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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十一章 慣れない酔っ払いと

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第97話 どうしようもない酔っ払い運転手

 繁華街に突然現れたと言うような空き地を利用した駐車場だった。そこでは不釣り合いに見える銀色のカウラの『スカイラインGTR』が一際目に付いた。


「西園寺さん?いつ頃運転代行は到着するんですか?」 


 誠は携帯端末をチェックしているかなめに声をかけた。


「なんでもねえよ!……すぐ来るって話だったけど遅いな!」 


 間が持たないというように腕の時計をにらみながらかなめがそう言ったところで運転代行の白い軽自動車が駐車場の入り口に止まった。


「神前、そいつから鍵を取り上げろ。コイツは今は酔っ払いだ、落とすといけねえ」 


 かなめの言葉に従って、歩道との境目に生えた枯れ草を引き抜いているカウラに誠は近づいていった。カウラはじっとしゃがみこんで雑草を抜いてはそれを観察していた。そんな彼女に鍵を渡してくれと頼もうと近づく誠が彼女の手が口に伸びるのを見つけた。


「カウラさん!そんなの食べないでください!お腹壊しますよ!」 


 そのまま駆け寄ってカウラの手にあるぺんぺん草を叩き落した。突然の行為にびっくりしたように誠を見つけたカウラはそのまま誠の胸に抱きついた。


「しんぜんー!しんぜんー!やっぱりあのスケベなかえでが良いのかー!」 


 カウラは叫びながら強く誠を抱きしめた。まるでサバ折りを食らったように背骨を締め上げるカウラの抱擁に誠は息もからがら、代行業者の金髪の青年と並んでやってきたかなめに助けを求めるように見上げた。


「いいご身分だな、神前。テメエにはかえでと言う『許婚』が居るんじゃないか?それを他に女を作って人に見せつける。オメエは本当に遼州人か?まあ、遼帝家は後宮に女を囲って子供を作るのが仕事だからな。その血が出たってわけか。まったくアタシとしてはやってらんねえよ」 


 そう言って笑うと、かなめはカウラを止めもせずにカウラのジャケットのポケットに手を突っ込んで車の鍵を探り当てた。


「じゃあ、オメエ等そこでいちゃついてろ。アタシはカウラの車で寮に一人で帰るから。風邪ひくなよ、こんなところでやってたら警察が来るからそっちも気を付けろ」 


 そのままかなめは立ち去ろうとした。彼女なら本当にこのまま帰りかねないと知った誠はしがみつくカウラを引き剥がそうとした。


「いやなのら!はなれないのら!かなめやかえでやあめりあにはやらないのら!しんぜんはあたしのものなのら!」 


 カウラが持てる力を振り絞って暴れた。彼女が今のように本当に酔っ払うと幼児退行することは知っていたが、今日のそれは一段とひどいと思いながら誠はなだめにかかった。


「おい!乗るのか乗らないのかはっきりしろよ!」 


 カウラの『スカイラインGTR』の助手席からかなめが顔を出した。


「そんなこと言って……」 


 その一言を最後に急にカウラの抱擁の力が抜けていった。見下ろす誠の腕の中でカウラは寝息を立てていた。


「カウラさんが寝ました」


 誠はころころ変わるいつもと違うカウラの態度に振り回されながらそう言った。


「そんなの見りゃわかる!背負ってこい!なんとか座席に押し込んでそのまま寮まで帰るぞ!」


 かなめはまるで手伝う気などないと言うようにそう言った。



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