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ルゥと刻のアトリエ  作者: 帆立
対決ガルアーノ
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7-3:対決ガルアーノ

 わたしとレオンは黒魔石を道具に加工してもらうため、王城に足を運んだ。

 王城にある魔法研究所。


「まさかホントに黒魔石を手に入れるなんて……」


 カシマール先生は心底驚いていた。

 失礼だなー。それってわたしたちが依頼を解決できないって最初から思ってたってことじゃない。


「わたしたちのこと、見直しました?」

「ホシアカリからキタノダイチに格上げだな」

「ホシアカリ……? キタノダイチ……?」

「おイモの品種です。ルゥさま」


 わたしは思いっきり頬をふくらませて抗議した。

 どっちにしろイモ娘じゃん!


「はははっ。かわいい反応だな。いじりがいがあるってもんだ」

「カシマール先生のバカッ」

「お詫びにしっかり黒魔石を道具に加工してやるよ。一週間後にまた来い」


 カシマール先生に黒魔石を預け、王城を後にする。

 アトリエに帰ってきてた。


 黒魔石の魔法道具が出来上がるまで一週間後か。

 ……。

 わたしは少し考える。


「怪盗ゼロのことを考えているのですね」

「うっ、浮気じゃないよ!?」

「安心しました」


 つい浮気だなんて口にしてしまったけど、わたしたち『まだ』恋仲じゃないし……。

 あ、でもゼロに恋はしてないよ。

 わたしが想っているのは一人だけ。


「調べてみたところ、思いのほか怪盗ゼロには複雑な事情があるようです」


 レオンがわたしの前にティーカップを置いて紅茶を注ぐ。

 カップから湯気が立つ。

 それからお菓子をそばに並べる。


「怪盗ゼロの父親は王国の大臣だったそうです」

「すごい!」

「しかし、ほかの大臣との権力争いに敗れて失脚し、最期は病死したとのことです」

「ゼロのお父さん、亡くなってたんだ……」

「それでここからが重要なのですが」


 レオンは少し間を置いてから続ける。


「怪盗ゼロの父親は大臣だったころ、貧困層居住区の救済に力を入れていたようです。ですが、彼が失脚して後釜に座った大臣ガルアーノはその救済をぴたりとやめてしまいました」


 志半ばで亡くなってしまったなんて……。


「それからですが、ゼロは亡き父の遺産を貧困層居住区の救済のため、王国に寄付したという記録がありました」


 わたしはそれを聞いて驚く。

 ゼロ、最初はまっとうな手段でスラムの子供たちを救おうとしてたんだ……。

 レオンが眉間にしわを寄せる。


「しかし、どうやら大臣ガルアーノはその寄付を自分の懐に入れたようです」

「悪者じゃない!」

「ガルアーノは国民の生活などまるで気にかけず、それどころか何重もの税を課して私腹を肥やす悪徳大臣で、国民からの評判は最悪なのです」


 そんなヤツが大臣をやっていたらスラムはいつまでたっても救われないじゃない!


「……ちなみになんだけどレオン。その話はどこで知ったの?」


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