7-7:対決ガルアーノ
「ルゥ嬢、どうかされかね?」
わたしがあんぐり口を開けているのをいぶかるガルアーノ大臣。
わたしは慌てて愛想笑いをつくる。
「い、いえ。偉い人たちに会う機会があんまりなくて緊張していたんです。あはは」
「はははは! そうでしたか! ワガハイのことなら遠慮せず、気安く話してくだされ」
今、ここでガルアーノ大臣の悪事を問いただす。
……わけにはいかない。当たり前だけど。
くやしい。
ゼロがドロボウをする原因を作った張本人なのに。
ガルアーノ大臣がわたしのそばにいるレオンに目をやる。
「そちらの方は? そのいでたち、高貴な身分かと思われるが」
「僕はただの執事ですのでお構いなく」
「執事……。そんなふうには見えないが……」
「いえいえ、なんの変哲もない執事でございます。ガルアーノさま」
レオンはさわやかな表情で否定する。
やっぱりわかる人にはわかるんだね。
「……!」
そんなとき、異様なものを見つけた。
ガルアーノ大臣の背後にある窓。
そのガラスには本来、ガルアーノ大臣の姿が映るはず。
なのに、そこに映っていたのは人間ではなく、毒々しい紫色の肌をした悪魔のような魔物だった。
「ルゥ嬢。やはり体調が悪いのではないかね。顔色が青ざめているような」
「ちょっ、ちょっと疲れちゃったのかもしれません。失礼しますっ」
わたしはレオンを連れてパーティー会場を急いで飛び出し、バルコニーに出た。
「ルゥさま。どうされたのですか」
誰もいないのを確認してから、レオンにさっき見たことを話す。
ガラスに反射して映っていたガルアーノ大臣が魔物の姿をしていた。
「ガルアーノ大臣は人間に化けた魔物だということでしょうか」
「そうだよ! ぜったいそう!」
レオンにも確かめてもらおうとしたけれど、ガラスに映るガルアーノ大臣はさっきと違って人間の姿をしていた。
「信じて、レオン」
「もちろん信じていますよ」
しかし――とレオンはあごに手を添え、眉をひそめてうつむく。
「それを他人に信じさせる確証が欲しいところですね」
「どうしてさっきは魔物の姿になってたんだろう」
「油断していたのかもしれません」
結局、ガルアーノ大臣を魔物だと暴く機会を得られないままパーティーは終わった。
あの人が悪者だと思い込んでいたから、そう見えてしまったのかもしれない、と時間が経つにつれて自信がなくなってきた。
「へー、意外とおしゃれな店だな」
後日、『刻のアトリエ』にカシマール先生がやってきた。
わたしが呼んだのだ。
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