表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルゥと刻のアトリエ  作者: 帆立
対決ガルアーノ
81/96

7-12:対決ガルアーノ

 ガルアーノ大臣が片手で国王陛下を握る。

 そのまま持ち上げて、大きく口を開ける。

 食べる気だ!


 動けるのはわたしだけ。

 助けないと!

 そのときだった。パンッ、と火薬が破裂する音が鳴ったのは。


 音が鳴るのとほぼ同時に、ガルアーノ大臣の巨体が揺らぐ。

 苦痛を感じたのか顔がゆがむ。

 握っていた国王陛下を放してしまった。


「まさか俺が王さまを助けるはめになるなんてな」


 振り返ると、そこには一人の兵士が立っていた。

 兵士は拳銃を片手で握っていた。

 銃口からは煙が立ち上っている。


「ガルアーノ。お前がすべての元凶だったのか」


 兵士が兜を脱ぐ。

 顔が完全に判別するようになると、それが誰だかようやくわかった。


 怪盗ゼロだった。

 兵士に変装して城に潜入してたのだ。


「お前は……、あの寄付をしていたガキか……」


 ガルアーノ大臣は頭を押さえながら忌々しげにゼロをにらむ。

 人間ではないからか、頭を銃弾で打ち抜かれたのに生きていた。


「ルゥ、ケガはないか?」


 ゼロがわたしの肩をつかんで顔を覗き込んでくる。

 気恥ずかしくなったわたしはつい目をそらしてしまった。

 それを見たゼロは「かわいい反応だぜ」とウィンクした。


 ガルアーノ大臣が気味悪く笑う。


「怪盗ゼロ。お前には感謝しないとな。たんまりとワガハイに寄付してくれて」

「お前にやったつもりはねーよ」

「お前のみじめな善意は報われることなくワガハイの腹を満たすことになった。気分はどうだ?」

「最低最悪な気分だぜ」

「なら結構」


 ゼロが銃弾を新たに込めて銃口をガルアーノ大臣に向ける。


「貧しい人々に行き渡るはずのものをかすめ取るなんて、やっぱり悪魔だぜ。お前は」

「そもそも貧困層が生まれたのはお前たち人間のせいではないか」

「それを救おうと俺はしていたんだよ!」


 声を荒らげたゼロが銃の引き金を引いた。

 パンッと火薬の破裂する音が鳴る。


 ガルアーノ大臣の太った腹が激しく揺れる。

 貫通してない。


「そんな小さな鉛の弾などでワガハイを倒せると思ったか」

「化け物め……」


 ガルアーノ大臣が手をかざす。

 手のひらから大きな炎の弾が生まれる。

 わたしはとっさに魔法を唱えた。


「守って!」


 魔法によってわたしとゼロを包む障壁が発生したのと、ガルアーノ大臣の手から炎の弾が発射されたのはほぼ同時だった。

 炎の弾は障壁にぶつかって打ち消された。

 危ないところだった……。


「小娘が。次はどうだ!」


 ガルアーノ大臣は両手を頭上に掲げる。

 そこから再び炎の弾が生まれる。

 今度はかなり大きな球体だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ