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19・2クラウディアの作戦

 クラウディアの立てた作戦はこうだ。

 彼女がジョナサンをボートに誘い湖へ行く。時同じくして、クリズウィッド、クラウス、ルクレツィア、私の四人も湖へ。

 偶然会った私たち。そこでクラウディアが、

「あら、でもルクレツィアはクラウスが苦手よね! 代わりに私がお相手するわ。ジョナサン、妹をよろしくね」

 と言って強引に交代するというもの。


 ジョナサンは気を悪くするかもしれないけれど、ルクレツィアもお気に入りだから文句は言わないだろう。

 自分もクラウスと二人でボート遊びが出来て一石二鳥。




 作戦の説明を終えるとクラウディアは、なかなか良いでしょうと自信満々の笑顔を見せた。

 どうやら妹がクラウスを避けていることにも気づいていたようだ。


「悪くはないけれど……」と私。

 ジョナサンは本当に気を悪くしないかな?

 だいたいクラウスが協力してくれるのかな?


「それはルクレツィアが望んでいることなのか?」とクラウス。

 クラウディアは大きくうなずいた。

「あの子は素直になれないの。だから私たちで一肌脱ぐのよ」

 クラウスが私を見た。うなずいてみせる。

「それなら協力しよう」

「まあ、親切!」

 クラウディアが自分で巻き込んでおきながら、嬉しそうに手を叩いた。彼女も得があるものね。

 だけど意外だ。クラウスはゲームの印象だと酷薄そうで、こんな恋愛作戦に乗ってくれるタイプには見えない。現実だと結構人間味があるようだ。


 そうして作戦は翌日決行、本人には秘密、と決まった。



 ◇◇



 作戦は滞りなく進んだ。私たちチームはクラウスがごく自然に湖に連れ出してくれた。

 何も知らないルクレツィアは、彼の誘いを断らなかった私に不思議そうで、なおかつこのままいくと、クラウスと二人でボートに乗らざるを得ない状況に動揺していた。

 訴えるような視線を何度か寄越されたけれど、私は安心してもらえるようにっこり笑うことしか出来なかった。だってジョナサンとボート遊びと教えてしまったら、尻込みしてしまうだろうから。


 そうして船着き場でばったり姉・ジョナサンペアに会ったところで、彼女はこれが計画されたものだと気づいたようだ。

 微かに顔を赤らめて目を伏せてしまった。


 それでも有無を言わせぬ強引さでクラウディアはクラウスとボートに乗り込み、クリズウィッドと私が続いた。岸辺に残された二人を見ると、ジョナサンは戸惑い顔でルクレツィアは強ばった表情だった。


 それでも二人はボートに乗ったので、心の中だけでガッツポーズをした。クラウディアを見ると彼女は嬉しそうに妹を見ていた。


 一安心をして。

 さて次はこっちの問題だ。目前の婚約者をちらりと見ると目が合った。微笑まれる。


 もう雰囲気が甘い。

 この時間をどうやって乗りきろう……。


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