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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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424.閑話

424.閑話






ボーグに新しいドラゴンアーマーの製作を頼んだ次の日。

オレ、ルイス、ネロ、カズイの4人は狗神の森へと飛んで、ググの街へと向かっている。


何故4人なのか? それは団長とギリクには使徒の件を話しているものの、怪しまれる行動はなるべく控えるべきと判断したからだ。

当たり前だが、訪ねてくる度に人が入れ替わっているなど、怪しさ120%である。


結果、最近の定番になりつつ4人での行動となったのだ。

男4人 気心の知れたメンバーで、軽くカズイの恋バナを聞きながら歩いていると、直にググの街へと辿り着いた。


そのまま領主館へ徒歩で向かおうとしたのだが、団長やギリクから話が通っているのだろう。直ぐに門番の1人が伝令に走り、オレ達は門番達の宿舎へ通されてしまった。


『直ぐに団長がやってきます。汚い所ですが、少々お待ちください』


そう言ってお茶を出されて、門番の男は退室していく。


「しかし、この待遇も面倒だな。いちいち待たされるんじゃ、貴族と変わらない。前の方が気楽で良かったくらいだぜ」

「まぁな。ただ向こうが礼を尽くしてる以上、あんまり無碍にも出来ないのがな」


少しの愚痴を吐き、暫く待っていると慌ただしく団長が入ってくる。


『お、お待たせして、申し訳ありません、アルド様。領主館に部屋を用意してありますので、どうぞそちらへ』


ルイズ達に一切の目を向けず、オレだけを見つめて話す団長の目には、ある種の狂気が見える。


『は、はい、ありがとうございます……』


用意されている馬車へ乗り込み、移動の最中ですら団長はオレの一挙手一投足に神経を尖らせている。

うわー、すっごく鬱陶しい……この人どっか行ってくれないかなぁ。


そんなオレの思いも伝わらず、直に馬車は領主館へ到着した。


『ささ、アルド様、こちらへどうぞ。兄のギリクも待っておりますので』


どうやら実質的な権限を持つ、領主代行のギリクも帰ってきているようだ。王家との交渉の進捗も聞きたかったので、丁度良い。

早速 案内された客間には、ギリクが立って待っており慇懃な態度で迎えてくれる。


『ようこそ、アルド様。ご健勝のようで、このギリク、誠に嬉しく存じます』


お前もか……こんなやり取りが嫌いで貴族籍を抜いたのに……何でこうなった!


『ぎ、ギリク殿もご健勝のようで……』


ぎこちない挨拶を終え、全員が席に着いた後、ギリクは緊張した様子で口を開く。


『で、本日はどう言ったお話でしょうか?』

『王家への謁見の件の進捗と、地竜討伐の報告に伺いました』


『ま、まさか……本当に地竜を倒されたのですか?』


ここで、「しっかり返り討ちにあっちゃいました、テヘペロ」って言ったら、どんな顔をするんだろう?

いや、勿論 嘘の報告をしますよ? ただ、しょうがないとしても、やっぱり嘘を吐くのは気分の良い物ではない。


オレは少しの逡巡の後、ゆっくり話し始めた。


『はい、無事に討伐を終えました。これが証拠の品です。地竜の牙と爪、ご確認を』


オレの言葉と同時に、カズイは荷物の中から地竜の爪と牙を出し、机の上に並べていく。


『こ、これが地竜の……』


ギリクと団長は、爪と牙を壊れ物の如く扱っている。


『申し訳ありませんが、皮と鱗は私達の鎧の材料にさせてもらいますので、献上は出来ません。それに、内臓と血は足が早い……勿体ないですが捨ててきました。手元に残っているのは、ここにある爪と牙だけ。これを地竜討伐の証としたいと思っています。如何でしょうか?』

『す、素晴らしい! おっしゃるように、使徒様であられるアルド様には鎧の材料は必要でしょう。血と内臓も足が早いのは理解できます。この爪と牙、それと実際にアルド様が纏っているドラゴンの皮の鎧。十分です! これで王家との話を進められます!』


テンションの上がったギリクが落ち着くまでの時間を与え、場が静まった頃。


『申し訳ありません、アルド様。実は……やはり地竜の討伐抜きに、王家との謁見は叶いませんでした』

『そうですか。元々、条件として地竜討伐があるのでしょうがない事です。ギリク殿のせいではありません。頭を上げて下さい』


オレの言葉を聞き、ギリクは申し訳なさそうな顔から一転、満面の笑みを浮かべ口を開いた。


『しかし! この牙と爪があれば、間違い無く謁見は叶うでしょう! 直ぐに交渉に入ります故、アルド様にはもう暫く時間を頂きたく……』

『あの、急がなくても……ここまできたら確実に謁見の場を用意してください』


『ありがとうございます』


さてさて、これで後はギリクが場を作ってくれるまで待てば良いのだが、困った事が1点ある。

ギリクと連絡を取るには、オレ達がここに定期的にやってくるか、この領主館に滞在するしか方法が無い事だ。


ギリクもこの事は分かっていたのだろう。折角 日程を調整しても、オレが来ないなんて事になったら……

王家との謁見をブッチする……あ、胃がキリキリと痛くなってきた。


話し合いの結果 伝令として、ルイス、カズイ、ネロの3人がこの領主館に滞在する事になったのは仕方が無い事なのだろう。

3人が滞在するならオレも……と口にした所で、ルイスから「お前にはお前のやる事がある。雑事は任せておけば良いんだよ。それに毒の危険が僅かでもある場所に、お前を置いておきたくない」と言われてしまった。


確かに、バーニアの魔道具開発に、そろそろ以前から話のあったエアコンの販売も始まる。それにエルの腕の修復をしなくては……

何より、オレ自身がブルーリングへ帰りたい。


ぶっちゃけ、アシェラのお腹もだいぶ大きくなっているので、傍に付いていたいのだ。


「分かった。3人共 ありがとう。本当に感謝してる」

「そんな事は口に出さなくて良いんだよ。こっちは任せて、お前はゆっくり休んどけ」

「任せるんだぞ。アルドはエルファスの腕を治さないとだぞ」

「でも狗神の森まで、アルドが1人になっちゃうね…………やっぱり何でもない。アルドがここら辺の敵に苦戦するわけないよね」


こうしてオレは、ルイス達をググの領主館に残し、1人ブルーリングへと帰ったのである。






「ただいまー」


扉を開けながら声をかけるも、帰ってくる声はない。

むむむ、これは3人共出かけているのか? それにしては鍵もかかっていなかったのはおかしい。


まさか、我が家の危機? もしかして可愛い嫁達が、今まさに強盗に脅されているのかも!

最速で範囲ソナーを打つと、オレの部屋から2人分の反応がある……


足音を立てないように、5センドだけの空間蹴りを使い最速で向かって行く。

自分の部屋の前まで辿り着き、細心の注意で扉をゆっくり開けていった。


そっと部屋を覗き込むと、そこには何とオレのベッドで寝むるアシェラとライラの姿が!

まぁ、範囲ソナーで、2人がいるのは分かっていたんですけど、まさか仲良くお昼寝中でしたか。


少し考えたが、そのまま静かに部屋に入り、2人の寝顔を見つめる事にした。

うーん、可愛らしい。こんな美人さんを嫁に貰えて、オレは幸せ者だ。


2人はお互い背中合わせになって、気持ちよさそうに眠っている。

むむむ? アシェラは前に言ってたように、少し丸くなったか?


お腹が減ってしょうがないって言ってたので、少し食べ過ぎたのかもしれない。

でもオレは口に出したりしないんだ。妊娠中は多少 お肉が付くのはしょうがない。


万が一ダイエットなんてして、お腹の子供の栄養が足りないなんて事になったら!

反対にライラは少し痩せた? 疲れが顔に出ている気がする。


もしかして、徹夜で勉強なんてしてないだろうな? ライラは放っておくと、自室に籠って出て来ないから……

こっちは少し注意した方が良いのかもしれない。


しかし、2人共 何故オレのベッドで寝ているのか……もしかしてオレちゃん、愛されてる? 愛されまくってる?

いやー、モテル男は辛いッスわー。嫁達の愛を感じるぜぃ。


1人椅子の上で喜んでいると、ライラがゆっくりと目を覚ます。

まだアシェラが寝てるので、極力抑えて声をかけた。


「おはよう、お姫様」


ライラは寝起きだと言うのに、目を見開き挙動不審になっている。


「あ、アルド君……あ、髪が……それに服も皺だらけで……あ、違うの、これは……」

「大丈夫だ。寝起きのライラも十分可愛いよ」


「ほ、本当に……?」

「ああ」


「で、でも、やっぱり顔を洗ってくる!」


そう言って洗面所に走っていってしまう。

少しうるさかったのか、アシェラが伸びをしなから声を上げた。


「うーん……」

「ごめん、アシェラ、起こしちゃったか?」


「うーうん、大丈夫……」


そう言って、眠そうな目でオレに両手を突き出してきた。当然オレが次にする行動は決まっている。

お腹を圧迫しないように、優しくハグをしながら声をかけた。


「おはよう、2人目のお姫様。体調はどうだ?」

「ん……直ぐにお腹が減る。それとやる事が無くて暇」


「そうか。後 数か月の辛抱だ。安静にする必要はないけど、激しい運動は止めてくれよ」

「分かってる。動くのは、散歩とアルドに教わった体操だけにしてる」


アシェラに教えたのはラジオ体操だ。ジッとしているのが、アシェラにとってかなりのストレスらしく、教えた日から毎日やっているそうだ。

勿論、飛んだり腰を回したりの部分は省いて、ルーシェさんにも問題無いと確認してもらっている。


「どうする、もう少し寝るか?」

「うーうん、起きる。ググ領でどうなったか聞きたい」


「そうか。ライラも顔を洗ってくるって言ってたから、下に降りようか」

「うん」


アシェラと一緒に1階へ降りると、丁度 顔を洗い終わったライラの姿が見えた。


「ギリク殿との話を教えるからライラも聞いてくれ」

「分かった」


そのまま3人でリビングに移動した所で、玄関の扉が開く音が聞こえてくる。どうやらオリビアが帰ってきたようだ。


「ただいま帰りました」

「おかえり、オリビア。どこに行ってたんだ?」


「メロウさんから言葉を習っていました。聞いてください、だいぶ獣人語が話せるようになりましたよ」

「そうか、凄いな。でもあんまり無理しないでくれよ。それと、オリビアもこっちに座ってくれ。ギリク殿との話し合いで決まった事を説明するよ」


「分かりました。では、お茶を用意しますね」


実は「なんちゃってブルーリング武道大会」の後から、オリビアはラヴィとメロウから外国語を習っている。

本人は「将来、アルドの役に立つかもしれませんから」と笑っているが、オレがここ最近 国外へ行く用事が増えた事で、覚える気になったようだ。


実際、オリビアを国外へ連れて行く用事があるかは分からないが、本人の強い意思で したいようにさせている。

しかし、改めて思うのは、アシェラの強さに、ライラの勤勉さ。それにオリビアの献身。嫁達が優秀すぎて怖い!


ワテクシも頑張らないと、いつか捨てられそうな気がする!

全員が席に着いてから、内心の動揺を抑えつつググ領での出来事を説明していく。


説明が終わってからは、3人からオレが留守の間の出来事を教えてもらった。

一つ一つは他愛無い出来事であっても、一生懸命生きている姿に愛おしさが込み上げてくる。


こうしてオレは、この時間をくれたルイス達に感謝しながら、愛する妻達とひと時の時間を楽しむのであった。





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