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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十三章 それでもやってくる日常

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第69話 ヤンキーは何をしても長く続かない

「ああ、アメリアさんが勝ったそうですね、今度の自主制作映画の件」 


 そう言った誠にまったく無関心というように島田が階段を下りていった。


「執念深さじゃクラウゼ少佐に軍配が上がるのは見えてたからな……俺もやっててだんだん飽きてきたわ。それにこれ以上メーカーに借りを作るのは嫌だしな。俺達はお客さんだぜ、一声かけて反応なければ後は取引無しってことで話をすればそれ以上の面倒ごとは御免だ」 


 サラのわがままに振り回されたことを後悔しながら島田は階段を降りていった。そこに香ばしい匂いが漂ってくるのに誠は気づいた。


「あの、朝食の準備。僕が当番でしたよね?」 


 誠の言葉に島田が頭を掻いた。


「おはよう!神前君!」 


 廊下をエプロン姿で駆け出してきたのはサラだった。


「島田先輩、隅には置けないですね!」 


 島田は誠に冷やかされて咳払いをしながら一階の食堂へと向かった。誠も日ごろさんざんからかわれている島田に逆襲しようと彼に抱きついているサラを見ながらその後に続いた。


「班長!お先いただいてます!」 


「班長!サラさんの目玉焼き最高です!」 


「班長!味噌汁の出汁が効いてて……、この味は神前の馬鹿には真似できないっす!」 


 入り口にたどり着いた島田に整備班員達が生暖かい視線と冷やかす言葉を繰り出してきた。彼は入り口の隣、かえでがとってきたと言う山鳥の剥製の隣に置かれていた竹刀を握り締めるとそのまま部下達の頭を叩いて回る。叩かれても整備班員はニヤニヤした顔で島田を見あげるばかり。他の部署の隊員も食事を続ける振りをしながら顔を真っ赤にして竹刀を振り回す島田を面白そうに眺めていた。


「島田先輩大変ですねえ」 


 とりあえず整備班の隊員を全員竹刀で叩いた後の島田の肩に手を伸ばした誠だが、振り向いた島田の殺気だった目に思わずのけぞった。


「正人……迷惑だった?」 


 サラは瞳に涙を浮かべていれば完璧だろうという姿でエプロンを手に持って島田を見上げた。


「そ……んなこと無い……よ?」 


 そこまで言いかけた島田だが、思わず噴出した整備班員に手に取ったアルミの灰皿を投げつけた。


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