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ルゥと刻のアトリエ  作者: 帆立
禁じられた魔法
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3-3:禁じられた魔法

「列車が直りました!」


 列車から降りてきた車掌がそう言った。


 列車は再び走りだした。

 太陽は完全に沈み、夜が訪れた。

 列車の窓から見える景色も暗闇に包まれている。


「ルゥさま、お身体のほうは平気ですか」


 列車を『刻星術』で直してから、レオンはずっとわたしを気づかってくれている。

 とはいうものの、実感は無い。

 わたしの『刻星術』の代償は寿命だとカシマール先生は言っていたけれど、自分の本来の寿命なんてわかるわけがないから本当に寿命を代償にしたのかわからないのだ。


「『刻星術』はこれきりにしてください」

「わかった」


 レオンをこれ以上悲しませたくない。

 これきりにしよう。

 でも、レオンに危機が迫ったらわたしはまた『刻星術』を使うだろう。

 レオンがそうであるように、わたしもレオンのためならなんだって投げうてる。


「同じ過ちを繰り返さぬよう、列車を直す技術を習得しておきます」

「そ、そこまでしなくていいと思うよ!?」


 レオンだからきっと本気でそうするつもりだろう……。


 列車が徐々に減速してく。

 今度は故障ではない。

 駅に到着したのだ。


 列車は小さな町の駅で停車した。

 ここがわたしたちの目的地――ではない。

 整備をするため、列車はここで半日停車するのだ。


 乗客たちは全員列車を降りて、町の宿屋で宿泊する。

 わたしとレオンも列車を降りた。


 僻地にある町は王都と比べるとだいぶさみしい感じだった。

 人々が仕事を終えて家路につく時間だからというのもある。


「いらっしゃいませ」


 見つけた宿屋に入り、受付を済ませる。

 ところが、ここで問題が起きた。

 部屋が残り一つしか空いてなかったのだ。


「部屋はルゥさまがお使いください」

「レオンはどうするの?」

「外で過ごします」

「だっ、ダメだよ!」


 そんなことしたらカゼを引いちゃう。


「わたしは平気だから、二人で一つの部屋を使おうよ」

「いけません。執事が主と同じ部屋で過ごすなど」

「いいの。レオンは特別だから」

「お気持ちはうれしいですが、遠慮させていただきます」


 レオンはかたくなにわたしの提案を断る。

 わたしはなんとも思わないのに。


「自分の執事が夜に外をうろついてるほうが恥ずかしいよ」

「う、それは……」

「ね? だから同じ部屋で寝よ?」


 宿屋の人も特別に一つの部屋を二人で使うのを許してくれている。


「わたしの執事を自覚しているなら、ちゃんと部屋で寝ること。いーい?」

「か、かしこまりました……」


 そういうわけで強引にレオンを部屋に連れてきた。

 簡素な狭い部屋。

 小さなテーブルとベッドがある。

 もちろんベッドは一人分。


「ベッドはルゥさまがお使いください」

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