3-14:禁じられた魔法
レオンがあごに手を添えて考え込む。
「きっと見事に世界を滅ぼされるのでしょうね」
「そ、それってほめてるの……?」
「もちろんです」
レオンはとにかくわたしをほめてくれる。
今のはちょっとむりやりだったけど……。
それからわたしとレオンはいよいよアシロマ山を登った。
ごつごつごとした山肌が露出した、険しい山道を歩いていく。
草木はほとんど生えていない。
山道は狭くて、断崖絶壁のぎりぎりを歩いている。
「ルゥさま、足元にお気をつけて」
道も大きな石ころがそこら中に転がっていて、つまずいたら崖下に真っ逆さまだ。
こんなところで魔物に出くわしたら一巻の終わりだ。
慎重な足取りでゆっくりと山道を登っていった。
風が強い。
髪が激しくなびく。
ふと足元を見ると、うっかり崖下を覗き込んでしまった。
その高さに目がくらむ。
顔が青ざめるのが自分でもわかった。
と、そのとき、手にぬくもりが。
レオンがわたしの手を握ってくれたのだ。
「これで安心できましたでしょうか」
レオンはにこりと笑った。
「うん。ありがと」
彼のぬくもりが伝わると、さっきまで感じていた心細さや恐怖が消えてなくなった。
思いがけずレオンと手をつなぐことができて、なんだかうれしくなった。
レオンはやせていて手も足も細く、屈強とはいえないけれど、それでもとても頼もしく感じられた。
わたしただけの王子さま。
なんてね。
しばらく山道を登ると、ひらけた場所についた。
大きな岩のそばに荷物を下ろして休憩することにした。
腰を下ろして岩に背をもたれると、たまっていた疲労がどっと押し寄せてきた。
足が重い。
「ルゥさま、だいじょうぶですか」
心配そうにわたしの顔を覗き込んでくるレオン。
「よかったら、僕のひざを枕にして横になってください」
「えっ!?」
レ、レオンのひざまくら……。
それはさすがに恥ずかしい……。
でも、レオンのひざまくらで眠りたい。
「じゃ、じゃあ、そうさせてもらおうかな」
「どうぞ、ごゆっくりお休みください」
わたしはおそるおそるレオンのひざに頭を置いた。
あったかい。
レオンのぬくもりが伝わってきて安心できる。
で、でも、やっぱり恥ずかしい。
「ひゃあっ」
目を開けるとレオンが至近距離からわたしの顔を見つめていたので、慌てて目を閉じた。
「時間が経ったら起こしますので、気兼ねなく眠ってください」
胸がどきどきして眠れるわけがない。
わたしはかたく目をつむって、どうにか眠ろうと努力した。
「月のかけらって、アシロマ山の頂上にあるんだよね」
「村長はそうおっしゃっていましたね。少々長い道のりになります。じゅうぶんに身体を休めましょう」
「レオンは休まなくて平気なの?」
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