつけ、自分もそのタイミングで宰相を辞めると言い出した」

「私は長く宰相をやりすぎました。そろそろバーグ侯爵領へ帰って、ゆっくりと過ごしたい」


「こうなるとワシ、ダンヒルに加えてバルザもが一線を引くか……この件はワシ等の最後の仕事になるな……ドラゴンスレイヤー……何とも大した麒麟児を輩出してくれたものだ。ブルーリングは……」


立場は違えど、同じ年代を過ごした者達の、悲哀が確かにそこには存在したのであった。



◇◇◇



ライラが変装して爺さんの護衛に向かい、1時間ほどが経った頃。メイド姿のライラが戻ってきた。


「ライラ、どうした? お祖父様は?」

「ごめんなさい、アルド君。護衛に向かう途中で昔の知り合いにあって、逃げてきてしまいました……」


そう話すライラは、可哀そうなほど気落ちしており、苦言を呈するような雰囲気では無い。


「そうか……しょうがない。騒ぎにならなかっただけで良しとしよう。因みにその知り合いは信用できるのか?」

「その事で少し話があるの……実は………………」


ライラの話は驚愕に値する物だった。

昔の知り合いと言うのは、今回の一連を引き起こした近衛隊長のフリードだと言う。


え? アイツってライラの知り合いなの? マジで? アイツ、知り合いなのにライラを手籠めにして奴隷に落とすって言ってたの?

詳細を聞くと、どうやらフリードはオレの妻がライラだとは気が付いていなかったそうだ。


アイツ……やっぱり、オレへプレッシャーをかけるために適当な事を言ってたのか。くそっ、それに乗ったオレが迂闊だった。

更にライラは、オレと結婚している事は秘密にし、今回起こった一連の詳細を聞き出したそうだ。


「石化病を患ったのは、リュート伯爵家の長男ラーハルト。王子が王へ即位した場合、ゆくゆくは宰相になる予定だったみたい」

「あ、バタバタして言い忘れてたけど、オレも石化病を患ったのがリュート家の者って話は聞いていた。でも未来の宰相か……なるほど、フリードが必死になるわけだ」


「しかも、フリードは幼少の頃からリュート家の支援を受けてたみたいで、リュート家だけじゃなくラーハルト個人にも恩義を感じてたらしい。そんな中、必死に書物を漁って見つけた特効薬の情報が、エルフの「完全回復薬」だった。でもエルフの国宝に指定されてるそんな薬は手に入らない。困ったフリードは、冒険者ギルドの真偽不明な情報を信じた。何処の迷宮かも、何時の話なのかも分からない情報の中に、「迷宮で得た薬で指の欠損が治った」と書かれてる物を見つけたの。それからはアルド君の知ってる通り。王子の件を利用して、迷宮で薬を探させようとした……」

「なるほど……今回の一連は、全てフリードが仕組んだって事か……確かにラーハルトって人には同情するし、フリードも必死だったのは分かる。ただ、その結果がこれって言うのは納得ができない。例えライラの知り合いだったとしても、悪いがオレは簡単に許せそうに無い」


「うん。私もアルド君と同じ気持ち。ラーハルトにいs……こほん。ラーハルトって人は可哀そうだと思うけど、私達にした仕打ちとは別の話。ただフリードを上手く使えば、今回の件を穏便に収める事が出来るかもしれない」

「穏便に? 何か策があるのか?」


「うん。フリードの望みは石化病の治療。ラーハルトって人を治してしまえば、フリードに戦う理由は無くなる。その上で、今回の当事者であるフリードに、アルド君の減刑を願い出てもらえば……私達は騎士に一切のケガをさせていないし、脱獄も理不尽な扱いによる正当防衛。王城での帯剣だけは謝って許してもらわないといけないけど、そんなに重い罪にはならないと思う」

「なるほど。要はフリードと交渉して、石化病を治す代わりにオレの罪の減刑を願い出てもらうって事か……ライラの話は分かるけど、アイツがそんな要求を飲むか?」


「分からない……でも私の知り合いにリュート伯爵家に連なる娘がいる。フリードはその娘に恩を感じてるから、上手くとりなしてもらえないか聞いてみる」


ライラはこう言うが、そんなに上手くいくのだろうか……

結局、爺さんについては、極細の局所ソナーを打って安全を確保させてもらった。


そろそろ爺さんも王城を出るみたいだし、帰りの護衛もしっかり務めないと。





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とんでもない義弟が突然できる気持ちに寄り添いたい
主人公だけじゃなくて爺さんも弱腰か 何だか、もやっとする落ちになりそうな予感
石化病の子は同情しても、フリードに同情する気にもなれない 誠実にお願いすれば良かっただけで、脅迫した事は言い訳もできない シレアにも同情する気も起きない まして、王が国の体面と言うなら、臣下の子の妻…
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