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(仮)アルドの異世界転生  作者: ばうお


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423.地竜の王 part5

423.地竜の王 part5






地竜の巣へ滞在し、3日が過ぎた。

実際には滞在とは言っても、最初の日の野営以外、2日目からは夜になるとブルーリングへ飛んでいるのだが。


この2日間は、エルと一緒に朝から地竜の巣へ飛んで、チビの牙と爪を切り落とす日々であった。

当然のように母さんは「面倒くさい」と参加を断り、ライラも「アルド君に危険が無いなら家で勉強してる」と言って、自宅で新たな知識を求めている。


結果、オレとエル、何故かチビと仲良くなったネロと、地竜に興味津々のルイスの4人で通う事になってしまった。

カズイだけは、「オクタールの復興の手伝いがしたい」と言っていたので、きっと話にあった女の子に会いたいのだろう。


「しかし、こんな結果になるとはなぁ。精霊様でも分からねぇぜ」


こう話すのはルイスである。

隻腕のエルのサポートをしつつ、皮や牙 運びに汗を流しながらの言葉だ。


「そうだな。あのまま戦い続けてたら、ヘタすると全滅してたかもな」

「ああ、上から見てたけど、ギリギリの戦いだった。特にあのブレス。1発でエルファスの腕ごと持ってくとは……恐ろしい威力だったぜ」

「あれは本当にギリギリでした。魔力盾を何度も張り直して、やっと止めたんです。以前の地竜のブレスとは比べ物になりません」


「そんなにか……お前が止めてくれて本当に助かったよ。それと、その腕、素材を運び終わったら、ちゃんと治すからな。もう少しだけ我慢してくれ」

「それは全然 問題無いんですが……」


エルは何故か言葉を濁しており、少しの時間が経った後、意を決したように口を開いた。


「兄さま、お願いがあるんです!」

「な、何だ、急に……」


「腕を治す際、兄さまやアシェラ姉と同じにしてほしいんです!」

「同じってお前……改造してほしいって事か……」


「はい。今回の事も、僕の魔力操作が一段階 上なら、ブレスにも耐えられたと思うんです!」


確かにエルの言う事は一理ある。本当に耐えられたかは分からないが、魔力操作の練度が上がれば魔力盾の強度は上がるのだから。

エルの盾はパーティ全体の盾でもある以上、改造するのが一番の妙手なのだろう。


しかし、この技術には幾つも欠陥があるのも事実なわけで……簡単に施して良い物では無い。


「エル、お前の気持ちは分かった。ただな、ネロも足を改造して、それ以外の部分に負担がかかってる。しかも将来、後遺症が出る可能性だってあるんだ。それでも、お前は改造を望むのか?」


エルは一切の迷い無い目で、しっかりと言頷いた。


「はい、お願いします!」

「ハァ……分かったよ。お前の言う通りにする……」


「ありがとうございます、兄さま!」


満面の笑みを浮かべるエルに、オレはそれ以上 言葉をかける事が出来なかった。






実はこの3日間、フェンリルは地竜の巣に滞在し続けている。

何百年と言う時間を埋めるかのように、チビへ寄り添うその姿は、正に家族のそれであった。


「では、そろそろ僕達は行きますね。色々とありがとうございました。それと、いきなり襲った事、改めて謝罪します。すみませんでした」

『その件の謝罪はもうもらっている。我の方こそ、もう会う事の無いと思っていた兄ちゃんに会わせてもらったのだ。感謝してもしきれない。本当に世話になった』


この3日間 チビとも色々な話をし、オレ達の間に禍根は残っていない。

今のオレからすれば、チビは遠縁の親戚のオッサンと言った感じだろうか。身内ほど近くは無いが、他人ほど遠くも無い。


『かつて父ちゃんが言っていた。使徒が生まれたと言う事は、放っておくと数百年後には世界が滅ぶのだろう。確かに我の身は魔物ではある。しかし、心は人に近いはずだ。何かあれば存分に頼ってくれ。尤も竜種であるこの身では、出来る事は限られているがな』

「重ねてありがとうございます。その時がきたら、是非 頼らせてもらいますね」


チビとの挨拶はこれで終わりだ。何かあった時には、是非 頼らせてもらおう。魔瘴石があれば飛んでもらう事も出来るのだから。

こうして何の因果か、奇妙な知り合いも増え、当初の予定も果たす事が出来たのであった。






ブルーリングに帰ってきたオレ達は、先ずボーグの下へ向かう事にした。

地竜の皮でルイスやネロ、カズイのドラゴンアーマーを作ってもらうのは勿論だが、エルの左腕の部分と盾も新しく作ってもらわないといけないからだ。


早速、チビの皮を人力車に詰め込み、ボーグの店へと向かっている。


「おーい、ボーグ。地竜の皮を持ってきたぞー。いるかー?」


着いた早々、店の外から声をかけると、ボーグが呆れ顔で店から出てきた。


「これでルイスとネロ、カズイさんのドラゴンアーマーを作ってほしいんだ」

「お前なぁ……ハァ、取り敢えず入れ。おい、その荷物も持って来い。竜種の皮なんて大層なモン、置いていこうとするな。本当にお前は……」


言われた通り、オレ、ルイス、ネロの3人で皮を店の中へと運んでいく。当然ながらエルは片手なので見ているだけだ。


「で、何だって?」

「この皮でルイス達のドラゴンアーマーを作ってくれ。ただ将来的に、バーニアの魔道具も仕込もうと思ってるんだ。そこも考慮してほしい」


「は? バーニアって……お前、そんな魔道具も作ったのか?」

「いや、あくまて将来的って事だ。本当にそんな魔道具が出来るかも分からない。今の時点では構想があるってぐらいの話だな」


「そうかよ……大きさも何も分からないんじゃ、今の段階では無理だ。どれぐらいの空きを作れば良いのかが分からないからな。そっちは魔道具が出来てから改めて考える。取り敢えずは、コイツでルイス達のドラゴンアーマーを作れば良いんだな?」

「なるほど、そりゃそうか。じゃあ、それで頼む。それとエルを見てほしいんだ。見ての通り、左腕をやられた。エルのドラゴンアーマーも左腕を作ってほしい」


「お前が右腕で、今度はエルファスが左腕を無くしたのかよ……お前等、どんな生き方をしてやがる。役目があるのは分かるが、程々にしとけよ。そんなんじゃ、いつか死んじまうぞ……」

「分かってるよ……ただオレ達がやらないといけない事なんだ」


「ハァ……分かったよ。これ以上は言わねぇ。じゃあ、ちょっと皮を見せてくれ……」


そう言ってボーグはチビの皮の一部を、撫でたり叩いたりして状態を調べ始めた。

もしかして脱皮した皮じゃ、本来の地竜の皮の性能が出ないのかも……苦い顔でチビの皮を触っているボーグを見ながら、そんな事を考えていると、当のボーグは困惑気味に口を開いた。


「おい、アルド、この皮をどこで手に入れた?」


そんな鬼気迫る顔でいわなくても……やっぱり脱皮した皮じゃダメだったか?


「あー、グレートフェンリルでちょっと……あんまり詳しい事は話せないんだ。一応、地竜の王って呼ばれる存在の皮なんだが、問題あるか?」

「地竜の王……なるほど、それでか……」


そこからボーグが話した内容は驚くべき物だった。

何でもこの皮は、以前の地竜の皮とは比べ物にならないほど上質なのだとか。


しかも更に驚くべき内容をボーグは口にする。


「コイツを見て見ろ……魔力を込めると薄っすら青い幕を張りやがる……しかも、この膜、頑丈なんてもんじゃねぇ……このナイフ程度じゃ、どれだけチカラを入れても、皮まで届きゃしねぇ……」


え? マジ? これってチビの使ってた「守りの壁」だよな? あの障壁って、この皮にデフォで装備されてんの?


「こ、これ、地竜の王が使ってた能力だ……皮だけになっても使えるのか……」


ボーグは何かを考え始めて、黙り込んでしまった。

暫くの時間が過ぎた後、重い口を開く。


「詳しい話を聞きたいが、その様子だと言えねぇんだろ? だったら、せめてこの皮の性能を調べさせてもらうぞ」


そう言ってボーグは、奥から短剣を持ちだしてくる。


「オレが魔力を注ぐ。お前はこの膜を叩き斬ってくれ。先ずは込める魔力の量で、膜の強度に違いがあるかを調べる。その後は膜の範囲だ。ルイス、ネロ、オレの魔力が尽きたら、お前等にも代わってもらうからな」


こうして、興奮で目がバキバキになったボーグと共に、「守りの壁」の性能調査が始まったのである。






皮の調査を始めて数時間が経った頃。

最初に分かったのは、この「守りの壁」の強度はチビが使っていた物よりだいぶ性能が落ちる事である。


先ず一番 重要な強度では、超振動など使わなくとも素の魔力武器を全力で振るえば斬れてしまった。

次に消費魔力。正確に測る事が出来ない以上、ぶっちゃけ感覚の話にはなるが、魔力盾を球状に展開するのと変わらないように思う。


もしかして、込める魔力の量によって強度が変わるのかとも思ったが、「守りの壁」の強度に殆ど変化は無かった。

最後に壁を張る事の出来る範囲だが、驚いた事に、意識すればかなり広く「守りの壁」を発動できたのだ。


ボーグが言うには、これなら鎧の隙間や顔など、ドラゴンアーマーで守れない部分もカバーできるらしい。

魔力の消費は厳しいが、この皮で鎧を作ればオレ達の防御力は一段階 引き上げる事が出来る。


「ボーグ、さっきの話は無しだ。新たにこの皮で、全員のドラゴンアーマーを作ってほしい」

「全員って……嬢ちゃん達の分もって事か?」


「ああ。オレとエル、アシェラとライラ、母さんとナーガさん、ルイスとネロ、そしてカズイさんの9人分だ」

「嬢ちゃんの分は手甲もだよな?」


「ああ、そうだ。頼めるか?」

「この皮の量で9人分か……ちょっとギリギリだな。メンテナンス用にも、もう少し手に入れられねぇか?」


「それは……聞いてみる」

「聞くって誰にだよ。地竜に皮をくださいとでも頼むってのか?」


ボーグよ、その通りなんだ……今から「アナタの皮をもう少し分けてくれませんか?」って頼みに行くんだよ……

何も言葉を発さないオレを見て、ボーグは困った顔で口を開く。


「お前の事だ、何か考えがあるんだろ。オレは先にドラゴンアーマーを作ってる。皮が手に入ったら持ってこい」

「すまない。言えない事が沢山あって……」


「オレは防具職人だ。素材を狩るのはお前の領分。そっちは任せる。後は誰の分から作るのかだけ言っておけ。どうせ嬢ちゃんは妊娠中だ。後回しにしで良いんだろ?」


話し合いの結果、先ずはドラゴンアーマーを持っていないルイス達の分から頼む事にした。

ルイスとネロは恐縮していたが、今回のチビとの一件もあり、もうワイバーンレザーアーマーでは安心出来ない。


結局、無理を押し通す形で、3人の鎧から作ってもらう事にしたのである。






領主館に戻り、再度 チビを訪問した。

早速ボーグとの話を聞かせると、チビは青い顔をしながらも「こ、今代の使徒のためだ。き、協力しようではないか」と、驚く事に尻尾を提供してくれると言う。


チビに「守りの壁」を切ってもらい、エルと一緒に超振動をかけた大剣を振り下ろす……尻尾を切り落とした後、直ぐにオレとエルの2人がかりで謝りながら尻尾の修復したので、今は元通りにはなっている。

無茶を言った事を謝罪すると、「では、久しぶりに酒が飲みたい」と言い出したので、樽で運んで提供させてもらった。


「子供の頃、父ちゃんに飲ませてもらった味だ」と上機嫌に笑っていたので、禍根は残っていないと思われる。

だいぶ遠回りしてしまったが、明日には狗神の森へ飛んで、ググ領のギリク達へ地竜討伐の報告をしようと思う。





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― 新着の感想 ―
今度からは麻酔か何かで眠らせてからの方が良いかと。
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