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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十四章 長いものには巻かれるものらしい

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第72話 さわやかな朝にふさわしい好青年?

「おはようございます!お姉さま!そして僕の『許婚』である神前曹長!実にお出かけ日和のいい天気じゃないですか!」 


 一見さわやかな男装の麗人にして実はド変態の日野かえでの声が食堂に響いた。その声で思わずかなめが味噌汁を噴出した。入り口にはサングラスにフライトジャケット、ビンテージモノのジーンズを着込んだかえでと、同じような格好の渡辺リンが立っていた。


「お姉さま!大丈夫ですか?僕、お姉さまに会いたくって……それと神前曹長。今日でも良いんだよ、二人が一つになる日は……その日が一日も早く来ることを僕は願ってやまないのだから」 


 そう言ってかえではかなめに駆け寄るとポケットから出したハンカチで噴出した味噌汁で濡れたかなめのシャツを拭いた。彼女はテーブルの上を拭こうとふきんを持ってきた誠に明らかに欲情したような視線を送ってきた。


「なんで、テメエがいるんだ?教えてくれ、なんでだ?昼間っから盛ってるのか?神前と野外プレイがしてえのか?どっちにしろ邪魔だ。消えろ」 


 かなめは明らかに不機嫌そうに自分を慕う妹を邪険に扱っていた。


「それはお姉さまは今日非番と聞いていて、一緒にお出かけしたいと……そしてそこで野外で……少し恥ずかしい目に遭わせていただければ……ちなみに下着もそれにふさわしいものを着用しております……いつでもどこでもプレイに入る心と体の準備はできています。安心してください」 


 そう言ってかえでは頬を染めた。食堂の隊員達すべての生暖かい視線にかなめは次第に視線を落していった。


「アタシ等にはオメエと遊んでる暇はねえんだ。ああ、今日はだな……ちょっと隊に外せない用事があって出かけなきゃいけねえんだ。残念だったな」 


 不安そうな誠を見ながらかなめがそう言った。そのうろたえた調子に笑みを浮かべたかえでが輝くような笑顔を浮かべてかなめに歩み寄ってきた。


「もしかして自主訓練とかなさるんですか?僕も入れてください!僕が色欲だけの女でないことを実力で示すいい機会です『斬大納言』の実力、とくとご覧いただいてください!」 


 かえでの目が光り輝くのに比例してかなめの視線はどんよりと曇っていった。


「いや、そう言うわけじゃねえし……」 


 かえでに迫られるかなめが助けを求めるように誠を見つめた。その気配を察してかえでが睨みつけるような視線を誠に向ける。誠はただ冷や汗が額を伝うのを感じながら箸を握り締めた。


「日野少佐、ちょっと僕達はアメリアさんの手伝いがあって。映画の題材が『魔法少女モノ』に決まったんでそれの設定とかのお手伝いが出来るんじゃないかなあなんて思ってるんです」 


 誠はそう言うとすぐにかえでから明らかな落胆を感じた。誠はひやひやしながらかなめのそばに立って恍惚の表情で『許婚』である誠を見つめて来るかえでを見上げていた。


「ああ、神前曹長。クラウゼ少佐の手伝いですか……それじゃあ僕達も手伝います!お姉さまと『許婚』である君が手伝うんだ。僕も一緒の時を過ごしたい」 


 かえではあっさりと答えてさらにかなめの手をしっかりと握り締めた。かなめは誠がまったく頼りにならなかったことに呆然としながらじりじりと顔を近づけてくるかえでに耐えていた。


「おい!そんなくっつくな!息がかかるだろ」 


「僕は感じていたいんです!お姉さまの吐息や鼓動や……」 


 百合的展開に食堂の男性隊員の視線が泳ぎながらちらちらとかなめとかえでを見ているのがわかった。それを見ながら誠は自分に刺さる視線の痛さに頭を掻いた。


「西園寺、貴様の負けだ。それに職場なら日野少佐も貴様が監視して変態露出行為に走ったりはしないだろう。島田と言う常習窃盗犯が居る以上、うちからこれ以上の犯罪者を出すわけにはいかない」 


 いつの間にかかなめとかえでのそばに立っていたカウラの一言にかえでの顔が笑みに占められた。そろって自分に視線を向けるのを感じて誠の鼓動が高まった。


 エメラルドグリーンの髪を質素な緑色のバンドで巻いたカウラのポニーテールが揺れている。


「なに?手伝いに来てくれるの?」 


 それまでずっとかなめに引っ張られた痛みで右耳を抑えてうずくまっていたアメリアまでもじっと見つめあうかなめとかえでを眺めていた。



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