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6話


「これよりオーディションを開始する」


今俺は先程の待合室とは違うオーディション会場へと移動していた。


先程の突っかかってきた二人とともに。


いや、なんで?

確かに他の事務所のオーディションなら複数人同時は分かるんだよ。

でも事前に言われてたのは個人で行うって言われてたんだぞ?


まぁ、俺がやることは変わらないんだけどさ。


「では8番の方から自己紹介、特技、そして三分以内で自由に演技してください」


先程待合室に案内してくれていた女性がそう言ってきた。


このオーディション会場には審査員として彼女と弥生氏の二人いるようだ。


「はい、8番 早内 智世16歳俳優志望です特技は............」


最初にし始めたのは話しかけてきた二人の個人的な視点では他人を落として相対的に自分を上げようとしていた人物。


どちらかと言うと弥生氏と喋っていた方はしっかりしているような気がした。

と言っても清潔感がないとか何とか言われたので腹は立ったのに変わりはないが。


「以上です」


ん?一人目は終わったようだな。


んー、この人を見ている感じ、見た目は芸能人としてやってくのにはギリギリのライン、やる気も微妙、才能はなく、演技にもキレが無かった。

正直、自分を過剰に見積って芸能界に行ける。とか思ってきたのでは?と思ってしまった。


「次に9番の方」

「はい!」


次はずっと俺に突っかかって来た人だ。

この人は多分自分が努力してるからこそ俺の見た目が気に食わなかったんだろうな。

芸能人目指してる人って身なりをかなり気にしてるイメージあるし。

俺も一応身なりは気にしてるし。


「9番俳優志望 花澤 連です!」


花澤連......なんか聞いたことあるな......


「特技はマジックです!」


特技はマジック......あ!!


そうだ前世の時にこの事務所から出た俳優って花澤連だった!


ってことはここでこいつは受かるということか?


確か弥生氏は俺の事務所の俳優は一人しかとらないって言ってたよな?

なんか理由はあるっぽいけど、ってことはこいつが受かったら俺受からないんじゃ......

いや、勝てばいいんだよな、勝てば。

弱気になってどうする!

気合を入れねぇと。

諦めねぇ、折れねぇって決めたじゃんか!

よし!


と、ここで気合いを入れ直した時、彼の演技が始まった。


見ていても作品が分からないのでもしかしたら創作かも?しれない。


......なるほど、高校生の片想いの心情を表そうとしているのか?


ならもう少しここをー、とか言いたい!言いたいけど言ってはならないんだよなぁオーディション中だし......


でも確かに磨けば光るな、才能自体はあるし、なんか、見た感じ努力はしているけどしている方向が間違っているような気がする。


勉強するのも時間をかけたらできるって訳でもないし、どちらかというと正しいやり方を長い時間かければ身になるし。


「ほぅ」


一言だけ弥生氏は呟いた。

やっぱり才能を見抜いているのか、流石だな。

というか見抜いたからこそ前世ではこの事務所に入ったんだろうしな。


つまり俺は彼よりも将来性、才能を見せつけなければいけないのか。


今までの努力を信じるしかないな。


「以上です!ありがとうございました!」

「はい、では10番の方どうぞ」


そして、俺の番が来た。


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