6-14:オリオンオークション
わたしはぽかんと口を開けていた?
誰だろう、この子たち……。
しかも、三人もいる。
「も、もしかして、リーゼロッテさんとの子供?」
「違うっつーの」
「違います」
二人同時に言われた。
リーゼロッテさんによると、この子たちは孤児だそう。
貧困層居住区で貧しい暮らしをしていたこの子たちをゼロが拾ってきたのだ。
「やしいんだね、ゼロ」
「惚れたか?」
「惚れたっていうか、見直した」
「盗人のくせに他人に甘いのです、ゼロは」
リーゼロッテさんは容赦がなかった。
けど、その口ぶりからはそんな彼のことを尊敬していて、信頼しているのが伝わってきた。
「おねえちゃん、きれいだね」
子供の一人がわたしに寄ってくる。
「き、きれい……? てへへ、ありがと」
ちょっとうれしくなる。
どこかの誰かさんたちには『イモ娘』なんて呼ばれていたから、最近ちょっと容姿に自信がなくなっていたのだ。
レオンは「女神も妬む絶世の美女でございます」って言ってくれるけど、レオンはわたしに関してはなんでもかんでもほめてくれるからね……。
「おねえちゃん、どこからきたの?」
「おねえちゃんもわたしたちの家族になるのー?」
「絵本読んで!」
次々と寄ってくる子供たち。
か、かわいい! 純真無垢!
わたしもいつかは結婚して子供を持ちたいな。
「ゼロが義賊になった理由、わかったよ」
「こいつらは俺に拾われただけまだマシさ。教会でも俺でも助けられていない子供がスラムにはまだまだいる」
くやしげな顔をするゼロ。
本当に子供たちを助けたいんだね。
「なんとかならないのかな。わたし、ゼロたちの力になるよ」
「一時の感情に流されて無責任な発言をするのはよしてください」
リーゼロッテさんが容赦なく言う。
「あなたがなんとかできるのなら、私たちがとっくになんとかしています」
「そ、そうですね。すみません……」
ゼロが「やれやれ」と肩をすくめる。
「あー、あんま落ち込まなくていいぞ。リーゼロッテはいつもこんな感じだから」
「『こんな』とはどんなです? 具体的に言ってください」
「それだよ、それ!」
そのときだった。
遠くからベルの音が聞こえてきたのは。
「来客ですね」
「こんな夜中にか?」
「見てきます」
リーゼロッテさんが部屋を出る。
それからしばらくすると、その『来客』を連れて戻ってきた。
「レオン!」
彼女のとなりにいたその来客はレオンだった。
レオンはいつものさわやかな笑みを浮かべている。
まさしく丁重にもてなされた来客。
「レオン、どうしてここに!」
「ルゥさまをお迎えにまいりました」
「そ、そうじゃなくて……。どうしてわたしの居場所がわかったの!?」
「においをたどってきたのです」
さらりと言ってのけた。
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