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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十八章 サイボーグの嫉妬

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第87話 フラッシュバックする過去

「じゃあちょっと……探してきますね。待っててください」 


 そう言って頭を下げると誠は部屋を出て廊下に飛び出した。そして誠は立ち止まった。


『西園寺さんの行きそうなところ……一体どこだろう?』 


 誠には見当も付かなかった。かなめはそのきつい性格からあまり他人と行動することが少ない。カウラやアメリアと一緒に居るのはだいたいが成り行きで、誠も時々いなくなる彼女がどこにいるのかを考えたことは無かった。


「とりあえず喫煙所か射場かな。西園寺さんと言えばタバコと銃だから」 


 そう思った誠はそのまま管理部のガラス張りの部屋を横目にハンガーの階段を下りた。整備員の姿もなく沈黙している05式を見ながらグラウンドに飛び出した。


 誠の予想通り響く連続した銃声が響いていた。誠はそのまま駆け出した。積み上げられた廃材の山を通り抜け、漫画雑誌が山と積まれた資源ごみの脇をすり抜けた。


 射撃レンジでは弾を撃ちつくして拳銃のマガジンに弾を込めているかなめの姿があった。どう話を切り出せばいいのか迷う誠の視界に、珍しくリボルバーの射撃訓練をしている法術特捜首席捜査官の嵯峨茜警部の姿があった。


 一心不乱で弾を込めているかなめに見つからないように忍び足で茜のところに近づいた。


「どうしたんですの?かなめお姉さまがいきなり自分の銃を撃ち始めて。アレじゃあまるで弾を捨てているみたいだわ。お金の無駄ですわよ」 


 不審そうに誠を見つめる茜の視線が誠に向けられた。


「ちょっとアメリアさんにいじられてああなってしまいまして……いつもの事と言ってしまえばそれまでなんですけど」 


 申し訳ないというように誠は頭を掻いた。茜は腑に落ちないと言うように首をかしげた。


「そうですの……ふーんまあ、(わたくし)に助言ができないことは間違いないけど。それにしてもこの部隊の人はみんな情緒不安定みたいだわね。見ていてこっちまでおかしくなってきますわ」 


 そう言う茜の視線には愛用の銃、スプリングフィールドXDM−40に弾丸を込め終えたかなめの姿があった。すばやくマガジンを銃に差し込んだかなめは一服したように周りを見て、そこに誠がいることに驚いたような表情を浮かべると、そのまま銃のスライドのロックを解除して弾薬を装弾してから彼に向かって歩いてきた。


「なんだよ。文句あるのか?今月の射撃訓練の弾にはまだかなり余裕があるからな……ただの残弾消化だ」 


 口元を震わせながらかなめは強がって見せた。木枯らしが吹いてもおかしくないような秋の空の下、上着をレンジの端に置かれた弾薬庫に引っ掛けた彼女は、上着の下にいつも着ている黒のタンクトップに作業用ズボンと言ういでたちで誠の前に立っていた。



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