7-6:対決ガルアーノ
もしかすると、レオンも魔法が使えるのかも。
なんて疑ったりした。
「レオンもパーティーについていってくれるよね?」
パーティーにはパートナーの同伴が認められていた。
わたしはもちろん、レオンを選ぶ。
「僕なんかでよろしいのですか?」
「『なんか』じゃないよ。レオンがいいの」
「ありがとうございます。エスコートさせていただきます。この身を削り、命を賭して」
「そこまでしなくていいよ!?」
三日後の夜、王城で貴族と王族たちの社交パーティーが開かれた。
お城の広いフロアには美しい衣装を身にまとった人たちが大勢いて、豪華な料理を食べたりお酒を飲んだりダンスしたりとパーティーを楽しんでいる。
わたしは緊張していた。
わたしも一応貴族だけど、小さい田舎の弱小領主の娘。
王侯貴族の交わりに誘われることなんて普通はありえない。
そういうわけで顔見知りは誰もいない。
ギュスターヴさんやミントはいないかな、とさがしてみてもどうやら参加していないらしい。
「ルゥさま、食事を楽しみましょう。おいしいですよ」
「うっ、うん……」
蒸したエビや鮭のムニエルを小皿に取って食べる。
上品な味だ。
「踊りますか?」
「わ、わたし、ダンスとかわからないし……」
「ご安心を。僕にまかせてください」
レオンが手を差し伸べてくる。
わたしは少し迷った後、不安な気持ちを抱えたまま彼の手を取った。
そしてわたしとレオンはフロア中央で踊る人たちに混ざってダンスをした。
優雅な音楽に乗って踊る。
わたしはダンスなんてぜんぜんわからないので、とにかくレオンに合わせていた。
足元を見ながらステップをまねする。
他人から見るととてもへたくそなダンスなのだろう。
緊張するけど、レオンとダンスができてうれしくもある。
ダンスしている間、レオンはわたしにずっと微笑んでくれていた。
「すばらしいダンスでしたな!」
「へ?」
ダンスが終わると、いきなり声をかけられた。
太り気味の中年の男性。
高そうな衣装を着ている。
「あなたが最近王都で人気の聖女さまですかな」
「そ、そうです」
「ウワサによると、時間を操れるとかなんとか」
「ちょっとだけですけどね」
ちらりと横を見る。
レオンが険しい表情をしている。
獣が敵を警戒するときの顔だ。
「ルゥさま、この方は――」
「おっと、申し遅れました。ワガハイの名はガルアーノ。この国の大臣をしております」
ガルアーノ!
貧困層居住区救済の予算を横領している悪徳大臣!
思いもよらないところでガルアーノ大臣と対面して驚いた。




