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ルゥと刻のアトリエ  作者: 帆立
対決ガルアーノ
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7-15:対決ガルアーノ

 それからわたしとレオンはギュスターヴさんの屋敷に向かった。


「ついにオーレリウムの花が見れますのね」


 中庭の花園。

 わたしとレオン、ギュスターヴさん、それにミントが花壇を囲んでいる。

 花壇にはオーレリウムのつぼみ。


 1000年後に咲くと言われているオーレリウムの花。

 それをようやく『刻星術』で咲かせられるのだ。

 この黒魔石の力を借りれば。


「イモ娘。お前には本当に苦労をかけたな。感謝してもし足りない」

「なら、ギュスターヴさん。わたしのことはちゃんと名前で呼んでください」


 えっへん、と胸を張って存分に威張る。

 けれど、ギュスターヴさんは、大真まじめな顔をして首を横に振った。


「それはできん」

「なんで!?」

「お前はまさしくイモ娘だからだ。それ以外の名は考えられん」


 それから彼はキザに苦笑する。


「他人をほめるのにはどうも慣れん」


 あ、ほめてるんだね……。

 これっぽっちもうれしくないけど。

 ミントが「まあっ」と口元に手を当てている。


「ギュスターヴお兄さまが他人を認めるなんて」

「さすがはルゥさま。僕の仕える主人です」

「あはは……。ありがと」


 これからもわたしは『イモ娘』って呼ばれ続けるのか……。

 本人はそれを称賛だと思っているから余計にたちが悪い。


「イモ娘。前にも言ったが、お前との結婚ならば考えてやらんでもない。ありがたく思え」

「それは僕が許しません」

「この前の決着をつけるか、執事」

「二人とも、ケンカはよしてくださる? ルゥがせっかく花を咲かせてくれるのに」

「す、すまん……」

「失礼しました。つい、取り乱してしまい」


 いよいよオーレリウムの花を咲かせるときがきた。

 わたしはステッキを手にする。

 胸には黒魔石を加工したペンダント。


 ステッキをオーレリウムのつぼみにかざす。

 目を閉じて心を集中させる。

 身体に流れる魔力を意識する。


 黒魔石から膨大な魔力が流れ込んでくるのを感じる。

 それをステッキの先端に流れるよう、操る。

 魔力がステッキに集まったのを感じると、目を開ける。


「オーレリウムの花の時間よ『進め』!」


 ステッキから光の粒子がこぼれ出てくる。

 まるで夜空に輝く星みたい。

 光の粒子はオーレリウムのつぼみへと降り注がれる。


 オーレリウムのつぼみが左右に揺れ出す。

 なにかが起きる予兆。

 まるで眠りから覚める子供みたいにつぼみは揺れる。


「いよいよですわ」

「いよいよだね」


 じっと待つわたしたち。

 胸がどきどきする。

 しばらく待つと、つぼみがぱっと開き、美しい桃色の花弁が姿を見せた。


 1000年の時が進み、オーレリウムは花を咲かせたのだった。

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