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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十章 大人になれば分かること

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第95話 珍しく動揺するかなめ

「うるせえ外道!愛に決まりなんて無い!それにテメエも28で神前の兄貴が24だ?大して変わらないじゃない!それに身分がどうのなんてここは東和だ!甲武じゃ無いんだ!甲武一の貴族がどれだけ偉いかアタシは知らないが東和では東和の様式に従え!」 


 小夏のまっとうな言葉に頭をさすりながらかなめが視線を上げた。かなめのその目は明らかに泳いでいた。


「な、何馬鹿なこと言ってるんだ?アタシがあのオタクが好き?そ、そんなわけ無いだろうが!それに西はどこまで行っても甲武人だ。甲武人は地球人だ。東和人は遼州人だ。違うものを違うと言って何が悪い!そこにどうしてアタシと神前の話が関係して来るんだ?全然違う話じゃねえか」 


 あまりにも空々しい否定。声がひっくり返っての弁明。その姿に一同はただ生暖かい視線を向けた。


「はい、はい、はい。ご馳走様ですねえ、外道。お母さん!お客さんだよ!」 


 猫耳セーラー服にエプロンをつけた姿の小夏が厨房に消えていった。ひよこと西も愛想笑いを浮かべながら小夏に引っ張られて誠達の隣のテーブルに向かい合って座った。


「酒は……やめておけよ、西。お前は二十歳じゃない。東和の法律では二十歳まで酒は厳禁だ。しかも我々は武装警察官だ。市民の見本とならねばならない。分かるな?」 


 カウラが一語一語確かめるようにして口にするのを見た誠とかなめは、空だったはずの烏龍茶のコップになみなみと琥珀色の液体が満たされているのに気づいた。


「おい!お前、勝手に人の酒飲むんじゃねえよ!カウラ!また人の酒を盗みやがって!どうなっても知らねえからな!」 


 そう叫ぶかなめをカウラはとろんとした目で見つめた。その様子に気づいてひよこと西もカウラに目を向けた。


「大丈夫なんですか?アメリアさんもそうですけど『ラスト・バタリオン』の人ってあんまり飲めないんじゃ……」 


 そう言う西をカウラは完全に据わった眼でじっと見つめた。だが、すぐにその瞳はひよこのそれなりに膨らんだ胸へと集中していった。


「……なんで私は……」 


 うつむくカウラ。誠もかなめもどう彼女が動くのかを戦慄しながら見つめていた。


「あら、西君。また来たの……ってかなめさん!誠君の次はカウラさんを標的にしたの?全く懲りないわね。それに今日はカウラさんの運転で来たんじゃないの。帰りはどうするのよ」 


 春子が明らかにおかしいカウラを見るとすぐに威圧するようにかなめに目を向けた。


「アタシじゃねえよ!こいつが勝手に飲んだんだよ!」 


 そこまでかなめが言ったところでカウラは急に立ち上がった。


 全員の視線を受けてカウラはよたよたと歩き出した。彼女はそのまま春子が持っていた盆を引っ張って取り上げるとそのまままっすぐにひよこと西のテーブルにやってきた。



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