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5話


待合室に入ると既に十人ほど居た。


座ってポケーっとしているとチャラめな男が2人こちらに来た。


「なぁなぁそこのオタクくん君は何志望なんだい?」

「オタク?俺のことか?」

「お前以外に誰がいるんだよ」


なぜオタク?

......あー、髪が長いからか、偏見でしかねぇな。


「何志望か?だっけ、俳優志望だ」

「は?君が?ってことは俳優志望が3人と聞いていたが君が最後の一人か」

「ハハハッ、その見た目で?無理だって〜」

「そもそもその見た目だとどの分野でも無理だろうけどな」


えーと、喧嘩を売られてるってことか?


周りはこの状況を見て戸惑っている感じがかなりある一人部屋を出ていったのでもしかしたら誰かを呼んでくるかもしれない。


んー、こんな巻き込まれでオーディション受けさせて貰えなくなったら困るんだが。

だが、まぁ、売られた喧嘩は買いたくなる性分なんだよなぁ。


「俳優なら演技力が重要だろう?確かに見た目もかなり必要になってくる部分だろうがそれを持って余りある演技をすればいいじゃないか」


確かに人気を得る、という部分で見た目というのはかなり必要になるだろう。

女性なら可愛く、または綺麗さを。

男性ならカッコよく、勇ましさを。


だけどやはり必要なのは演技力、俺の今の見た目はあくまでもオーディションに行う演技のため。


「なら演技をするということは他の人に見られるということじゃないか、他の人に見られて問題のない見た目だと思っているのかい?」

「君みたいなオタクくんが来ていい世界じゃないんだよ」


前者にはある程度のプライドと考えがあるようだな。

後者は......自分より下を弄って自分を相対的に上げようとするタイプか。


「その事については一理があると俺は思う。なら、もしもこの見た目が演技に必要なら?演技をする上で必要な物の1つなら?」

「どういうことだ?」

「それは、ど」

「何事だ!!!」


!!?


大声で男性がドアを開けてきた、そちらを見てみると......


あれは......弥生 大地!?


そこに立っていたのはこの事務所の創立者にして社長、弥生 大地本人であった。


「なぜオーディションを受けに来たのに問題を起こす」

「いえ、この場にふさわしくない見た目の人物が居たのでおいd」

「ふさわしくない見た目だと?そもそもこの俺が書類選考をして通った人物しかいないのだぞ?その見た目をわざとしているということは何かのパフォーマンスで使うからだろう」


......全く持ってその通りだ。

しかし、本人が書類選考をしているとは......

ということは俺への批判を行うとその書類選考をした弥生氏の顔に泥を塗っているようなものだ。


「むしろこの中で一番やる気を感じるのは彼だと思うがね」

「ですがこの見た目にする必要性がある演技というのが分かりかねます。あまりにも清潔感という部分に問題があるかと」


髪は綺麗だと思うんだけど......

いや、髪が長いから整えなさいって意味なのはわかるけど汚いって言われたみたいなんだけど......


「なら、その演技とやらを見せてもらえばいいじゃないか」


そう弥生氏は言った。


......どゆこと?


「どういうことですか?」

「本来なら俳優志望の者は一人ずつオーディションをしているのだが、君とそこの髪の長い子、それともう一人文句を言っていた子三人同時に行うということだ」


なっ............

なんでや......


俺と最初に話しかけてきた二人は困惑の表情で固まるのであった。

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