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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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436.妖精族

436.妖精族






サナリスについての驚愕の事実を知り、直ぐに執務室へと向かわせてもらった。


「アルドです。至急、伝えたい事があります!」

「どうぞ……」


執務室の中では、父さんとエル、それにローランドの3人がおり、オレを訝し気な顔で見つめている。

3人はどうやらオレの声音から ただならぬ物を感じたらしく、身を固くして次の言葉を待っていた。


「サナリス……いえ、新しい種族に関して、驚くべき事実が判明しました。実は………………」


先ほどアオから聞いた、新しい種族の特性を出来るだけ詳細に話していく。

最初は「なるほど、下級の精霊と話せるのかい。流石は僕のサナリスだ。素晴らしいよ」と嬉しそうに笑っていた父さんだったが、下級精霊にどれほどのチカラがあるのかを説明していくと、徐々に顔色が蒼くなって終いには頭を抱え込んでしまった。


「………………と言う事です。アオの話によると、新しい種族のチカラは精霊と対話が出来、チカラを貸してもらえる事のようです。尤も下級精霊にどれだけのチカラがあるかは兎も角、どれほどのチカラを貸してもらえるかは、これからの検証次第になりますが……」


3人の態度は千差万別であった。父さんは頭を抱え、ローランドは口を開け放心している。エルに至っては、一連の出来事の理由が分かった事による安心と、新たな悩みに板挟みになり、泣き笑いのような顔になっている。

他人事で無い以上、オレも似たような顔をしていたのだろう……






暫くの時間が過ぎ、父さんが絞り出すように口を開いた。


「新しい種族の特性は分かったよ。精霊様にサナリスのチカラを封じて貰ったのも良い。問題は、それでアルはこれからどうするつもりなんだい?」


3人からの視線が集中するが、オレにだってどうして良いのか分かるはずが無い。


「分かりません……しかし、分別の無い子共が、過分なチカラを持つ事は許容できません。万が一、大切な誰かを傷つけるような事があっては、サナリスのためにも良く無いはずです。ですから、魔法が許される10歳になるまでは、アオにサナリスのチカラを封じてもらおうと思います……」

「そうだね……それが良いだろうね」


「問題は10歳になってから……どれだけのチカラがあるのか……今の僕には見当もつきません。それに気になる事が1つあります」

「気になる事? アルが前置きまで言うなんて……聞かなきゃダメだよね?」


父さんは心底嫌そうな顔をしてるが、一緒に重荷を背負ってもらわねば……オレの髪の毛がストレスでヤバくなる!


「前にアオから聞いた事があります。新しい種族は人の可能性だと……人に連なる者である以上、人から逸脱した能力を持つ事は無いと」

「そうだったね。魔族はソレを目指した故に、重い代償を負わされたんだったね。出生率の低下と言う重い代償を」


「はい。エルフは魔法能力の代わりに身体能力を。反対に獣人族は身体能力の代わりに魔力量。ドワーフに至っては、物作り以外の全てが苦手だと聞いています。であれば、精霊との対話なんてチカラの代償はどんな対価になるのか……僕には想像もできません」

「……そうか。他の種族は、あくまで人が元々持っていた能力の引き上げだ。それが全く新しい能力を得るなんて……一体どれだけのモノが必要になるのか……ハァ、頭が痛いよ」


解けない難問を前に、この場には思い空気が漂っている。

それはそうだろう。この場の誰もが、正しい答えを導き出すなんて出来ないのだから。






誰も言葉を発しない中、オレはエルに問いかけてみた。


「エル、教えてくれ。サナリスは目が見えてるのか? 後、耳は? 味も分かっているのか?」


オレの言葉にエルは怪訝そうに口を開く。


「特に普通の子供と変わりは無いと思いますが……何か気になる事があるんですか?」

「ふぅ……人は物を見る「視覚」、音を聞く「聴覚」、匂いを感じる「嗅覚」、味を感じる「味覚」、肌で感じる「触覚」……5感を持っている。サナリスにマナを見る新しい「感覚」があるって言うなら、代わりに欠落している物があるんじゃないかって思ったんだ。どうだ? 何か気になる事は無いか?」


「5感ですか……特に気になる事は……ちゃんと見えて聞こえてると思いますし、食べ物に好き嫌いもあります。転んだ際には泣いていたので痛みもあるはずです。強いて言えば匂いだけは分かりませんが……」

「そうか……」


オレ達の会話に父さんが入ってくる。


「匂いもちゃんと分かってると思うよ。以前の話だけど、マールがいなくて泣き止まなかった事があるんだ。困り果てたメイドが、マールの使ってるタオルを渡したら泣き止んだ事がある。きっとマールの匂いに安心したんじゃないかな」


なるほど……こうなると5感は人族と変わらないと……獣人族は魔力の匂いを嗅ぎ分けると言うし……もしかして、そんなに心配する事は無いのか?


「こうなると、今すぐに出来る事はないか。色々と調べるのはサナリスが育ってからだな。後は、身体能力や魔力量に劣った部分があるのかどうか」

「そうですね。魔力量や身体能力が、多少 劣る程度であれば許容範囲ですか……」


「ああ、精霊のチカラをどこまで貸してもらえるかは分からないが、ヘタしたら魔力無しで魔法以上の事が出来るかもしれないんだ。魔力量が少ない程度で済むなら、御の字だろうな」

「取り敢えずは、同年代の子と身体能力に差があるのかを、マールに見てもらうようにします」


「頼む。たぶん一番 間近で見てるマールが適任だ。しかし、あの額の石にそんなチカラがあったとはな」

「そうですね。僕達にマナは感じられませんから……まるで精霊……いえ、妖精。昔 読んだ本のような存在ですね」


「あー、「妖精の涙」か……精霊からチカラを授かった人が、更にチカラを欲して最後には半人半妖になった話だったか?」

「そうです。精霊でも人でも無い妖精になる事で、魔物から村を守るチカラを得たんです。最後は全てのチカラを使い果たし消えてしまいましたが」


「なるほど……妖精か。アオが言うには、新しい種族は人と精霊の架け橋になるそうだ。妖精……半人半妖……意味としては、ピッタリな名だな」

「妖精……妖精族……精霊と人の架け橋になる種族……」


「ああ、尤も、オレ達が勝手に種族の名前を付けて良いのか分からないけどな」

「ふふ、そうですね」


オレとエルの会話に父さんが入ってくる。


「アルとエルは新しい種族の始祖なんだ。2人以上に相応しい者なんているわけが無い。妖精族、うん。妖精のようにカワイイ、サナリスにぴったりな名前だよ」


父さんはローランドと一緒になって「妖精族」の名前を連呼している。

あのー、サナリスもいつかはオッサンになる日が来るわけで……何故か小太りのオッサンになったサナリスが、緑の服を着て背中に羽を生やし、踊っている姿が目に浮かんでくるんですが……






当面の問題が片付いて、これ以上 出来る事は無い。サナリスの成長を見守る事を決めて、オレは我が家へと帰ってきた。


「ただいまー」


3人の嫁に出迎えられてリビングへ向かうと、何故かふてぶてしい態度の氷結さんがソファーに寝転がっている。


「おかえりー、アル。ポリポリ……」


おま、そのクッキー、アシェラのおやつ用の買い置きじゃねぇか!

ああ……しかも床に欠片が散らばって……もぅ、お前帰れよ!


オレが怒っている空気を察したのか、ヤツはこちらをチラッと覗き見て、寝転がったまま口を開いた。


「アル? オリビア達から聞いたんだけど……ポリポリ……新しい種族のチカラは精霊が見えて会話できる事みたいね。ポリポリ。どうするつもりなの?」


おい、お前、食うか、しゃべるか、どっちかにしろよ?

しかし、ヤツに文句を言っても、絶対に反省なぞするわけが無いわけで。反対に何かとんでもない事をやらかす未来しか見えない。


結果、オレは特大の溜息と一緒に、父さん達と話した内容を口にする。


「ハァァァ……父様とエル、それにローランドと話してきました。人の持つ5感に関して、サナリスに異常は………………」


順番に説明をして、種族の名前を決めた事を話した所でヤツは口を開いた。


「ふーん、「妖精族」ねぇ。良いんじゃない?」

「母様! もう少し真剣に聞いてください。サナリスだけじゃなく、新しい種族全体の話なんですから!」


オレが真剣に怒っているのが分かったのだろう。母さんはゆっくりと起き上がって居住まいを正して口を開いた。


「精霊と人の架け橋になる種族でしょ? 妖精って事は書庫にあった「妖精の涙」からとったのよね? 私は良いと思うわよ。それにアンタとエルで決めたんなら誰が文句を言えるのよ。もっと自信を持ちなさい」


むぅ、何故か叱られてしまった。釈然としない気持ちを抱えながらも、気になっている事を聞いてみた。


「種族の名前の件はもう良いです。それより、マナを扱えるチカラの代償について、母様はどう思いますか?」

「代償ねぇ……アンタの言いたい事は分かるわ。でも、そんなものアオにも分からないんでしょ? 分からない事を考えるより、下級の精霊のチカラをどこまで貸してもらえるのか……そっちを調べた方が、よっぽど建設的じゃない?」


「そうは言いますけど、サナリスはまだ幼すぎます。今 確かめるのは流石に難しいかと」

「なんでよ。サナリスじゃなくても下級精霊と会話をして、チカラを貸してもらってる存在がいるじゃない」


は? そんな存在がいるの? え? 誰? オレの知ってる人?

驚いた顔のオレを見て、母さんは大きな溜息を吐いて口を開く。


「ハァ……アンタが言ったんじゃない。アルジャナからの帰りの旅で、どうやって海? 大きな湖を渡ったのよ。良く思い出してみなさい」


あ……いた……下級精霊と話してチカラを貸してもらっている存在が、確かにいた。


「ハクさん!」

「そうよ。アンタが自分で言ったんでしょ。流石に動物の主と「妖精族」では違いはあるでしょうけど、参考にはなるんじゃない?」


「そうか。確かにハクさんなら、僕が知らない事を知っているかもしれないのか……」

「たぶん上位精霊であるアオや人である私達より、能力だけ見ればその主の方が「妖精族」にとって、よっぽど「近しい」存在なんじゃないかしら?」


「確かに……下級精霊と会話って言っても、僕では漠然としたイメージしか出来ないですし……ただ、どうやって会うのか……海を越えなきゃいけないんですよねぇ」

「そんな事、私に分かるわけ無いじゃない。でも、どうせアルジャナにも、いつかはマナスポットのネットワークを張り巡らせるんでしょ? だったら知恵を絞るしか無いわね」


それだけ言うと、母さんはまた寝転がってクッキーを貪り始めた。

うーん……この人は間違いなく優秀ではあるんだよな……性格に問題があるだけで……


この場には何とも言えない空気が流れるのであった。





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― 新着の感想 ―
次の行き先決定〜
エルの子供ですよね? アルに相談するのは分かるけど、「どうするつもりなんだ?」ってアルに聞くのはとっても違和感があるのですが エルとマールが考える事じゃないかい?
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