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おまけ投稿!割れ綴じ夫婦! 姉に押し付けられた婚約者がラノベ的優良物件ではなくマジでやべー奴だった私の話  作者: 家具付


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そしてそして因果は回った。

これにて完結いたします。お付き合いいただきありがとうございました!

「まさかお前の実家が取り潰されるとは思わなかったな」


「財政的にもう余裕がなかったからでしょう? そもそも私は生家にそこまでの感情がないのでなんとも言いがたいかな」


「悲しいとかないのがありがたいぜ。ついでにお前の事を養女にしたいって言う事を言う家があって良かったぜ」


「それは旦那様とのつながりが欲しいからだろうけど」


「違いない。でも手を上げる家があるって言うのはお前の価値がそれだけ高いって事だからな」


赤ちゃんを引き取ってから数ヶ月経過し、社交シーズン真っ盛りのある昼の時。

けたけたと笑う旦那様の手の中にある手紙には、私の実家からの救援の事があれこれ書かれていたのだろう。

宛名くらいは見えるため、筆跡その他から、それが実家からの物だとわかる。

実家はもう本当に後がないのだろうけれども、見放すと決めた旦那様の意思を翻す事は叶わないだろう。

旦那様は利益のない所に、お金を出すお人好しではないのだ。

利益が無ければ動かない。それは貴族の当主にとって当たり前の感覚に違いない。

私も家庭教師から、利益のないあれこれをやりたい放題やっては家が立ちゆかなくなると、教育されていたからわかる。

それにいびられていた身の上からすると、もう実家の義両親がどうなったところでどうとも思わない。


「お前が実家を助けてって言わないのがありがたいぜ。お前に言われたら多少は考えなきゃならねえところだった」


「借金の結果身売りよろしく来た身の上だし、借金返済のために奔走するんじゃなくて、雪だるま方式で借金を増やしまくって、それの返済が出来ないって旦那様に泣きつく都合の良い感じ好きじゃない」


「ぎゃはははは」


旦那様は大笑いをした。世間の声は、意外と旦那様側だ。借金の申し込みよろしく娘をごり押ししておいて、その娘が結婚を嫌がって異母妹の婚約者を寝取り、異母妹を代わりに差し出した実家。この時点で相当に世間的にはあきれた視線を向ける事であるのに、さらに豪華な生活に目がくらんで寝取った婚約者との結婚すら嫌がって逃げ出して、都合が悪くなったら異母妹に助けを求める義姉。

これはもう貴族的に醜聞過ぎてどこもお金を貸してくれないし、旦那様側がそれを突っぱねてもごもっとも、何しろ旦那様は妻を溺愛しまくっているのだから、その妻に対しての扱いが非道すぎると言う感情でいるわけらしい。


「ま、おれ達は坊主を真っ当に教育して適当な位を陛下に授けてもらって、ほどほどの身の上と生活を保証してやれれば良いだろ」


「この子、位をもらえるだろうか」


「そりゃあ、うちで文句なしに育てりゃ問題が無い。血筋としては貴族階級だしな。私生児って事になっちまうけど」


「養子にはしないの」


「跡取り問題めんどうくせえ。養子にしたら跡取りの順列に入れちまう事になる。坊主はうちの血なまぐさい跡取り問題に巻き込ませるわけにゃいかねえだろ、可哀想だ」


「……ふうん」


「ああそうだ、お前の所に、元婚約者から復縁要請の手紙来てたぜ」


「勝手に読んだの……?」


「宛名がおれ宛だったんだぜ。お前の名前すら覚えてねえって感じ」


「名前覚えてないのに、復縁要請するんだ……」


「結婚相手になってくれる相手が一人も居ないって状況だから、だろ。お嬢様方からすりゃあ、結婚ぶち壊しになる様な振る舞いを婚約者相手にしたに違いないって、評判だろ」


私は確かに言われてみれば、と納得した。お茶会でのお嬢様方は、結婚式当日に花嫁に逃げられた元婚約者は、実は隠されていただけで相当な難があったに違いないと思われているのだ。

さらには、言い寄られたら婚約者の姉でもなびいて一線を越え、子供まで作ってしまったのに、その子供の事すら花嫁が逃げたという事だけで、自分の子供じゃないと捨てるのだから、自分の子供がそう言う目に遭う可能性があれば、貴族の家はうんと言えない。あまりにもリスクが高い婚約になるのだから。


「お前は義姉と大違いで本当に素敵な女性だったのに、自分は何を見ていたのだろうという事がずらずら書かれてたぜ。どうする」


「返事すらしない」


「そりゃいい方向だ」


「そもそも手紙って回し読みされる可能性のある行動でしょ。それにそんなネタを書くあたりの精神が信じられない」


秘密のやりとりとして使われる手紙は、そう言う手紙であると一目でわかるようにしなくては、回し読みされる物になる事が多い。

元婚約者の頭の回転の悪さが想像以上だったためため息をつくと、旦那様はげたげたと笑ったのだった。



「さて、坊主は最近庭の散歩がお気に入りだって話だ。一緒に行こうぜ」


「はい」


私達はそこで、会話をしていた私の仕事部屋から出て行き、子守の女性とその子供と遊んでいた甥っ子の部屋に、むかうのであった。




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