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第40話 一撃で倒せてしまう件について

「ブモオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


『猛牛の層塔』という名の通り、ダンジョン内に出現するのは、牛系の魔物ばかりだった。


 特に多いのは牛の魔物としては最もポピュラーだろう、ミノタウロスである。

 身の丈二メートル越えの筋骨隆々の巨漢が、雄叫びと共に猛烈な勢いで突っ込んでくる様は、なかなかの恐怖だろう。


 まぁ真っ直ぐ突っ込んでくるだけなので、回避するのは難しくない。

『王の威光』スキルもあるため、速度を落とすことも可能だ。


 俺は横っ飛びで猛牛の突進を避けると同時、手にした【豚人帝の牛刀】を、思い切りその大きな胴体へと叩きつけてやる。

 ズバンッ!!


「ブモオオオオオオオオオオ~~~~~~ッ!?」


 それだけで胴体が真っ二つに両断され、泣き別れた上半身と下半身が別々に地面を転がっていく。


「……うーん、一撃で倒せてしまう件について」


 ミノタウロスは、今までのダンジョンで出現する魔物より強いはずだ。

 だがこの牛刀で一刀両断してしまえるのである。


 むしろ『魔蟲の樹洞』の魔物より弱く思えるほどだった。


「虫系の魔物は外骨格が硬くて、防御力が高かったからかな。それでもほとんど一撃で粉砕できてたし……」


 あるいは鑑定結果には出ていなかったが、隠し効果があったりして。

 牛刀だから、牛系の魔物の場合に何らかのボーナス効果があるのかもしれない。


「……牛刀って、別に牛を切るから牛刀ってわけじゃないんだけどな」


 他にも全長五メートルもの馬鹿でかい牛の魔物や、首が二つある牛の魔物などにも遭遇したが、いずれもほとんど苦戦せずに倒すことができた。


 そんな感じなので、層塔との通り階層構造となっているダンジョンを上に上にと登っていく。

 このままボス部屋まで一気に行ってしまうとしよう。


 ちなみに今のところダンジョン内で他の探索者には一度も遭遇していない。

 来るときにクラスメイトのいる冒険者パーティとすれ違ったが、もう夜だから人が少ないのだろう。


 ゲームだったら夜が一番の稼ぎどきなんだがな。


 そんなことを考えながら辿り着いたのは最上階だ。

 大きな扉を開けて中に入ると、巨大な空間が出迎えてくれる。


 そこに待ち構えていたのは、通常のミノタウロスより二回りも体格がいい、漆黒の毛並みのミノタウロスだった。


 ミノタウロスの上位種、ブラックミノタウロスである。


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


 耳をつんざく強烈な咆哮を轟かせると、床が抜けるのではと思うほどの地響きと共に、こちらへ躍りかかってきた。


「王の威光」

「~~~~っ!?」


 やはりこいつにも効くようだ。

 スピードが落ちたブラックミノタウロスの突進を回避。


 慌てて急ブレーキを踏むブラックミノタウロスだが、その隙に背後へと接近して、背中に思い切り牛刀を叩きつけた。







「――ダンジョンボス:ブラックミノタウロスを倒しました」

「――おめでとうございます。ダンジョン『猛牛の層塔』クリアです」

「――特定条件『ソロでダンジョンボスを初見攻略する』の達成が確認されました」

「――エクストラボスに挑戦することができます。挑戦しますか?」


 ブラックミノタウロスを無事に撃破すると、例のごときアナウンスが響いた。

 もちろん挑戦一択である。


「――エクストラボスが出現します」


 たとえ失敗したところで、アバターなので死ぬことはない。

 ただ、その場合はエクストラボス出現の条件から考えて、二度とエクストラボスに挑戦できなくなってしまうだろう。


 当然、強力な報酬も手に入らない。


「いちゲーマーとしてそれだけは我慢ならない。だから何が何でも勝つしかない」


 そう決意する俺の前に、ちょっとした山が出現した。

 いや、山ではない、ブクブクに太った巨大なミノタウロスだ。


「でかっ!?」


 全長十メートルを超す、恐ろしく大きなミノタウロス。

 エクストラボスであるクイーンミノタウロスとの戦いが始まった。


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ひきこもり
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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 転がるを積んできそうなモンスターですな。
[気になる点] レーニャ まだ?
[良い点] 今度のアイテムはなんだろうな
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