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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十五章 非番といえども

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第74話 面倒なドタバタの予感

「なんだよオメー等。今日は非番じゃねーのか?休日出勤だとか抜かしても代休はやらねーぞ。オメー等が勝手に出てきたんだ。アタシはそんな命令は出してねー」 


 そこは司法局実働部隊機動部隊の詰め所だった。かなめの始末書に目を通すランの顔を見て誠は頭を掻いた。小学生低学年にしか見えないランが耳にボールペンを引っ掛けて書類に目を通している姿は誠にもある意味滑稽にも見えた。


「仕事の邪魔しに来たんじゃねえんだからいいだろ?アメリアのお守りだ。アイツはこういうイベントごとの時はほっとくと何をするか分からねえ。暴走するアメリアがランの姐御に面倒かけるのも見てらんねえだろ?だから来たんだ」 


 そう言うとかなめは自分の席に座って机に足を投げ出した。


「それで、アメリアの奴が……送ってきたんだよなーこれを……アイツももう少し仕事の方にこの情熱を向けてくれるとアタシとしては助かるんだが」 


 ランはそう言うと私服で席についている誠とカウラにデータを転送した。


「いつの間に……昨日一晩で書いたんですか?あの人も仕事が早いと言うかなんと言うか……」 


 ファイルを展開するとすぐにかわいらしい絵文字が浮かんでいた。その書き方をのぞき見た誠はそれが台本であることがすぐに分かった。その付属フォルダーを開くと細かいキャラクターの設定、そして誠の描いた服飾デザインが並んでいた。


「ああ、これってこの前アメリアさんが書いた同人エロゲの設定ですけど没にした奴ですね。確かに魔法少女が出てきますよ。寝かせてから出すって言ってたんですが……なるほどこれの設定だったんですか……忘れてました、これですか……」 


 誠は昨日キャラのデザインをしていて忘れていた以前アメリアに見せられた18歳以上対象のアドベンチャーゲームのプロットを思い出した。その言葉にカウラとかなめが反応して誠に生暖かい視線を向けてきた。


「なんだ、オメエは知ってるのか?話せよ。アタシが当てられそうな役が有ったら教えろ。つまらねえ役なら降りるから」 


 かなめはゆっくりと立ち上がって尋問するように誠の机に手をかけた。カウラは再びモニターの中の原稿に目を移した。


「知ってるって言うか……一応感想を教えてねって言われたんで。僕はちょっとオリジナル要素が強すぎて売れるかどうかって言ったらアメリアさんが自分で没にしたんですよ。そうだ、やっぱり先月見た奴ですよ。確かにあれは魔法少女ですね。ちょっとバトル系ですけど」 


 そんな誠とかなめのやり取りにいつの間にか小夏が立ち上がって誠の隣に来てモニターを覗き始めた。


「ホントだ。アタシもこれは見せられてたわ。これってどっちかって言うと魔法少女と言うより戦隊モノっぽい雰囲気だったよな……これってあの役をやるのか?アタシが?嫌だぞそんなの」 


 かなめも見せられていたらしく、嬉々としてモニターをのぞきこんでいた。


「まあアタシはどうでもいいけどさ」 


 ランはうなりをあげるかなめ達を無視して仕事を続けていた。


「でも配役まで書いてあるな。アタシが前見た時とちょっと違うぞ。アタシが神前を助ける敵の騎士かよなんかありきたりだな」 


 かなめは不服そうにそう言うと端末を難しい表情で見つめていた。


「オメー等なあ……仕事の邪魔しに来たわけじゃねーんだろ?もう少し静かにしてくれよ」 


 たまりかねたようにランが口を挟んだ。


「それにしても遅いな、アメリア。アイツがここに居ろと言うから私達はここに居るわけだが……アメリアのことだ。どこかで寄り道でもしているんだろう」 


 カウラはそんなかなめの言葉など聞こえないとでも言うようにじっとモニターを食い入るように見つめていた。



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