12話
ここちゃんと別れてから少し、先程交換した連絡先に『用事が終わったら会おう、駅前のスタベ(スターターベックス)で待ってる』と送っといた。
しばらく返事は来ないと思っていたが、一瞬で返ってきて、おまっ......用事優先しろよ......
と思った、まぁ、正直嬉しかったけども。
嬉しかったけども!
そして一時間程待っただろうか。
「お待たせ、アキちゃん」
懐かしい名前の呼び方をされてふっと顔を上げる。
目に映ったのは今まで会いたくて仕方なかったここちゃんだった。
右手にはスタベのカフェモカを持って笑顔を浮かべている。
あぁ、やっぱりここちゃんだ............
もう、心境はそれだけだった。
今まで好きで好きでたまらなかった相手が目の前にいるのだ。
先程も会ったけど周りの状況や予定の問題で余韻に浸れなかったので、やっと胸にストンと落ちたものがあった。
「改めて久しぶり、ここちゃん」
「うん、うん、本当に久しぶり......」
ここちゃんも改めて実感したようで噛み締めるようにそう返してきた。
だが俺は一つだけ言わなければならないことを思い出した。
「ここちゃん、俺、一つだけ謝らないといけないことがあるんだ」
「どうしたの?」
「約束した時にさ、活躍したら王子様になりきって迎えに来てって言ってたのに、活躍もしてないし王子様みたく会うことが出来なかったんだ、だから、ごめん」
まだ俺は俳優になれただけでデビューすらしていない。
何よりここちゃんの王子様なのに迎えに行くことなどできていなかったのだ。
だがここちゃんはその話をしっかり聞き届けた上で、微笑みながらこう返してきた。
「アキちゃんが俳優になって私の目の前に来てくれた時点で王子様が迎えに来てくれたも同然なんだよ?だって......」
だって?
「約束を守って芸能界に飛び込んで来てくれたじゃん、何より、どこよりも狭き門である事務所でさ、約束なんて、忘れてる、かもじれないって、不安に、なっで、だ私のと、ころにざ」
「......ッ!」
少しずつ、少しずつ、涙ぐんで、言い淀んで、それでもなお微笑み続けるここちゃんは続ける。
「だから......迎えに、ぎで、くれてあり、がどう、私の、王子様」
そこでニコッとした時スーッと一筋の涙を零した、すると両目から大量の涙が零れ落ちる。
その表情を見て限界だった。
さっき、ここちゃんに会えた時ですら泣きそうになっても泣かなかった俺は、この言葉で泣いてしまった。
だって、その言葉は
前世の白雪心音も言いたかった言葉であると分かったからだ。
今この瞬間がどちらの白雪 心音と不知火 暁斗の夢が叶った。
いや、一つ目の夢が叶った瞬間だったのだ。
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